「ローカル路線バスの旅Z 第8回 鳥取・境港~長崎・平戸」の正解ルートを考える。逆転劇は用意されていた

運命は佐賀の三択に

テレビ東京系列の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」第8回が放送されました。田中要次と羽田圭介のコンビが、路線バスだけを乗り継いで旅をする番組です。今回のマドンナは佐藤藍子です。

お題は、鳥取県の境港をスタートし、3泊4日で長崎県の平戸に到達するというものです。途中、チェックポイントはありません。

例によって正解ルートを検証してみます。なお、以下はネタバレ100パーセントです。また、結果論100パーセントです。行ってない筆者が机上で語っているだけです。ご理解ください。

※以下、掲載時刻は確認しましたが、間違いや勘違いがあると思います。その場合はご容赦、ご指摘ください。文中は敬称略です。

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実際に旅したルート

最初に、番組で3人が実際に旅したルート(実際ルート)をたどってみましょう。時刻表上の定刻を確認してみました。

▽1日目
JR境港駅09:30→10:11松江駅12:35→13:26大東駅前/出雲大東駅14:55→15:09かもてらす→徒歩5.6km→伊萓16:19→16:30三刀屋バスセンター16:45→17:33出雲市駅

▽2日目
出雲市駅08:08→08:40小田駅08:46→09:00口田儀→徒歩200m→越堂10:42→11:19大田バスセンター12:00→13:18江津駅前13:20→14:01浜田駅前15:40→17:01益田駅

▽3日目
益田駅06:45→07:53津和野駅08:08→09:47萩バスセンター10:57→12:00秋芳洞12:09→12:35美祢駅12:41→14:07御裳川→徒歩約1km→関門トンネル人道口14:55→15:43砂津16:07→16:36守恒17:02→18:21西鉄後藤寺営業所19:18→19:58篠栗北→徒歩1km→篠栗20:34→21:02呉服町21:03→21:09博多駅

▽4日目
博多バスターミナル08:45→09:22イオン大野城 10:00→10:12下大利駅→徒歩2.3km→洗出11:00→11:47甘木営業所→徒歩300m→希声館前12:41→13:03田主丸中央13:09→13:48西鉄久留米14:10→15:22佐賀駅バスセンター16:30→18:12山本18:56→19:26伊万里駅前

伊万里から先、佐世保へのバス路線は17時59分発が最終で、一行が到達したときにはすでに終わっていました。もしこのバスに乗れていれば、19時08分に佐世保駅に到着し、乗り継いで平戸桟橋に21時21分に到達できていたのですが、間に合いませんでした。

ということで、失敗です。正解ルートを探しながら検証してみましょう。

ローカル路線バスの旅Z第8弾
画像:テレビ東京

ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z 第8弾 鳥取県・境港~長崎県・平戸
【出演者】田中要次、羽田圭介、佐藤藍子
【ナレーター】キートン山田、太川陽介

松江駅で乗り逃さなかったら

最初に気になるのは、やはり初日の乗り逃しでしょう。松江駅10時35分発の大東行きバスを見つけながら、乗らなかったことで、2時間のロスが生じてしまいました。仮にこのバスに乗っていたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
松江駅10:35→11:26大東駅前/出雲大東駅13:14→13:58三刀屋バスセンター16:45→17:33出雲市駅

実際ルートでは、かもてらすを経由して5.2kmの徒歩が生じていますが、歩いても一本早いバスに乗るのは困難なので、上記では省いています。結局のところ、大東と三刀屋での乗り継ぎが悪く、出雲市駅に着く時刻は実際ルートと同じになってしまいます。

出雲市から先、小田へは14時55分が終バスなので、出雲市泊まりとなります。つまり、実際ルートの大東・出雲市経由では、1日目の乗り逃しは結果に影響しなかったことになります。

出雲市を経由しないルートもあるのですが、それについては後述します。

江崎に向かっていたら

2日目、一行は出雲市から益田まで、順調にバスを乗り継ぎます。海岸沿いに進む経路にロスはなく、快調なペースで益田駅に到達します。

益田駅で、津和野に進むか、海沿いに江崎方面に進むか、一行は迷います。津和野行きのバスは終わっていますが、江崎方面ならまだバスがあります。仮に江崎方面に向かっていたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
益田駅17:40→18:35江崎港

