「ローカル路線バス乗り継ぎの旅8時間SP」の正解ルートを探り、検証する記事です。つづいて「3区」を検討してみましょう。
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「ローカル路線バス乗り継ぎの旅8時間SP」の正解ルートを検証する
湯沢ルート
「ローカル路線バス乗り継ぎの旅8時間SP」のルート検証、続いては「3区」です。メンバーは太川のほか、神田愛花、澤穂希です。
出発は、新庄駅です。2区と3区の間は、日にちを空けたようで、3区スタートの5日目は土曜日となっています。すなわち、太川チームに週末ダイヤが襲いかかります。
いまの新庄駅には、鉄道代行バスが余目(酒田)、院内(湯沢)、鳴子温泉の3方面に運行しています。鉄道代行バスは毎日運行なので、選択肢は豊富ですが、その先のコミュニティバスは週末運休が多く、乗り継ぎは難しいです。
実際の太川チームは、新庄での出発を遅らせ、案内所で情報収集のうえ、湯沢ルートを選択しました。
▽5日目(実際ルート)
新庄駅10:10→11:50院内駅→徒歩16km→湯沢営業所
新庄駅からのバスで、一気に県境を越えて秋田県に入りましたが、院内からのバスがありません。結局、湯沢営業所まで20km近くを歩くハメになりました。
酒田ルート
では、新庄から湯沢ではなく、酒田方面に向かっていたらどうなっていたでしょうか。酒田方面には、陸羽西線の代行バスが走っています。
▽5日目(酒田ルート)
新庄駅10:15→11:44余目駅→徒歩6.2km→末広口14:59→15:32酒田駅前(または新庄駅14:20→16:23酒田駅)→徒歩13.5km→遊佐駅
▽6日目(酒田ルート)
遊佐駅→徒歩24.7km→象潟駅15:20→16:32本荘営業所17:30→18:50秋田駅西口
このように、酒田から象潟までの間、約40kmでバスがありません。遊佐周辺に泊まったと仮定して、2日間で約40kmを歩き切れば、6日目の夜に秋田駅に到着できます。
とはいえ、40kmは尋常ではありません。湯沢ルートも、秋田まで合計20km以上歩いていますが、その倍となると、並大抵の脚力では乗り切れない、地獄のルートです。したがって、酒田ルートを選ばなかったのは正解といえます。
早朝酒田ルート
酒田ルートについては、新庄駅を早朝に出発できるなら、話は変わってきます。太川チームは、新庄駅で情報収集をするため出発時刻を遅らせましたが、仮に始発バスで出発できるのならば、酒田ルートで、次のように乗り継げます。
▽5日目(早朝酒田ルート)
新庄駅06:00→07:32酒田駅→徒歩13.5km→11:30遊佐駅12:08→12:38女鹿→徒歩2.8km→三崎公園14:40→15:01象潟駅前15:20→16:32本荘営業所17:30→18:50秋田駅西口
酒田駅から遊佐駅までの約13kmを歩けば、土曜日に運行している遊佐町のスクールバスに乗車できます。さらに、三崎公園からのコミュニティバスも土曜日は運行していますので、乗り継いで象潟駅に到達できます。結果として、5日目に秋田駅までたどりつけます。
5日目に秋田まで到達した場合、その後は次のように乗り継げます。
▽6日目(早朝酒田ルート)
秋田駅西口09:20→10:31五城目バスターミナル11:22→12:24ホテルサンルーラ大潟前→徒歩10.1km→八竜ふれあいセンター16:00→16:28能代ステーション
▽7日目(早朝酒田ルート)
能代ステーション10:07→11:00二ツ井駅前11:23→11:51道の駅ふたつい→徒歩2.2km→薬師山スキー場12:30→12:51鷹巣大町12:58→13:54大館駅前15:37→16:08矢立ハイツ
▽8日目(早朝酒田ルート)
矢立ハイツ→徒歩7.9km→道の駅いかりがせき07:50→08:45弘前バスターミナル09:30→10:03浪岡10:37→11:21青森駅前11:32→12:21後潟→徒歩2.7km→蓬田村役場前15:05→15:30蟹田駅前市場ウェル蟹前/蟹田駅前16:20→17:14三厩駅17:17→17:49龍飛埼灯台
このように、無理をせずとも、8日夕方の18時ごろに龍飛崎に到達できます。6日目から8日目の徒歩距離は、3日間で13km程度にとどまりますので、最近のバス旅のルートとしては、少ないほうでしょう。
したがって、早朝酒田ルートは、「最適解」の一つになりうるでしょう。
新庄駅での選択は正しかったか
現実の太川チームは、新庄駅を10時すぎに出発しました。放送では、「案内所での情報収集」が理由とされていましたが、そういう建前とはべつに、メンバーの集合など、ロケの事情があったのかもしれません。
