JR九州が「南九州DE超回復!きっぷ」を発売します。熊本、宮崎、鹿児島の3県のJR線が3日間乗り放題で15,000円。価格的には微妙で、周回旅行もしにくいきっぷですが、どんな使い方があるのでしょうか。
15,000円で南九州3県が乗り放題
JR九州は、「南九州DE超回復!きっぷ」を2024年10月1日からの有効期間で発売します。「南九州DE超回復~HEALING JOURNEY in 熊本・宮崎・鹿児島~」キャンペーンにあわせたものです。
フリーエリアは熊本県、宮崎県、鹿児島県の3県。価格は大人用が15,000円、子ども用が6,000円です。
「南九州DE超回復!きっぷ」の概要は以下のとおりです。
「南九州DE超回復!きっぷ」の概要
●販売期間
2024年9月1日~2025年3月22日(利用日の7日前まで購入可能)
●有効期間
2024年10月1日~2025年3月31日
●フリーエリア
熊本県、宮崎県、鹿児島県のJR九州各線
●効力
・対象エリアの新幹線、特急、普通、快速列車の普通車自由席が3日間乗り放題
・普通車指定席を3回まで利用可能
※「36ぷらす3」乗車の際は別途特急券とグリーン券が必要
●価格
大人15,000円、子ども6,000円(子ども用のみの販売、利用は不可)
●販売箇所
JR九州インターネット列車予約
MaaSアプリ「my route」でもデジタルチケット版の販売を予定していますが、販売期間や価格、効力一部異なります。
高速バス「B&Sみやざき号」に乗れるオプションも
「南九州DE超回復!きっぷ」の購入者限定で、高速バス「B&Sみやざき号」を割引で利用できる「南九州DE超回復!B&Sみやざききっぷ」も販売します。
概要は以下のとおりです。
「南九州DE超回復!B&Sみやざききっぷ」の概要
●販売期間
2024年9月1日~2025年3月31日
●有効期間
2024年10月1日~2025年3月31日
●設定区間と販売額
・新八代駅~人吉IC大人1,200円/子ども600円
・新八代駅~えびのIC大人2,000円/子ども1,000円
・新八代駅~小林IC大人2,000円/子ども1,000円
・新八代駅~都城北大人2,800円/子ども1,400円
・新八代駅~宮崎駅・宮交シティ大人3,150円/子ども1,580円
●販売箇所
JR九州のみどりの窓口(利用人数分の南九州DE超回復!きっぷの提示が必要)
どう回ったらいいのか
「南九州DE超回復!きっぷ」のフリーエリアをみて、最初に感じるのは「どう回ったらいいのか」という点でしょう。
豊肥線がフリーエリアに含まれていないので周回旅行ができず、肥薩線が運休中で肥薩おれんじ鉄道も使えないので、熊本県の在来線が他のフリーエリアと分断しています。
こうなると、「熊本フリーエリア」と「鹿児島・宮崎フリーエリア」があり、そこをつなぐ九州新幹線も乗り放題、というきっぷと解釈するのがよさそうです。
ならば、「熊本」「鹿児島」「宮崎」の各エリアで1日ずつ過ごすタイプのフリーきっぷととらえて、日程を組むといいでしょう。
福岡を起点で考えると、新幹線で熊本に入り(博多~新玉名は別料金)、熊本を周遊し、新幹線で鹿児島中央に入り、鹿児島、宮崎エリアを周遊して、宮崎から飛行機、または高速バスなどでエリアを出る、というのがルート案のひとつになりそうです。
新幹線・特急で元が取れる
価格的にみると、新幹線の新玉名~熊本間が1,440円(自由席、以下同)、熊本~鹿児島中央間が6,540円、特急「きりしま」の鹿児島中央~宮崎間が4,330円、特急「にちりん」の宮崎~延岡間が2,880円です。合計で15,190円となり、きっぷの発売額とほぼ同じです。つまり、フリーエリアをぐるっと新幹線・特急に乗れば、ちょうど元が取れます。
熊本~鹿児島中央~宮崎間だけでも10,870円です。それに加えて、ローカル線を少し乗り歩けば、元を取るのはそれほど難しくありません。
ただ、破格と言えるほどの価格設定でもありません。JR九州全線が2日間乗り放題の「みんなの九州きっぷ」が2023年版で18,000円でしたので、南九州エリアに限定した今回のきっぷが3日間で15,000円では、お手頃感を感じにくいかもしれません。
年末年始も有効
とはいえ、1日あたりなら5,000円で、新幹線・特急乗り放題ですので、集中的に乗り歩くには便利でお得です。
とくに、年末年始が有効期間から除外されていないのは注目点でしょう。遠方から来るのであれば、冬の青春18きっぷと組み合わせることもできます。
注意点としては、7日前までに購入しなければならないこと。これを機会に、南九州の旅をしてみるのもよさそうです。(鎌倉淳)