JR東日本が「キュン♥パス」を再発売します。JR東日本が全線乗り放題で1日10,000円。今回は18,000円の2日間版も登場します。詳細を研究してみましょう。
バレンタインデーから1ヵ月
「キュン♥パス」の正式名称は、「旅せよ平日!JR東日本たびキュン♥早割パス」。平日限定でJR東日本全線が新幹線・特急も含めて自由席に乗り放題となるフリーきっぷです。
価格は1日版が10,000円、2日版が18,000円。普通車指定席は、1日版は2回まで、2日版は3回まで利用可能です。
利用期間は2025年2月13日~3月13日の平日。「バレンタインデー前日からホワイトデー前日」の1ヶ月間です。利用日の14日前までの購入が必要です。
「キュン♥パス」は、2024年に「2月14日~3月14日」で、1日版のみ発売で初登場しました。2025年は、2日版を追加し、利用期間は2月13日~3月13日となりました。1日ずれたのは、2日版を追加したことと、曜日並びの関係と思われます。
「キュンパス」の概要
「旅せよ平日!JR東日本たびキュン♥早割パス」(キュン♥パス)の概要は以下の通りです。
■旅せよ平日!JR東日本たびキュン♥早割パス(キュン♥パス)の概要
【利用期間】
2025年2月13日~3月13日の平日限定
【発売期間】
2025年1月13日~2025年2月26日(1日間用は2月27日)
※利用開始日の1ヶ月前から14日前まで発売
【有効期間】
1日間または2日間
【価格】
1日間用:大人 10,000円
2日間用:大人 18,000円
※いずれも子ども用の設定なし
【発売方法】
えきねっと限定発売(窓口販売はなし)
【フリーエリア】
JR東日本全線、青い森鉄道線、いわて銀河鉄道線、三陸鉄道線、北越急行線、えちごトキめき鉄道線(直江津〜新井間)
【効力】
普通・快速列車と特急列車など(新幹線を含む)の普通車自由席および BRTが1日間乗り降り自由。あらかじめ座席の指定を受ければ、新幹線・特急列車などの普通車指定席に、1日間用は2回、2日間用は4回、それぞれ乗車可能。
えきねっとで予約可能
盛岡~新青森間、盛岡~秋田間、福島~新庄間内の各駅相互発着の場合は、指定席の利用回数に数えることなく普通車の空いている席を利用できます。仙台~盛岡間の途中駅に停車する「はやぶさ」「はやて」「こまち」で、仙台~盛岡間内の各駅を相互に利用する場合も同様です。
座席の指定は、「えきねっと」またはフリーエリア内の指定席券売機等で可能です。「えきねっと」で購入と同時に指定席の申込みもできます。マイページにて、後から指定席の申込みや変更をすることもできます。
定められた回数を超えて、または、あらかじめ座席の指定を受けずに指定席を利用する場合は、運賃のみ有効となり、別に無割引の特急券等が必要です。
悪くない使い勝手
以上が「キュン♥パス」の概要です。2024年版と同様の内容で、ルール変更は見当たりません
平日限定で1日1万円乗り放題、2日間なら1割引、というわかりやすい設定です。指定席は1日分につき2回まで利用可能なので、たとえば「はやぶさ」で東北方面へ日帰り旅行することも可能です。
1日ごとの発売となったため、連続使用する必要もなく、現地滞在を挟んで旅行することもできます。2日間用の割引率が1日にとどまるため、1日間用の割高感はありません。
一方、発売期間が14日前までというのは、やや厳しい制約です。ただ、払い戻し手数料は660円ですので、「休めるかどうかわからないけれど、とりあえず買ってしまった」場合でも、傷は浅いでしょう。
なお、有効期間開始日の変更は、有効期間内で未使用の場合に限り、変更先の有効期間開始日の14日前まで1回のみ取り扱います。有効期間前半分なら、後半の時期に変更することは可能です。
東京~仙台片道で元が取れる
東京~仙台の「はやぶさ」正規運賃・料金は、閑散期で11,210円です。東京~新潟の「とき」は10,560円です。つまり、東京~仙台・新潟を片道乗るだけで元が取れるきっぷです。その意味では「キュン♥パス」は破格でしょう。
現実には、14日前までなら「お先にトクだ値」がもっと安く購入できますので、必ずしも「キュン♥パス」がおトクではありません。
しかし、お先にトクだ値は売り切れやすいですが、「キュン♥パス」には発売枚数の制限はありません。「仙台や新潟へ行くだけで元が取れる」と考えれば、気軽に購入できるのではないでしょうか。
週末パスと比較すると
JR東日本の乗り放題きっぷとしては、週末パスも健在です。関東甲信越と南東北のJR東日本線が土休日に2日間乗り放題で8,880円です。
大前提として、平日限定の「キュン♥パス」と週末限定の「週末パス」は利用条件が異なるのですが、それを承知で比較してみます。
東京~仙台間の「はやぶさ」を利用する場合、通常期指定席特急料金は5,040円なので、週末パスで東京~仙台を「はやぶさ」で往復した場合、合計18,960円となります。
一方の「キュン♥パス」なら日帰り往復で10,000円。2日間の往復で18,000万円となり、差はほとんどありません。その他で特急・新幹線乗り放題が付くことを考えれば、「キュン♥パス」のお得度が感じられるのではないでしょうか。
首都圏特急には向かない
とはいえ弱点もあります。「あずさ」「ひたち」など、首都圏の在来線特急の多くは全車指定席になってしまっているので、キュンパスの「乗り放題」は封じられ、3回目以降の乗車は指定席特急料金が必要になります。
つまり、首都圏の特急には乗り放題ではないので、首都圏の在来線特急を利用するだけで、1日1万円の元を取るのは難しいでしょう。東北地方の列車を、新在取り混ぜて乗りまくるのに適したきっぷといえそうです。
卒業旅行にも
2月から3月にかけての平日設定ということで、「キュン♥パス」のメインターゲットは大学生でしょう。とくに、手頃な卒業旅行に向いているきっぷです。2日間用が設定されたことで、宿泊旅行もしやすくなりました。
年齢は問わないきっぷなので、もちろん、シニアも活用できます。少し前に日程を固めて、出かけてみるのもよさそうです。(鎌倉淳)