江崎港から先は、当日のバスがありません。翌朝、少し先の須佐駅前まで行くバスはありますが、そのバスは益田始発なので、2日目に江崎まで行く意味がありません。おまけに須佐から先、バスが途切れ、約7kmの徒歩が生じます。

▽3日目
益田駅07:45→江崎港08:22→08:31須佐駅前→徒歩7km→惣郷12:54→13:17道の駅阿武町13:27→13:59萩バスセンター15:08→16:01長門市駅16:04→18:17御裳川→徒歩約1km→関門海峡人道口19:05→19:51砂津

このように、九州に上陸するのは3日目の夜になってしまいます。7kmの徒歩を挟みますし、益田から海沿いのルートは選ぶべきではありません。

ということで、一行が益田に泊まり、津和野経由で萩を目指したのは正解です。「(津和野へ)ガッツリ行っちゃったほうがいい」という佐藤藍子さんの意見が正しかったわけです。

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長門市へ向かっていたら

3日目、一行はミラクルでした。津和野で15分、萩で1時間10分、秋芳洞で9分、美祢で6分と絶妙の乗り継ぎで下関に至ります。下関でも、関門人道トンネル入口の御裳川でしっかり下車し、ロスがありませんでした。

九州上陸後は、砂津や後藤寺の営業所できちんと情報収集し、手堅く博多まで抜けています。スタッフもびっくりの頑張りだったのではないでしょうか。

この日は迷いにくいルートでしたが、途中、萩では長門市方面へ向かう選択肢もありました。仮に萩から秋吉台へ向かわずに、長門市へ向かっていたら、どうなっていたでしょうか。

▽3日目
萩バスセンター11:33→12:36長門市駅12:37→14:50御裳川

実際ルートより約1時間、関門トンネルに到着するのが遅くなります。それでも、この後のリカバーは可能です。

直方を経由したら

一行は砂津の西鉄バス営業所で情報収集し、後藤寺を経由して博多へ抜けるルートを聞き出します。一方、砂津から博多へは、もう少し簡単なルートもありました。

▽3日目
15:43砂津16:07→17:10西鉄黒崎バスセンター17:20→18:10直方/直方駅前19:00→20:46博多バスターミナル

黒崎、直方の2回の乗り換えで、博多まで到達できます。直方駅前~博多のバスがJR九州なので、砂津の西鉄営業所では情報が得られなかったのかもしれませんが、不可能な乗り継ぎではなかったと考えられます。ただし、博多の到着時刻は、後藤寺経由と大差ありません。

「福岡都市高速」は高速道路か

意外と苦戦したのが福岡市近郊でした。福岡市と郊外を結ぶバスは福岡都市高速を経由する路線が多いため、一行は篠栗で乗り継ぐという手間をかけています。

福岡都市高速は道路法に基づく自動車専用道路で、高速自動車国道法に基づく高速道路ではありません。ですので、「たんなるバイパス道路」という理屈も成り立ちます。

「ローカル路線バスの旅」番組において高速道路の定義は曖昧ですし、気にせず乗ってしまってもいいのでは、という考え方もあるでしょう。実際、似たルートとだったルイルイ・蛭子の第9弾では、福岡都市高速を経由するバスに乗車しています。

ただ、福岡都市高速は、道路名が「高速」となっていますし、一般的な認識としても「高速道路」とみなされるでしょう。ルイルイ・蛭子の時代には通ったことがあるとはいえ、番組のルールは少しずつ変わっていますし、今回は厳密に適用したようです。

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大野城を経由した理由

福岡都市高速を通れないとなると、福岡市近郊を抜けるのは難題です。一行は4日目、朝8時の案内所オープンを待ちますが、この難題を解くには、それも致し方ありません。

4日目、案内所で情報を得た一行は、下道でイオン大野城、下大利駅と乗り継いで、洗出から甘木行きのバスに乗っています。この甘木行きは、博多から都市高速を経由してきたバスで、洗出の一つ手前の水城で下道に出ます。一行は、下道に出たところを、掴まえたわけです。

