全国の主要スキー場でリフト券の高騰が止まりません。全国のスキー場の2024年シーズンのリフト券価格を調査したところ、前年に比べ平均で約11%値上がりしていて、大規模スキー場では大人1日券7,000円台が増加しています。
主要スキー場60箇所調査
2023-2024年のスノーシーズン入りを前に、全国のスキー場が相次いでリフト券価格を発表しています。その価格を当サイトが調査したところ、大人1日券が平均で約11%値上がりしていることがわかりました。
スキー場は、照明や圧雪、暖房などで光熱費がかさみます。円安や燃油費高騰によるインフレにより、2022-23シーズンで、各スキー場は10%程度の値上げをしていました。今シーズンもインフレは止まず、人手不足による人件費上昇も加わり、各スキー場はさらなる値上げを実施。リフト券価格に反映される形となりました。
調査は、すでに2024年シーズンのリフト券価格を発表している主要スキー場60箇所(一部で共通リフト券との二重計上を含む)を対象におこないました。ウェブサイトなどで公表している大人1日券(土休日)の窓口販売価格を調べています。2023年リフト券価格が未発表のスキー場は調査対象外です。
2023/24リフト券価格比較
2023年と2024年の主要スキー場リフト券価格調査の結果は下表の通りです。
スキー場 | 2024年 | 2023年 | 値上げ率 |
---|---|---|---|
富良野 | 7000 | 6500 | 8% |
トマム | 7000 | 5900 | 19% |
ニセコ全山 | 9500 | 8500 | 12% |
ニセコヒラフ | 7800 | 6600 | 18% |
ニセコビレッジ | 7800 | 6800 | 15% |
ニセコアンヌプリ | 6700 | 5900 | 14% |
ルスツ | 11500 | 8800 | 31% |
カムイ | 3800 | 3800 | 0% |
サホロ | 7700 | 6600 | 17% |
札幌国際 | 5000 | 4800 | 4% |
テイネ | 6600 | 5700 | 16% |
キロロ | 7400 | 6500 | 14% |
夏油高原 | 6000 | 5400 | 11% |
安比高原 | 7000 | 5500 | 27% |
蔵王温泉 | 6500 | 6300 | 3% |
ネコマ* | 5500 | 4900 | 12% |
猪苗代 | 5600 | 5600 | 0% |
箕輪 | 5000 | 4500 | 11% |
会津高原たかつえ | 5500 | 4500 | 22% |
ハンターマウンテン | 5700 | 5500 | 4% |
たんばら | 5200 | 5000 | 4% |
万座温泉 | 5500 | 5000 | 10% |
Mt.Naeba | 8000 | 7000 | 14% |
苗場 | 6800 | 6000 | 13% |
かぐら | 6800 | 6000 | 13% |
岩原/上越国際 | 5800 | 4500 | 29% |
神立 | 5700 | 5200 | 10% |
GALA | 6500 | 6000 | 8% |
川場 | 5800 | 5500 | 5% |
尾瀬岩鞍 | 6000 | 5500 | 9% |
丸沼高原 | 6000 | 5500 | 9% |
軽井沢プリンス | 8000 | 7500 | 7% |
パラダ | 5300 | 4800 | 10% |
湯の丸 | 4800 | 4500 | 7% |
菅平高原 | 5400 | 5400 | 0% |
志賀高原 | 7500 | 6500 | 15% |
志賀高原焼額山 | 7000 | 6000 | 17% |
竜王 | 5200 | 5200 | 0% |
野沢温泉 | 6800 | 6000 | 13% |
戸隠 | 5000 | 4500 | 11% |
斑尾高原 | 6500 | 5500 | 18% |
斑尾タングラム | 7000 | 6000 | 17% |
赤倉観光 | 5300 | 4800 | 10% |
妙高杉の原 | 6000 | 5300 | 13% |
アライ | 6600 | 6000 | 10% |
白馬岩岳 | 5200 | 5000 | 4% |
白馬五竜/47 | 7500 | 6000 | 25% |
白馬八方尾根 | 7200 | 6500 | 11% |
つがいけ | 6400 | 5900 | 8% |
車山高原 | 5200 | 5200 | 0% |
白樺高原/2in1 | 5400 | 4800 | 13% |
ブランシュたかやま | 5400 | 5200 | 4% |
開田高原 | 4800 | 4600 | 4% |
高鷲/ダイナランド | 5700 | 5400 | 6% |
鷲ヶ岳/ホワイトピア | 5500 | 5200 | 6% |
めいほう | 5500 | 5200 | 6% |
ウイングヒルズ白鳥 | 5500 | 5200 | 6% |
