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京都市バス「二重価格」の賛否。市民200円、観光客は最大400円に

2027年度にも導入

京都市が市バスの運賃を居住地によって分ける「二重価格」を導入する方針を明らかにしました。市民は200円、市民以外は350円以上という大きな差です。賛否はあるものの、オーバーツーリズムに悩む京都では、大きな反対もなく受け入れられそうです。

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「市民優先価格」

京都市の松井孝治市長は、2026年2月25日の市議会で、市バスの運賃を居住地によって分ける「市民優先価格(二重価格)」の具体的な導入案を明らかにしました。

京都市民の運賃を現行より値下げするいっぽう、観光客など市民以外の運賃を大幅に値上げするという内容です。

公表された案によると、京都市バスの均一区間の運賃は、京都市民が200円となり、現行230円から30円を値下げします。いっぽう、市民以外は350円~400円とし、120円~170円の値上げとなります。

京都市バス

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観光客に相応の負担

実現すれば、市民と非市民の市バス運賃で最大2倍の差が生じることになります。

松井市長は「懲罰的な値上げが目的ではなく、観光と市民生活の両立のため」と強調。観光客に相応の負担を求めることで混雑緩和を図りながら、人件費や燃料費の高騰に対応する狙いであると理解を求めています。

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マイナンバーカードで識別

市民と非市民の判別については、交通系ICカードとマイナンバーカードを紐付ける方式を採用します。これにより、乗降時の一瞬で判別が可能となります。

2026年2月18日には、国土交通省とともに実証実験を実施しました。バス車内の精算機でスムーズに識別できることを確認したうえで、2027年度中の運用開始を目指します。

市外から通勤・通学・通院などで頻繁に乗車する利用者に対しては、多頻度割引などの負担軽減策を検討します。定期運賃は現行水準で据え置くため、定期利用の通勤・通学客は、市外からの利用でも影響は小さくなるようです。

いっぽう、大阪市など他都市からの観光客は、近隣であっても「非市民価格」の対象ですので、大幅値上げとなりそうです。

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道路運送法に抵触しないか

これまで、公営交通が特定の客を居住地で区別することは、道路運送法が禁じる「不当な差別的取り扱い」に抵触する恐れがあるとして、実現が困難とみられてきました。

しかし、深刻なオーバーツーリズム(観光公害)を受け、2023年の観光庁の対策パッケージに「運賃設定の規制緩和」が盛り込まれたことで、導入の道筋が見えてきました。

京都市では、京都市バス以外の民間バス会社とも調整し、市内全域での制度導入を目指しています。2026年度中に条例改正案を市議会へ提出し、国交省の認可を得る方針です。

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賛否はあるが

公共交通に「市内外価格差」をつけるのは、日本においては歴史的なことです。

京都市民が京都市バスを安く利用できるのは当然という考え方もできます。いっぽうで、公共交通機関が、利用者の居住地により運賃に差をつけることは不適切であるという意見も、当然あります。

京都市だけが導入したら、たとえば京都市民は京都市バスも大阪市バスも安く利用できるのに、大阪市民は京都市バスで高い運賃を支払うことになりますので、不公平という不満も出てくるでしょう。

そうした賛否はあるものの、昨今のオーバーツーリズムに対する世論をみれば、京都のような観光都市でこうした制度を導入することに対し、国内から大きな反対は出にくいようにも思えます。

現実問題として、観光都市である京都市のバスは、市外の客の割合が他都市に比べて突出して高く、その混雑により、市民生活に影響がでていることが知れ渡っているためです。

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他都市にも波及?

京都市でバス運賃を値上げしても、観光客の利用者が大きく減るとは思えません。それだけに、この施策を実施すれば、市バスとしては確実な増収が見込まれます。それは、設備・車両の拡充や乗務員の待遇改善に資するでしょう。

有権者である市民に負担を求めずに、市バスの経営を改善できるのですから、為政者としては実に望ましい策といえそうです。

そのため、今回の「京都モデル」が実現すれば、オーバーツーリズムに悩む他都市へ波及する可能性は高そうです。

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観光地にも広まる?

マイナカードと交通系ICカードの紐付けによる居住地確認という手法も、今回の大きなポイントです。

交通系ICカードを決済手段にしているのは、交通機関だけではありません。この手法を活用すれば、観光地の入場料などに「市民割引」を導入することが容易になります。

となると、たとえば姫路城など、オーバーツーリズムが課題となっている観光地でも、こうした二重価格が広まる可能性がありそうです。(鎌倉淳)

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