この乗り継ぎを、案内所の情報なしで得るのは、難しかったでしょう。

宇美を経由したら

では、博多を8時30分以降に出るという条件で、西鉄の路線図を見ながら他のルートを探してみましょう。地図上でわかりやすいのは、宇美経由です。

▽4日目
博多バスターミナル08:46→09:27宇美営業所10:04→10:26太宰府10:33→10:56 JR二日市 11:04→11:46甘木営業所

宇美経由でも、大野城経由とほぼ同じ時間に甘木に到着します。どちらを選択しても結果的には同じです。

博多から唐津へ向かえるか

博多から玄界灘に沿って唐津へ向かうことはできないか、と考えた人もいるでしょう。検討してみたところ、ここでも福岡都市高速が立ちはだかります。

▽4日目
博多駅07:25→07:39天神高速バスターミナル前/天神コア前07:53→08:29通町08:41→09:09九大農学部09:18→09:31前原09:51→10:17筑前深江駅前→徒歩約15.5km→浜崎四ッ角15:27→15:49大手口(唐津バスセンター)15:58→16:48伊万里駅前17:08→18:00松浦駅前18:06→18:52平戸桟橋

このように、時刻表上はゴール可能です。ただ、現実的にはどうでしょうか。

博多駅から九州大学へ直通バスはあるのですが、福岡都市高速を経由します。そのため、高速から降りる通町まで行ってから、九大行きのバスを掴まえることになります。しかし、通町へ行くには天神でバスを乗り継がなければなりません。このため、やや難解なルートになっています。

博多発九州大学行きの直通バスに乗れるなら、博多駅で「えいや」と乗ってしまう選択もあり得るでしょう。しかし、都市高速に阻まれて、それができない以上、選択可能性の低いルートと言わざるを得ません。

博多駅の案内所が開く8時を待っていたら、上記乗り継ぎでは平戸にたどり着けなさそうです。筑前深江から浜崎四ッ角まで15kmもの徒歩があるため、ルートとしても、優れているとはいえません。

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甘木の乗り逃しは影響したか

実際ルートに戻りましょう。4日目で気になったのは、甘木での乗り逃しでしょうか。一行は11時47分に甘木営業所に到着したものの、300m先の希声館前12時01発のバスを乗り逃してしまいました。

甘木営業所に着くバスは、希声館前を経由していただけに、バス運転手に確認をしていれば、乗り継げた可能性が高かっただけに悔やまれます。

仮に乗り継げた場合、以下のように繋がります。

▽4日目
洗出11:00→11:46希声館前12:01→12:24田主丸中央12:39→13:18西鉄久留米13:45→14:50佐賀駅バスセンター15:30→17:12山本17:53→18:30伊万里駅前

実際ルートをたどった場合、伊万里に18時30分に到着します。しかし、伊万里から佐世保のバスは、前述したように17時59分発が最終なので、伊万里で行き詰まることは同じです。つまり、実際ルートをたどるなら、希声館前の乗り逃しは影響を及ぼしませんでした。

嬉野温泉がポイント

実際ルートに戻ります。今回の旅で、最後の大きな選択地点は、佐賀駅バスセンターでした。最終目的地・平戸に向けて、どのルートをたどるか。一行は伊万里方面を目指し、山本へと向かいます。しかし、案内所では、武雄や鹿島方面も議論されました。そちらを選んでいたらどうなっていたでしょうか。

▽4日目
佐賀駅バスセンター16:25→17:40武雄温泉駅前/武雄温泉駅南口18:20→18:56嬉野温泉19:23→20:26佐世保駅前21:00→22:31平戸桟橋

▽4日目
佐賀駅バスセンター16:35→17:48鹿島バスセンター18:00→18:32嬉野温泉19:23→20:26佐世保駅前21:00→22:31平戸桟橋

このように、佐賀から武雄温泉、鹿島のどちらに向かっても、嬉野温泉を経由すれば平戸へゴールできました。

ポイントは嬉野温泉で、鉄道駅から離れた地域の要衝のため、路線バスが集まっています。佐賀から佐世保を目指すときに、伊万里だけでなく嬉野温泉を当面の目的地の候補にしておけば、ゴールへの道は発見可能だったでしょう。

番組を見ていると、佐賀駅バスセンターでの一行は、最初は武雄方面に心が動いていたようです。ところが、時間をかけて聞き込みをした結果、山本へ向かってしまいました。情報を集めた結果として間違えてしまったわけで、情報処理の難しさを感じさせる局面でした。

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三江線ルート

さて、話を最初に戻しましょう。出雲市を経由すると、1日目は出雲市までしか行けないことは前述しました。この初日の停滞を解消する方法はないのか、他のルートを探してみます。

