「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」の研究。私鉄乗り歩きに最適

鉄道ファン向けのきっぷ

「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」は、JR東海と16の私鉄線が乗り放題になるきっぷです。東海地方の私鉄を乗り歩くのに便利です。

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JR東海と16地方私鉄

「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」は、その名の通り、JR東海の全線と、東海地方のおもな地方私鉄が乗り放題になるというきっぷです。

土休日に利用でき、2日間有効でおとな8,620円、こども4,040円です。

■「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」の概要
●利用期間:土休日(GW、お盆、年末年始除く)
●有効期間:連続する2日間
●発売期間:利用開始日(1日目)まで
●価格:おとな8,620円、こども4,040円
●フリーエリア内の普通列車、快速列車が乗り降り自由。
●新幹線・特急列車に乗車する際は特急券などが必要。新幹線(熱海~米原)は「ひかり」「こだま」に限り4回まで利用可。

JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ
画像:JR東海リーフレット

フリーエリア

フリーエリアはJR東海の全路線と、東海エリアの地方16私鉄です。

JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ
画像:JR東海

乗車できる私鉄は以下の通りです。

・伊豆箱根鉄道(駿豆線) 三島~修善寺
・岳南電車 吉原~岳南江尾
・静岡鉄道 新静岡~新清水
・天竜浜名湖鉄道 掛川~新所原
・遠州鉄道 新浜松~西鹿島
・豊橋鉄道 新豊橋~三河田原、駅前~赤岩口・運動公園前
・愛知環状鉄道 岡崎~高蔵寺
・東海交通事業 枇杷島~勝川
・養老鉄道 揖斐~桑名
・樽見鉄道 大垣~樽見
・近江鉄道 米原~貴生川・多賀大社前・近江八幡
・明知鉄道 恵那~明智
・長良川鉄道 美濃太田~北濃
・名古屋臨海高速鉄道 名古屋~金城ふ頭
・三岐鉄道(北勢線) 西桑名~阿下喜
・伊勢鉄道 河原田~津

名鉄、近鉄、名古屋地下鉄、リニモ、大井川鐵道、三岐鉄道三岐線、四日市あすなろう鉄道などは、フリーエリアに含まれていません。

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買い方、使い方

「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」が購入できるのは上記フリーエリア内のJR東海駅の「きっぷうりば」とサポートつき指定席券売機設置駅です。

ただし、熱海駅はJR東海の新幹線乗換口のみ発売。甲府、国府津、辰野、塩尻、猪谷、新宮駅では発売していません。私鉄16路線のきっぷうりばでも発売していません。JR東海管内の旅行会社でも購入できます。

利用期間開始の当日まで購入できます。通常の週末なら土曜日まで、土日月の3連休なら日曜日まで購入できます。

使い方は簡単で、有人改札に切符を見せればスタンプを押してくれ、以後は有効期間内に有人改札をそのまま通れます。自動改札には対応していません。

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元が取れるのは?

「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」の8,620円というのは、片道241km以上のJR線を往復すれば元が取れる価格です。名古屋を起点にすると、東海道線の三島や身延線の甲府を単純往復すれば、それだけでお得となります。新宮、塩尻、猪谷往復では元が取れません。

そのため、名古屋起点で考えて、JR線の単純往復で元を取ることを考えると、使える区間は限られます。

東海道新幹線を名古屋~東京で利用する場合はどうでしょうか。名古屋~熱海で「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」を使い、熱海~東京を別運賃で払えば、往復で運賃が180円安くなります。

ただ、フリー区間外に乗り越す場合、特急券はフリー区間内の乗車区間と乗り越し区間について、別々に買う必要があるというルールになっています。そのため、東海道新幹線を使ったフリーエリア通り抜けには向きません。

つまるところ、「単なる往復移動」で元を取るのは難しいきっぷで、鉄道を使った周遊旅行のアイテムとみなしたほうがいいでしょう。

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首都圏・関西圏からの利用は

「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」のフリーエリア東端は御殿場線国府津駅です。しかし、国府津駅では販売していないので、首都圏からの利用者が購入する場合、松田駅が便利でしょう。松田駅は、小田急線新松田駅から歩くことができます。

フリーエリア西端は近江鉄道近江八幡駅または貴生川駅です。こちらも両駅では販売していないので、関西圏からの利用者が購入する場合は、米原駅まで行く必要があります。

これらのフリーエリアの端の駅から往復利用し、フリーエリア内の鉄道を何度か乗り降りすれば、それだけでお得に使えそうです。

東京発のマニア的な旅行としては、新宿→(小田急)→新松田・松田→米原→貴生川→草津→京都などと乗り通すと、なんとなく満足感が高そう。とはいえ片道では元が取れないので、折り返して使う必要がありますが。

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私鉄利用でどのくらいお得?

「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」が威力を発揮するのは、私鉄の乗り歩きです。参考までに、フリーエリアに含まれている私鉄の全線片道運賃を示してみます。

・伊豆箱根鉄道 520円
・岳南電車 370円
・静岡鉄道 330円
・天竜浜名湖鉄道 1,470円
・遠州鉄道 480円
・豊橋鉄道 渥美線520円、市内線180円
・愛知環状鉄道 890円
・東海交通事業 450円
・養老鉄道 830円
・樽見鉄道 930円
・近江鉄道 本線1,050円、多賀線180円、八日市線460円
・明知鉄道 690円
・長良川鉄道 1,720円
・名古屋臨海高速鉄道 360円
・三岐鉄道 310円
・伊勢鉄道 520円

これらの地方私鉄の運賃の総計は12,060円。フリーエリアの全私鉄に片道乗れば、お釣りがくる計算です。

なかでも運賃が高いのは、天竜浜名湖鉄道、近江鉄道、長良川鉄道です。3社ともフリーきっぷがあり、天竜浜名湖鉄道が1,750円、近江鉄道が900円、長良川鉄道が2,700円です。この3つのフリーきっぷの価格の合計が5,350円ですので、複数社の私鉄を乗り歩くなら、「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」は相当にお得といえそうです。

フリーきっぷのない私鉄では、全駅下車の有力なアイテムにもなり得るでしょう。

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鉄道ファン向けのきっぷ

「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」は、JR線内だけの単純な往復利用では元が取りにくく、鉄道を乗り歩くことを目的としたきっぷといえます。つまり、鉄道ファンを明確なターゲットにしたフリーきっぷです。

きっぷの名称に「乗り鉄」と含まれていることが、それを端的に示しています。なお、名称が長いですが、窓口で購入する際は「乗り鉄きっぷ」と言うと伝わりやすいようです。ちょっと恥ずかしいかもしれませんが。

新型コロナウイルス感染症が一段落し、JR北海道やJR西日本、JR四国、JR九州では、特急利用可の乗り放題きっぷを発売して人気を集めています。それに比べると、「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」は、特急は別料金で通年販売ですから、あまり目立ちません。

ただ、いま注目を集めているエリアでないからこそ、活用するチャンスともいえます。期間限定きっぷにありがちな、週末のローカル線で思わぬ大混雑に巻き込まれることもありません。週末に思い立ったら、乗りつぶしにでかけてみるのもよさそうです。(鎌倉淳)

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