そうであれば、5日目の新庄駅10発を、デフォルトの設定とみなさなければなりません。
新庄駅10時以降の出発では、先に述べたとおり、酒田ルートは地獄です。また、鳴子温泉方面へ向かっても、土曜日なので、鳴子から先のコミュニティバスが運行していません。バスのある古川駅までの距離は、約32kmで、やはり地獄が待っています。
となると、院内へ向かって北上するほかありません。つまり、太川の判断は正しかったことになります。
すなわち、新庄駅を10時過ぎに出発するのであれば、院内から湯沢までの20km程度を歩くのは不可避であり、適切な判断だったことになります。
横手まで進んでいたら
太川チームは、湯沢営業所に17時頃にたどり着きます。まだ動ける時間ですが、20km近くを歩き切った疲労も考慮して、5日目の日程を終えることになりました。
乗り継ぎルートを探すと、湯沢営業所を17時15分に出るバスに乗れば、横手の手前の十文字まで行くことはできます。
ただ、十文字から横手までは10km程度あります。そして、5日目のうちに横手まで行っても、翌朝の始発バスでスタートするなら、湯沢に泊まっても同じ乗り継ぎになります。
したがって、横手へ無理して進む必要はありませんでした。湯沢ステイは、無駄な歩きを増やさなかった点で、太川の好判断だったといえます。
羽後境ルート
6日目、澤に代わり、酒井貴士がメンバーに加わります。
太川チームは湯沢営業所を07時20分に出発し、横手を経て大曲に達しました。ここから秋田市へはバスが繋がらず、一行は頭を抱えます。
そこへ神田が、秋田空港を目指すアイデアを提案。バスの案内所の係員から、福部羅を経由するルートを聞き出し、乗り継いで秋田市内に到達しました。
▽6日目(実際ルート)
湯沢営業所07:20→07:58横手バスターミナル08:26→09:19大曲バスターミナル11:15→12:12福部羅→中新田13:15→13:34上中村→徒歩6.5km→秋田空港15:30→16:10秋田駅西口
このとき、他の乗り継ぎルートはなかったのでしょうか。たとえば、以下のような形が考えられます。
▽6日目(羽後境ルート)
大曲バスターミナル11:15→12:12福部羅(中新田)13:15→13:51境営業所→徒歩10km→式田口入口16:05→16:28イオンモール秋田17:20→17:52秋田駅西口
福部羅からのバスを上中村で降りずに、終点の境営業所まで乗り、国道13号線を秋田方面に向かって歩けば、式田口入口というバス停を見つけられるでしょう。そこからは、日曜日でもイオンモールを経由して、秋田駅に乗り継げます。
秋田空港を経由するルートよりも、徒歩距離が3km以上長くなりますが、とにかく秋田市へ向かって歩けば発見できるルートですので、難易度は、やや低そうです。
いずれにせよ、大曲市から秋田市へは、福部羅へのバスに乗り込めば、あとは脚力で解決可能な設定になっていた、というわけです。
五城目まで進んでいたら
実際ルートの太川チームは、6日目の16時すぎに、秋田駅に到着しました。その先、五城目までのバスはまだありましたので、進もうと思えば進めました。
五城目まで進んでいたら、7日目以降は、以下のように乗り継げます。
▽7日目(月)
五城目06:35→07:21ホテルサンルーラ大潟前→徒歩5km→追泊公民館前09:12→09:45八竜ふれあいセンター 10:00→10:28能代ステーション12:07→13:00二ツ井駅前13:06→13:34道の駅ふたつい→徒歩2.2km→薬師山スキー場14:15→14:43鷹巣駅前14:51→15:54大館駅前
7日目は、夜間行軍なしで、大館駅まで到達できます。能代~大館間で歩くのは2kmあまりに減るため、7日目の髙木チームは、ずいぶんラクになったことでしょう。すなわち、できることなら、6日目は五城目まで進んでおきたかったところです。
ただ、五城目や、その先の八郎潟には宿泊施設が乏しいです。それを考慮して太川チームが秋田市で打ち止めとしたのは、やむを得ない判断でしょう。
それでも、6日目に秋田市に到達したことで、ゴールの可能性を残しました。新庄駅10時出発をデフォルトとすれば、十分な結果です。太川チームは、3区もきっちりと、ミッションをコンプリートしたことになります。
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「ローカル路線バス乗り継ぎの旅8時間SP」の正解ルートを検証する【4】