一行が松江駅において、10時35分のバスを乗り逃さなかったという前提で、以下のようなルートがあります。

▽1日目
松江駅10:35→11:26大東駅前/出雲大東駅13:14→14:32たたらば壱番地15:00→16:15赤名駅16:34→17:00道の駅グリーンロード大和18:00→18:28美郷町役場前18:36→19:17大田駅前

1日目に大田駅前まで行けます。さらに山間部を抜ける方法もあります。

▽1日目
松江駅10:35→11:26大東駅前/出雲大東駅13:14→14:32たたらば壱番地15:00→16:15赤名駅16:34→17:00道の駅グリーンロード大和18:00→18:28美郷町役場前18:43→19:10石見川本19:50→20:58江津駅前

1日目の21時近くまでバスに乗ることで、江津駅まで到達できます。石見川本から江津へは、2018年3月に廃止された三江線の代替バスなので、最終便が遅くまで設定されているのです。このルートを「三江線ルート」と呼ぶことにします。

「三江線ルート」で江津に到達したとして、さらに先をたどると、以下のようになります。

▽2日目
江津駅前06:40→07:21浜田駅前08:10→09:37益田駅10:45→11:49津和野駅12:23→14:00萩バスセンター15:08→16:01長門市駅16:04→18:17御裳川→徒歩約1km→関門トンネル人道口19:05→19:51砂津 20:02→20:59黒崎バスターミナル21:05→21:48直方

▽3日目
直方駅前06:30→08:18博多バスターミナル08:45→09:22イオン大野城 10:00→10:12下大利駅→徒歩2.3km→洗出11:00→11:46希声館前12:01→12:24田主丸中央12:39→13:18西鉄久留米13:45→14:50佐賀駅バスセンター16:25→17:40武雄温泉駅前/武雄温泉駅南口18:20→18:56嬉野温泉19:23→20:26佐世保駅前21:00→22:31平戸桟橋

このように、3日目にゴールすることが可能です。

松江12時35分発の三江線ルート

実際ルートのように、初日に松江駅12時35分のバスに乗った場合の、三江線ルートも見ておきます。

▽1日目
松江駅12:35→13:26大東駅前/出雲大東駅15:44 →17:02たたらば壱番地17:45→18:53赤名駅19:36→20:06道の駅グリーンロード大和

▽2日目
道の駅グリーンロード大和06:35→07:31石見川本08:50→09:58江津駅前10:00→10:41浜田駅前13:40→15:05益田駅15:20→16:24津和野駅17:10→18:47萩バスセンター

▽3日目
萩バスセンター06:51→07:58長門市駅08:51→11:04御裳川

大和で宿泊できるか、という問題はあるものの、時刻表上は2日目に萩まで到達できます。3日目は午前中に関門海峡へ到達できますので、その後の道のりはラクになります。

初日の乗り逃しの影響は?

三江線ルートは、三刀屋から中国山地に突っ込んでいく道のりなので、情報をしっかり集めてからでないと、選択できないでしょう。その情報は大東か三刀屋で収集しなければなりませんが、江津までの道のりを見通すのは、実際には困難だった気もします。

つまり、三江線ルートは、一行が選択しうるルートとしては、あまり現実感がありません。逆にいうと、現実的に取り得るルートとして、一行が大東から出雲市へ向かったのは自然な成り行きです。

そして出雲市を経由する限り、初日の宿泊地点は出雲市にならざるを得ません。その意味で、初日の乗り逃しミスは、大勢に影響がなかったと考えることもできます。

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広島ルート

別の仮定として、中国山地へ突っ込んで、広島方面へ抜けていたらどうなっていたでしょうか。「広島ルート」と呼ぶことにします。

▽1日目
松江駅10:35→11:26大東駅前/出雲大東駅13:14→14:32たたらば壱番地15:00→16:15赤名駅18:09→18:57三次駅

▽2日目
三次駅07:37→08:24吉田出張所08:50→10:20安佐市民病院10:23→11:02広島バスセンター11:40→12:39阿品台北13:10→13:26広電阿品駅14:24→14:42公民館前15:05→15:30玖波駅15:40→16:05大竹駅→徒歩1.9km→和木駅17:55→18:15岩国駅

▽3日目
岩国06:35→08:24徳山駅前09:25→10:25防府駅前10:30→11:19山口駅12:50→13:56秋芳14:06→14:28美祢駅14:48→16:08御裳川→徒歩約1km→関門トンネル人道口16:53→17:43砂津18:11→19:13西鉄黒崎バスセンター19:25→20:08直方/直方駅前20:10→21:51博多バスターミナル

