テレビ東京系列の「ローカル路線バス乗り継ぎ人情ふれあい旅」(ローカル路線バス乗り継ぎの旅)の第17弾が放送されました。これは、太川陽介と蛭子能収がローカル路線バスを乗り継ぐテレビ番組です。今回のマドンナは宮地真緒でした。
第17弾の目標は、山口県山口市から高知県室戸岬まで、路線バスを乗り継いで3泊4日で到達する、というものです。結論だけ書くと、史上最速の速さで成功。4日目の昼過ぎには室戸岬に到達することができました。
とはいうものの、2日目のルートは過酷で、いくらなんでも歩きすぎじゃないの? と思った人も多いでしょう。宮地真緒が「路線バスの旅ってウソだ~」と番組内で嘆いていましたが、たしかにあれだけ歩くと、「路線バス」の旅とはちょっと違う気もします。
では、あんな過酷な方法を取らないで乗り継ぐことはできなかったのでしょうか。もっと別のルートがあったのではないでしょうか? そもそも、室戸岬にあんなに早く着いたということは、「想定される本当の正解」は、別のルートだったのでは? と思った人もいるでしょう。ということで、他にルートがなかったのかを検証してみます。
実際ルート
まず、第17弾実際に3人が旅したルートは以下のようになりました。時刻表上の定刻を示しています。実際の旅では多少のずれがあったと思われます。
▽1日目
山口駅7:25→8:53徳山駅940→11:24岩国駅12:00→12:15和木駅→(徒歩)→大和橋13:33→(徒歩)→大竹駅13:15→13:28玖波駅14:17→14:47公民館前14:53→15:13広電阿品駅15:42→15:55阿品台北16:05→17:01広島バスセンター17:48→19:33西条駅19:46→20:41竹原駅
▽2日目
竹原駅6:35→7:38三原駅8:03→8:26登山口8:28→8:42尾道駅9:10→9:28川尻池下→(徒歩)→大橋入口11:30→11:52瀬戸の浜→(徒歩)→生口橋入口12:47→13:01瀬戸田港14:37→14:45多々良大橋歩行者道入口〔フリー乗降区間〕→(徒歩)→上浦芸術会館16:15→16:32出口→(徒歩)→枝越→(徒歩)→大島浄園18:40→(早川折り返し)→18:58大島営業所
▽3日目
大島営業所6:53→7:16下田水港→(徒歩)→展望台入口8:57→9:31今治営業所9:40→9:43今治桟橋10:30→11:47松山市駅12:04→12:10JR松山駅12:20→14:06落出17:10→17:40大崎17:52→18:07狩山口
▽4日目
狩山口7:42→9:25はりまや橋9:50→11:23安芸駅11:36→1256室戸岬
今回は、ルート選択の幅は狭く、太川陽介リーダー(ルイルイ)が「どちらにしようか」と決断しなければならないような選択肢はほとんどありませんでした。あったとすれば、1日目の岩国~広島付近と、3日目の今治における西条か松山かの決断くらいです。
写真:テレビ東京ホームページより
ローカル路線バスの旅 第17弾 山口市~室戸岬 ふれあい珍道中
太川陽介/蛭子能収/宮地真緒
西条駅に向かっていたらどうなっていたか
まず、西条駅に向かっていたらどうなっていたでしょうか。結論だけ書くと、そのまま室戸岬に抜けることは可能でした。
▽3日目
(前略)今治営業所10:08→11:23西条駅前16:23→16:59川来須→(徒歩)→木の香温泉泊
▽4日目
木の香温泉→(徒歩)→長沢9:05→10:52はりまや橋
ただ、川来須~長沢間は直線距離で12km、道路なら峠越えで20km程度は歩かなければならないので、不可能ではないですが、しまなみ街道以上にハードだったでしょう。したがって、これは「正解ルート」ではなかったと思われます。
実は今治に泊まっても間に合った
話を戻して、疑問として浮かんでくるのは、2日目の徒歩です。こちらも全部で20kmくらい歩いた、と番組内でルイルイが明かしていますが、そんなに歩くのが正解なのか? と考えてしまいます。
実は、ゴールから逆算してみると、室戸岬に4日目に着くには、4日目の朝に今治を出ればいいことがわかります。その場合のルートは以下のようになります。いわば、4日目の「最終乗り継ぎルート」です。
▽4日目最終ルート
今治駅前7:37→8:49松山市駅→JR松山駅9:50→11:34落出11:55→12:25大崎12:27→13:38狩山口15:20→17:03はりやま橋18:00→19:25安芸営業所19:30→20:51室戸岬
実際は、はりまや橋を18時30分のバスに乗っても、室戸岬に着くことが可能ですが、今治からの接続ですと、上記のルートが最終になります。
今治より前を逆算していくのは、徒歩の速度の想定が難しいのでなかなか複雑ですが、ざっと見たところ、尾道に宿泊していれば、その日のうちに今治に着くことは可能と思われます。
▽3日目の最終接続例(大雑把な仮定です)
尾道駅6:40→6:58川尻池下→(徒歩)→大橋入口9:30→9:52瀬戸の浜→(徒歩)→生口橋入口10:58→11:12瀬戸田港11:19→11:27多々良大橋歩行者道入口〔フリー乗降区間〕→(徒歩)→上浦芸術会館11:58→12:15出口→(徒歩)→枝越14:17→14:16浜の上→(徒歩)→大島浄園16:02→16:30下田水港→(徒歩)→展望台入口18:17→18:41今治駅前
想定外のがんばりだった?
つまり、逆算すると、2日目の夜は尾道~今治間のどの島に泊まっても4日目に室戸岬にゴールすることは可能だったわけです。ならば、1日20km歩行なんて強行軍をする必要はなく、途中の島に泊まって、10kmずつ2日に分けて歩けばよかった、ということになります。
もちろんこれは、結果論です。現場のタレントはそんな計算をすることはできません。ただ、スタッフがある程度の余裕を持って「正解」を設定していたことがわかります。一方、現場のタレント3人は「今回は必ずゴールする!」と強い意思を持っていたので、未曾有の強行軍を実行したのでしょう。その強い意志は、スタッフにとっては想定外だったのかもしれません。
今回のルートは、正解のルートを探すのが比較的容易でした。そして、日程にも余裕があり、たとえば山口~広島の県境でミスをしても十分挽回が可能でした。順調に日程をこなしていれば、1日の徒歩は10km程度に抑えることも可能でした。総合すると、簡単なルート設定になっていたといえます。前回が難しすぎたので、今回は簡単にしたのかもしれません。
スタッフの想定としては、広島、生口島、松山あたりに泊まるルートだったのではないでしょうか。あるいは、広島、尾道、今治に泊まっても大丈夫だったわけです。これなら3泊ともホテルに泊まりことができ、蛭子さんの下着も洗濯できたでしょう。