テレビ東京系列の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」第23弾が放送されました。これは、「ルイルイ」こと太川陽介と蛭子能収がローカル路線バスを乗り継ぐテレビ番組です。今回のマドンナは元「うたのおねえさん」でおなじみの、はいだしょうこでした。
第23弾の目標は、宮崎市の青島から長崎市のグラバー邸まで、路線バスを乗り継いで3泊4日で到達する、というものです。例によって、この正解ルートを検証してみましょう。
いつものことですが、以下はネタバレ100パーセントです。また、結果論100パーセントです。行ってない筆者が机上で語っているだけです。ご理解のうえ、お読みください。
なお、今回のロケは、3泊目の夜(4月14日)に熊本地震の前震が発生したというタイミングでした。そのため、ロケ当時通行できた道路が、現在は不通になっているケースがあり、現在のバス時刻表ではロケ当時の状況を一部区間で再現できません。
この記事では、ロケ当時のダイヤを調べ、わからないものに関しては現ダイヤで検証しています。そのため、当時とダイヤが変わっていたり、あるいは間違いなどあるかもしれません。ご容赦、ご指摘ください。
実際に旅したルート
第23弾で実際に3人が旅したルートは以下のようになりました。現在の時刻表上の定刻を確認できた範囲で示しています。ロケ当時の時刻と現在の時刻が変わっていて、ロケ当時の時刻がわかる場合は、そちらを表示しています。
なお、阿蘇山観光と別府のホテルまでのバスは、ルート検証の本筋から外れますので、ここでは割愛しています。
▽1日目
青島07:58→08:34宮交シティ09:20→10:36高鍋12:15→12:50都農→徒歩9km→宮の下16:29→17:23日向市駅東口→徒歩すぐ→17:32北町18:13→19:06延岡20:00→21:11高千穂
▽2日目
高千穂08:31→10:36阿蘇くまもと空港10:44→11:33阿蘇駅前14:51→18:02別府北浜
▽3日目
別府駅前本町08:09→10:46南小国町役場前11:11→11:41杖立11:55→12:42日田14:35→15:04杷木→徒歩4km→16:11浮羽発着所16:31→17:35西鉄久留米18:00→19:15佐賀駅
▽4日目
佐賀駅07:30→08:13肥前山口08:28→08:55鹿島09:20→10:07県界→阿弥陀崎11:21→12:05諫早駅前12:23→13:31中央橋13:40→13:45頃グラバー園入口
以上のように、4日目の午後にはグラバー園に到着でき、余裕をもって成功となりました。
4日目の午後早い時刻の到着ですから、これが「正解ルート」でいいのではないか、と思います。それを前提として、以下では、その他のルートについて検証してみましょう。
ローカル路線バス乗り継ぎの旅 第23弾 宮崎・青島~長崎・グラバー邸
【出演者】太川陽介、蛭子能収、はいだしょうこ
【ナレーター】キートン山田
都農でのバス乗り逃がしは影響したか
まず、番組の序盤、一行は都農のバス停で、東都農へ向かうコミュニティバスを乗り逃してしまいます。仮にこれに乗れていたらどうなっていでしょうか。
▽1日目
都農13:01→13:32東都農→徒歩3km→宮の下14:19→15:13日向市駅東口→北町15:53→16:43延岡16:55→18:15高千穂
最初のチェックポイント・高千穂に18時頃と早い時間に到着できますが、その先、阿蘇方面へ抜けるバスは終わっています。そのため、都農のバス停での乗り逃しは、スケジュール面での影響はありませんでした。
もちろん、3kmの徒歩で済むところが、9kmになってしまったのですから、体力面での影響は大きかったと思います。
熊本空港経由に気づかなかったら?
さて、2日目を見てみましょう。この日は2つめのチェックポイントである別府を目指す日です。
一行は、阿蘇くまもと空港(以下、熊本空港)経由というルートを選択します。これにより、わずか2度の乗り換えで別府まで行けてしまいました。これは大正解といえます。
高千穂から熊本空港へ出て大分方面に抜けるルートは、延岡バスセンターの職員が調べてくれたからこそ見つかりました。この幸運に出会わなかったらどうなっていたでしょうか。
延岡に戻っていたらどうなっていたか
ルイルイは、延岡到着時、高千穂で折り返して延岡に戻るルートも考えていたようです。その場合、延岡から海岸線に沿って北上し、大分へ向かうわけです。ルートを見てみましょう。
▽2日目
高千穂05:24→06:35延岡06:35→07:17古江→徒歩12km→波当津11:50→13:17佐伯駅14:42→16:28大分駅前
このように、つながることはつながりますし、この日のうちに別府に着くことも可能です。
ただ、古江から波当津の12kmは峠越えで、これを歩くのはかなり大変だったと思います。そのため、このルートを取らなかったのは正解です。
熊本空港を経由しない方法は?
高千穂から阿蘇方面へ抜けるとして、熊本空港を経由しないルートも考えてみましょう。
高千穂08時53分発のバスに乗るのは同じです。これで熊本空港まで行かずに、高森中央で下車し、阿蘇へ抜けるルートがあります。
▽2日目
高千穂08:53→09:47高森中央10:21→11:14立野駅→立野13:38→18:02別府北浜
熊本空港まで行かなくても、高森→立野と乗り継げば別府北浜まで行くことが可能です。ただ、熊本空港まで行った方が乗り換えがラクですし、一行の選んだルートのほうが優れていたといえます。
別府行きバスに乗り換えなかったら?