このように、3日目に博多までなんとかたどり着き、実際ルートに収斂します。仮に博多まで行けなかった場合でも、北九州市内まで到達していれば、翌朝平戸まで1日で到達でき、ゴール可能です。これについては後述します。

つまり、広島ルートでもゴールは可能な設定になっていました。

松江12時35分発の広島ルート

仮に松江10時35分発のバスに乗らず、12時35分発のバスに乗って広島へ向かっていたらどうなるでしょうか。

▽1日目
松江駅12:35→13:26大東駅前/出雲大東駅15:44 →17:02たたらば壱番地17:45→18:53赤名駅

▽2日目
赤名駅06:54→07:38巴橋07:41→08:24吉田出張所

となり、なんとか遅れを取り戻せます。ただ、巴橋の乗り継ぎに失敗したら、次のバスは3時間半後で、途端に苦しくなります。

結局、松江駅10時35分発のバスに乗っていれば、余裕のある時間に大東に着くことができ、その先、三江線方面や広島方面への選択肢を検討する余地も出てくるのですが、乗り逃したことで、時間的に出雲市のほかは行きづらくなった、とみることもできます。

そう考えると、松江での乗り逃しは、致命的ではないにしろ、やっぱりもったいなかったと考えることもできるわけです。

芸備線代行バスを使うと

さて、広島ルートについて、記事掲載後、「JR芸備線の代行バスが使える」というコメントをいただきました。たしかに、芸備線では三次~下深川間が災害運休中で、代行バスが走っています。これも路線バスの一種とみなせば、三次から広島市郊外まで、一気に移動できるわけです。

これを「芸備線ルート」と呼びましょう。以下のような乗り継ぎになります。

▽1日目
松江駅10:35→11:26大東駅前/出雲大東駅13:14→14:32たたらば壱番地15:00→16:15赤名駅18:09→18:57三次駅19:10→20:35中深川21:48→22:19広島バスセンター

▽2日目
広島バスセンター07:15→08:14阿品台北08:55→09:04広電阿品駅10:25→11:18玖波駅11:20→11:45大竹駅→徒歩1.9km→和木駅13:28→13:45岩国駅15:35→17:19徳山駅17:40→18:40防府駅前19:10→19:59山口駅

▽3日目
山口駅08:30→09:32秋芳洞10:27→10:53美祢駅10:58→12:28御裳川→徒歩1km→関門トンネル人道口12:53→13:41砂津14:06→14:35守恒14:45→16:04西鉄後藤寺営業所16:18→18:01博多バスターミナル18:45→19:28宇美営業所19:40→20:02太宰府20:32→20:54 JR二日市21:08→21:43甘木

▽4日目
希声館前06:18→06:38田主丸中央06:41→07:17西鉄久留米07:45→08:56佐賀駅バスセンター09:15→10:28武雄温泉駅前/武雄温泉駅南口10:50→11:23嬉野温泉11:48→12:55佐世保駅前13:30→15:02平戸桟橋

このように、4日目の午後には平戸に到着できます。ここまで急がなくても、3日目は博多泊まりにすれば、広島、山口、博多(福岡)という県庁所在地に1泊ずつしながら、4日目の夜に平戸に着くことが可能です。

このルートをたどったら、代行バスという時限的な路線を活用することで、ルイルイ・蛭子の第9弾と全く違う映像が期待できたでしょう。「芸備線ルート」は、「三江線ルート」よりは見つけやすそうですし、実現可能な範囲だったように感じられます。

乗り継ぎにも無理が少ないこともあり、今回のお題で「正解」を一つだけ挙げるとすれば、「芸備線ルート」ではないか、という気もしてきました。

松江12時35分発の芸備線ルート

松江駅12時35分発の「芸備線ルート」についてもたどってみます。

▽1日目
松江駅12:35→13:26大東駅前/出雲大東駅15:44 →17:02たたらば壱番地17:45→18:53赤名駅

▽2日目
赤名駅06:54→07:42三次駅08:00→09:28下深川09:48→10:25広島バスセンター11:40→12:39阿品台北13:10→13:26広電阿品駅1424→1442公民館前15:05→15:30玖波駅15:40→16:05大竹駅→徒歩1.9km→和木駅17:55→18:15岩国駅

