近鉄の名阪特急に新型車両が登場します。真っ赤な車体で、全席バックシェルシートが特徴。快適性が大幅にアップしそうな反面、座席定員は2割以上も減少します。2020年春の運行開始を予定します。
アーバンライナーを置き換え
近畿日本鉄道が導入する「新型名阪特急」は、現行「アーバンライナー」21000系の置き換え車両です。6両編成を8編成、8両編成を3編成の計11編成72両を製造。大阪難波~近鉄名古屋間に投入します。
「新型名阪特急」は、透明感のある深い赤がイメージカラー。外観デザインはスピード感のある流線型ですが、2018年春にデビューする小田急ロマンスカーGSEに似ていなくもありません。
新型車両のテーマは「くつろぎのアップグレード」。鉄道車両としては日本初となる全席バックシェルを備え、座席の前後幅を広く確保するなど、車内での居住性を大幅に「アップグレード」しているというわけです。
2等級は維持
現行「アーバンライナー」は、「デラックスカー」と「レギュラーカー」の2等級ですが、新型車両でも2等級は維持します。
ハイグレード車両となるのは、編成端の両先頭車。全席3列シートで、座席には本革を使用。電動リクライニング、電動レッグレストとヘッドレストを備えます。
座席の前後幅は130cmで「アーバンライナー」より25cm拡大しています。新幹線グリーン車の標準シートピッチ116cmよりはるかに広く、ANAのB787プレミアムクラス(127cm)も上回ります。
先頭車はハイデッカー構造で、大型ガラスによる広い前方展望も楽しめます。横揺れを低減する電動式フルアクティブサスペンションも装備しています。
レギュラー席もバックシェル
4列シートのレギュラー車両は中間車に配置されます。座席前後幅は116cmで、新幹線グリーン車並みです。レギュラー席もバックシェルシートで、ガラス製の荷棚と仕切扉を用いた開放感のある室内が特徴です。
ハイグレードシート、レギュラーシートともに、全席コンセントを設け、空気清浄機も全車に設置。Wi-Fiも無料で提供します。車両端には大型荷物を収容できるロッカーなどの荷物置き場を設置。デッキや大型荷物置場には防犯カメラも設けました。
デッキには、座席以外でくつろげるユーティリティスペースも作りました。3号車には喫煙室も用意されています。
定員は2割減
「新型名阪特急」の定員は、6両編成が239人です。内訳は、ハイグレード車両の1・6号車が各21人、レギュラー車両の2・3・5号車が各52人、多目的トイレ・車いす席などを備えた4号車が41人です。
8両編成は中間車両が増えて、定員は327人となります。
現行アーバンライナー21000系は6両が306名、8両が414名なので、約2割も減少します。シートピッチをゆったり取って、全席バックシェルシートにした結果でしょう。
「名阪まる得きっぷ」は廃止
新型名阪特急になっても、所要時間は現行と変わりません。新型車両の料金は未発表で、愛称も含めて2019年秋までに決めるとしています。2割座席が減ったなら、2割料金を上げなければ帳尻が合わないことになりますが、どうなるのでしょうか。
近鉄では名阪特急の回数券「名阪まる得きっぷ」の販売を2017年12月30日で終了し、インターネットによるチケットレス特急券販売にシフトしています。その販売状況などを考慮したうえで、最終的に新型名阪特急の料金設定をしていくのかもしれません。