ルイルイ一行は、熊本空港で、当初、大分行きのバス(やまびこ号)に乗り、阿蘇駅前で下車して別府行き(九州横断バス)に乗り換えます。このとき、仮に大分まで行ったとしても、大分→別府間にはバスが頻発していますので、当日中に別府まで行くことは可能です。
▽2日目
阿蘇くまもと空港10:44→13:41トキワ前(大分)→大分トキハフォーラス前14:01→14:32別府北浜
このように、15時前には別府に到着できます。この時間に別府に着いていれば、観光案内所も開いていましたし、日田方面へのルートを尋ねることができたでしょう。
最速ルートは中津経由?
観光案内所で尋ねたら、中津を経由して、日田へ抜けるルートが見つかったかもしれません。その場合、以下のようにつながります。
▽2日目
別府北浜14:57→15:14亀川駅15:15→16:11安心院16:40→17:45中津駅
▽3日目
中津駅08:30→09:55日田12:09→12:38杷木→徒歩4km→浮羽発着所13:26→14:28西鉄久留米15:10→16:24佐賀駅16:35→17:47鹿島18:00→18:44県界18:49→19:30諫早駅前19:50→20:49中央橋
このルートでは、3日目中にはグラバー園入口に着くことができたでしょう。筆者が探した限りでは、これが最速ルートのようです。
ただ、2日目の別府北浜で、25分で乗り継げるかは微妙です。25分間で観光案内所を尋ね、安心院、中津経由で日田までのルートを探し出さねばならず、時間的には厳しかったかもしれません。また、杷木から浮羽まで4kmを40分強で歩き切るのも、少しハードです。
別府宿泊の中津ルート
中津経由で行く場合でも、あるいは別府で一泊となったかもしれません。その場合、以下のようになります。
▽3日目
別府北浜08:19→09:40大分空港10:20→11:59中津駅前13:00→14:25日田
上記のルートでも、日田14:35→15:04杷木のバスに乗ることになりますので、実際ルートと同じ結果になります。
熊本経由で佐賀へ抜けられるか
一行は、九州横断バスを南小国で降りましたが、ルイルイは、場合によっては熊本まで乗り通すことも考えていたと思われます。
その場合、熊本から佐賀方面へ向かうことになりますが、どういうルートがあったでしょうか。
▽3日目
別府駅前本町08:09→13:16熊本交通センター13:25→14:31山鹿14:55→15:35うから館前16:07→16:49大牟田駅前
▽4日目
大牟田駅前06:11→06:37吉野入口→徒歩4km→JR渡瀬08:18→08:51瀬高駅前09:07→09:26西鉄柳川09:56→10:44佐賀駅12:15→13:25鹿島14:50→15:37県界16:19→17:05諫早駅前17:23→18:31中央橋
上記は、実際に旅した場合に選択しやすい例として大牟田に泊まるコースを示しましたが、他にもコースはあります。あまり乗り継ぎがいいとはいえないこのコースでも、4日目に長崎にたどり着くことは可能でした。
佐賀から武雄に向かったら
一行が最後に迷ったのは、佐賀から武雄へ向かうか、鹿島へ向かうかでした。結局、肥前山口で降りて鹿島へ向かったのですが、そのまま武雄に向かっていたら、どうなっていたでしょうか。
▽4日目
佐賀駅07:30→08:43武雄温泉駅前09:50→10:51彼杵11:21→11:24町営バスセンター11:30→11:41野岳入口11:51→12:19大村ターミナル12:54→13:27諫早駅前14:23→15:31中央橋
つながることはつながりますが、鹿島から県界を経由していたほうがラクだったですね。つまり、ここもルイルイ正解です。
高千穂チェックポイントの効果
全体をまとめてみると、平易なルート設定でした。高千穂、別府と2カ所のチェックポイントを入れたゆえに選択肢が狭まったことが、その理由です。
とくに、高千穂のチェックポイントの設定が大きく影響しています。もし、チェックポイントが別府だけだったら、一行は延岡で、海沿い経由か、高千穂経由かで、もっと悩んだと思われます。
海沿いルートを取った場合、宮崎・大分県境の難路の峠越えを余儀なくされ、体力的に行き詰まった可能性もあります。しかし、チェックポイント設定により、高千穂まで「導かれたこと」で、阿蘇へ抜けるルートが見つけやすくなったといえます。
つまり、高千穂のチェックポイントには、「海沿いルートを避け、阿蘇ルートを取ることを誘導する効果」があったとみられます。歩きすぎを避け、3回連続での失敗をさせないための、スタッフの配慮、と受け取れなくもありません。
九州横断バス折り返しは明断
今回の成功の要因は、出会った方々のサポートと、ルイルイの冴えにもあったと思います。延岡バスターミナルで熊本空港経由の情報を得たことが大きいですが、別府宿泊の後、九州横断バスで折り返す、というルイルイの決断も冴えていたと思います。
行き当たりばったりなら、別府から由布院行きのバスに乗る可能性もあったと思います。そうすると由布院から日田方面へのバスが見つからずに、時間的なロスが生じていたかもしれません。
そうした陥穽にはまらず、別府から南小国へ至り、日田へ切り返したルート取りは、今回の最大のヒットだったと思います。
ほぼ「正解」に近いルート
スタッフがどういうルートを想定していたかは定かではありませんが、今回のルイルイのルート取りは、ほぼ「正解」に近いと言えるでしょう。都農の乗り逃し以外には目立ったミスもなく、ルイルイの手堅い確認とルート取りが目立ちました。
全体的には、チェックポイント制のおかげで選択肢が少なく、ルート選びとしてはあまりおもしろい設定ではなかった気もします。一方で、徒歩距離も短く、安心して楽しめたオンエアだったのではないでしょうか。(鎌倉淳)