スキージャム勝山 | 5500 | 5300 | 4% |
奥伊吹 | 5700 | 5400 | 6% |
びわ湖バレイ | 6300 | 6000 | 5% |
平均 | 6263 | 5628 | 11% |
(禁転載)
*ネコマの2022年はアルツ磐梯の価格
ルスツは2年1.7倍に
調査した主要スキー場でもっとも値上げ率が大きかったのが、北海道のルスツリゾート。2023年シーズン(前年度)が8,800円のところ、2024年シーズン(今年度)は11,500円となり、31%の大幅値上げです。
ルスツは2022年シーズンでは6,500円だったので、2年間で合計77%の大幅値上げを実施したことになります。これだけの値上げをしたスキー場は他になく、全国スキー場のリフト券価格引き上げを先導している形です。
ただし、ルスツはオンライン購入の価格は9,700円に抑えていて、窓口販売より15%も割り引いています。
北海道で高騰目立つ
ルスツ以外でも、北海道ではリフト券相場が高騰しています。ニセコ、キロロ、トマム、富良野、サホロといった大型リゾートでは、「リフト1日券7,000円台」が定着しました。
一方、北海道でも、札幌国際やカムイといった、リゾート色の薄いスキー場は比較的低価格を維持しています。とくにカムイは2020年シーズンから価格を据え置いていて、1日券3,800円は、北海道の大型スキー場では異例の低価格となっています。
白馬五竜/47がエリア最高値に
本州のリゾート地では、白馬五竜/47が前年の6,000円から今年は7,500円と、25%の大幅値上げに踏み切りました。
これにより、白馬五竜/47は、白馬八方尾根の7,200円を抜き、白馬エリアで1日券が最高値のスキー場となりました。ただし、オンラインのチャージ購入では6,500円となっていて、八方尾根のチャージ購入6,900円より安くなっています。
安比高原は反動値上げ?
「アスピリンスノー」で知られる安比高原も値上げ幅が大きくなっています。1日券が前年の5,000円から、今年は一気に7,000円としました。27%の値上げです。
安比は前年に稼働リフトを削減し、ナイター営業も取りやめ、かわりにリフト券を100円値下げしています。今年はその反動もあってか、値上げ率が高くなりました。
岩原・上越国際も大幅値上げ
岩原/上越国際では、リフト券の券種に動きがありました。両スキー場は共通リフト券(相互利用は1日単位)を発売してきましたが、今シーズンからリフト券を「入場券」と改称、券種も変更のうえ価格を改定しました。
前年は「ロング1日券」(08:00~ナイター)を4,500円で発売していましたが、今年は「1日入場券+」という名称に変更し、ほぼ同内容を5,800円で販売しています。実質的に29%の値上げといえます。
また、前年まで販売していた「6時間券」(3,500円)を終了し、今年は「1日入場券」(08:00~17:00)を設定し、価格は5,500円となりました。6時間券と1日券を同列には比較できませんが、「6時間券」は使い勝手が良かっただけに、ユーザーには厳しい話です。
平均価格6,260円
調査した60スキー場のリフト1日券の平均価格は約6,260円。調査対象に小規模ローカルスキー場は含んでいないので、「全スキー場の平均」とは異なりますが、少なくとも大型スキー場において、リフト1日券の相場が6,000円台に乗ったことは確かでしょう。
表を見ていると、大型スキー場でリフト1日券が5,000円台だと「安い」と感じてしまうようになってしまいました。数年前には考えられなかったことです。
リフト1日券が7,000円台以上のスキー場は13箇所(共通券含む)を数えました。前年の4箇所から大きく増加しています。
リゾートスキー場で高く
全体でみると、インバウンドの流入が多そうな超大型スキー場やリゾートスキー場でリフト券の高騰が激しくなっていて、こうしたスキー場では1日券7,000円台が珍しくなくなりました。
いっぽう、公設民営など地元主導型のスキー場の値上げ率はそれほどでもありません。運営委託時の契約や取り決めなどがあるのか、同規模の民間スキー場と比べて、値上げが抑えられている印象があります。
エリア的には、インバウンドが盛んな地域で値上げが激しく、インバウンドの恩恵の少なそう地域では、値上げ率が控えめです。言い換えれば、日本人客の割合が高いスキー場では、物価上昇の価格転嫁をしきれていない可能性がありそうです。
窓口とウェブに価格差
また、窓口とウェブ販売の価格差を大きくするスキー場が増えています。こうしたスキー場では、表面的には大幅値上げでも、地元客などリピーター向けに手頃なチケットを設定していることがあります。
子ども料金は据え置くなど、ターゲットによって値上げ幅を変えているスキー場も少なくありません。傾向としては小学生料金の値上げはどこも控えめですが、シニア料金は対象を狭めるなど、厳しい動きも見受けられます。
利用者としては、スキー場を選ぶ際に、ウェブ販売などの安いチケットを探しつつ、属性にあわせて価格を確認するといいでしょう。(鎌倉淳)