「ホリデーパス」から「休日お出かけパス」へのリニューアルは失敗だった? 発売数はやっぱり減少

「休日お出かけパス」はJR東日本の首都圏郊外型フリーきっぷです。東京近郊のJR東日本の主な路線の普通列車に乗り放題で、りんかい線や東京モノレールにも乗車できます。似たコンセプトの「ホリデーパス」の後継商品として、2012年3月17日に販売が開始されました。価格は当初2,600円でしたが、2014年4月の消費税増税にともなって、現在は2,670円になっています。

広告

フリーエリアを拡大して値上げ

前身の「ホリデーパス」と比べると、「休日お出かけパス」は近郊で乗車できるフリーエリアが拡大されました。そのかわり、当時300円を値上げされています。フリーエリアの拡大は郊外への旅行者にはメリットでしたが、値上げは郊外から都心へ往復する利用者にデメリットとなりました。このように、「ホリデーパス」から「休日お出かけパス」へのリニューアルはメリットとデメリットの両方があり、利用者数が増えるかどうかが注目されました。というより、「デメリットが大きいので売上は減るのでは?」と見る向きが多かったと思います。

休日おでかけパス

結果はどうだったのでしょうか。取材してみると、2012年度末(2013年3月)の発売数がわかりました。それによると、「休日お出かけパス」の売上はやっぱり減少傾向のようです。

「ホリデーパス」だった2011年度の発売数は99万7762枚でしたが、「休日お出かけパス」に切り替わった2012年度の発売数は91万1208枚となり、9%も低下しています。同時期にJR東日本が販売した企画きっぷとしては、「青春18きっぷ」が24万2,666枚から24万6,786枚に約2%増、「ウィークエンドパス」が42万9391枚から46枚8797枚に約9%増、「スリーデーパス」に至っては、曜日の並びがよかったのか5万158枚から6万780枚へと21%の大幅増となっています。それらに比べると、「休日お出かけパス」の不振が目立ちます。

【図説・日本の鉄道】首都近郊 全線・全駅・全配線

「休日お出かけパス」の一人負け?

とはいえ、2011年に東日本大震災があり、きっぷによってその影響に相違があるので、一概に「スリーデーパス」の伸びが凄く、「休日おでかけパス」はひどい、とはいえません。震災エリアを多く含む「スリーデーパス」が、2012年に売上回復したのは当然ともいえます。しかし、他の企画きっぷが軒並み発売増を遂げているなかで、「休日お出かけパス」だけが一人負け状態で落ち込んでいるのは気になります。しかも、「前年度比9%減」は大きな数字です。やっぱり、リニューアルは失敗だったのでしょうか。

もう少しさかのぼると、前身の「ホリデーパス」は、2002年に約265万枚も販売していて、「お化けきっぷ」的な存在でした。それが坂道を転げ落ちるように発売数の低下が続き、2012年のリニューアルに至りました。したがって、リニューアル失敗というよりは、リニューアルによっても売上減には歯止めはかからなかった、というべきかもしれません。

「ホリデーパス」以来の売上減の背景にはSuicaの普及があります。そのため、「休日お出かけパス」の売上減がそのままJRの売上減につながっているわけではありません。とはいえ、一時代を築いた「ホリデーパス」以来の首都圏郊外型フリーきっぷが、ひとつの曲がり角に来ているのは事実といえるのではないでしょうか。

広告
前の記事猿岩石「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」が、CS「日テレプラス」で再放送決定!「電波少年」の名物コーナー
次の記事京成成田駅を午前4時30分発の成田空港行きバスが登場。LCC早朝便に対応。時刻表も掲載。