東京モノレールが、浜松町駅ビルの建替工事に着手します。新駅ビルは1線構造とみられ、構内複線化や東京駅延伸の断念を体現したものになるようです。
改札口を3階に集約
東京モノレールは、浜松町駅ビルの建替工事に本格着手すると発表しました。駅ビル建て替えは、浜松町駅西口で進行中の開発事業に伴うもの。新駅ビル3階中央部に開発ビルと駅を直結する歩行者広場を整備します。
現在2階と3階に分かれている改札口を3階に集約し、JRや地下鉄との乗り換えがしやすい動線もつくります。
かつては複線化計画も
気になるのは、現在単線のモノレール軌道を複線にするのか、という点です。2面1線のホームを2面2線もしくは3面2線などの形にするかが注目点でした。
というのも、東京モノレールは、浜松町駅の建替時に複線化して2面2線とする方針を2009年に示していたからです。同時期には、新橋・東京駅方面への延伸計画も報じられていて、そのためにも浜松町駅複線化は不可欠とみられていました。
しかし、2013年にJR東日本が羽田空港アクセス線計画を公表すると風向きが変化。東京モノレールはJR東日本の子会社であり、親会社が羽田空港への鉄道新線を建設するのであれば、モノレールの輸送力強化は二重投資になってしまいます。
そのためか、この時期以降、東京モノレールの浜松町駅複線化や新橋・東京駅延伸は、話題にのぼらなくなります。
どうやら単線のまま
今回発表されたモノレール浜松町駅の建替計画にも、複線化の文字は見当たりません。イメージ図に描かれているホームは2面1線で、構内図には「乗車ホーム」「降車ホーム」と書かれているのみです。
これらを見る限り、どうやら浜松町駅は現状と同じ単線を維持するようです。2面1線のままで建て替えるのであれば、新橋・東京駅方面への延伸はお蔵入りになったと判断するのが自然でしょう。
要は、JR東日本の羽田空港へのアプローチ方針が、2011年前後にモノレールから鉄道新線に変更になっていたと、改めて確認できたわけです。
新駅舎の竣工予定は2029年12月で、羽田空港アクセス線の開業予定と同年度です。同線が開業すれば、東京モノレールの空港輸送の役割は減少し、湾岸エリアの通勤輸送の比重が高まるでしょう。新駅舎は、そうした役割の変化も見据えた形になっているようです。(鎌倉淳)