▽3日目
岩国06:35→08:24徳山駅前09:25→10:25防府駅前10:30→11:19山口駅12:50→13:56秋芳14:06→14:28美祢駅14:48→16:08御裳川→徒歩約1km→関門トンネル人道口16:53→17:43砂津18:11→19:13西鉄黒崎バスセンター19:25→20:08直方/直方駅前20:10→21:51博多バスターミナル

広島以降は、松江10時35分発の「広島ルート」と同じになり、博多で実際ルートに収斂します。1日目の夜に赤名駅周辺で泊まれるかという問題は残るにせよ、実現可能なルートの一つではあったでしょう。

日田彦山線代行バスを使うと

もう一つ、JR代行バスを使うルートとして、日田彦山線経由も検討してみます。日田彦山線は、災害で添田~夜明間の鉄道が不通になっていて、代行バスを運行しています。難敵の福岡市内を避けるルートです。実際ルートで、西鉄後藤寺営業所に18時21分に到着したとして、続きをみてみましょう。

▽3日目
西鉄後藤寺営業所18:56→19:27添田駅

▽4日目
添田駅09:00→10:09夜明→徒歩8.0km→浮羽発着所12:46→13:48西鉄久留米

となり、夜明から浮羽まで、8.0km歩けば、浮羽発着所から西鉄久留米に到達できます。この浮羽から久留米へのバスは、実際ルートで一行が田主丸中央から乗ったバスと同じです。つまり、佐賀での選択を間違えなければ、ゴールできる乗り継ぎです。

この「日田彦山線ルート」は、西鉄バスとJR代行バスだけの乗り継ぎなので、後藤寺で情報を得るのは不可能ではないかもしれません。現実的に一行が選択しうるかというと、難しいとは思いますが、面白いルートです。

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ゴールから逆算すると

ここまでお読みいただいて、今回のルート設定も、後半で逆転を演出できる設定になっていたと感じられた方もいるかと思います。

では、最終日の逆転はどのくらいまで可能なのか。ゴールから逆算してましょう。乗り継いで平戸へ行ける「最終便」の時刻を探してみます。

▽4日目
砂津05:35→06:20西鉄黒崎バスセンター06:35→07:18直方07:40→09:37博多バスターミナル10:29→11:05イオン大野城 11:06→11:18下大利駅→徒歩2.3km→洗出12:00→12:45希声館前13:21→13:44田主丸中央13:49→14:28西鉄久留米14:45→15:50佐賀駅バスセンター16:25→17:40武雄温泉駅前/武雄温泉駅南口18:20→18:56嬉野温泉19:23→20:26佐世保駅前21:00→22:31平戸桟橋

直方、大野城経由でたどってみると、4日目の朝に砂津にいればいいことがわかります。最終日に北九州市内から一気に平戸まで到達できるわけで、「大逆転」を演出しやすいルートであることがわかります。

話はさかのぼりますが、3日目、益田から江崎に向かって7km歩いたと仮定しても、3日目夜には九州に上陸できますので、逆転は可能だった、ということになります。

まとめてみると

全体をまとめてみると、一行がたどったルートは、佐賀まではほぼ正解と言っていいと思います。三江線ルートや広島ルートは、事前に確たる情報をつかめないと選びにくいので、日本海側に沿った一行のルート選びは堅実でした。

北九州から福岡市へも迷いませんでしたし、難関だった福岡都市高速のハードルも、的確に切り抜けました。

それだけに最後の佐賀の三択だけが悔やまれます。武雄か鹿島に向かっていればゴールできただけに、山本へ向かってしまったのは、もったいなかったというほかありません。用意されていた逆転劇を、最後に逃してしまいました。

難易度は?

手堅く案内所で聞き込みをすれば、ギリギリでゴールできるようなコース設定でしたし、間違わなければ長距離の徒歩も挟みません。

たとえば関門海峡トンネルのある御裳川で降り損ねて下関市街地へ行ってしまっても、挽回できるくらいの時間的余裕はありました。

三江線ルートや、広島ルート、さらには長門市経由や直方経由など、複数の正解ルートも存在します。そうしたことを考慮すると、難易度が高いとはいえません。

とはいえ、距離は長いので、「平易」と表現するのも適切でない気がします。あいだを取って、中くらいの難易度という印象でしょうか。

「Z」シリーズにしては徒歩が短いのが特徴的で、「路線バス乗り継ぎ」の醍醐味が味わえる回だったのではないでしょうか。(鎌倉淳)

ローカル路線バス乗り継ぎの旅DVD

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