黒部峡谷鉄道欅平駅の先にあるエリアを探訪する初のツアーが開始されました。「黒部峡谷パノラマ展望ツアー」で、これまで一般には非公開だった「黒部ルート」の一部をツアー化したものです。
工事用トロッコ電車と竪坑エレベーターに乗れる
このツアーは北陸新幹線開業にあわせ、黒部峡谷の新たな観光ルート開発として富山県、黒部市、関西電力、黒部峡谷鉄道、黒部・宇奈月温泉観光局が連携し商品化したものです。ツアーの企画・実施は株式会社観光販売システムズが行っています。
ツアーは黒部峡谷鉄道宇奈月温泉駅の発着。まず黒部峡谷鉄道で欅平まで行き、さらに関西電力黒部専用鉄道の工事用トロッコ電車に乗り換えます。このトロッコ電車で欅平下部駅まで乗り、竪坑エレベーターで上がって展望台に寄った後、黒部川第三発電所の水圧鉄管へ伝わる上部トンネルを歩いて外に出ます。最後は登山道を歩き、「パノラマ展望台」が終点です。パノラマ展望台からは、北アルプスの雄大な景色を楽しむことができます。
上部軌道やインクラインには乗れない
黒部峡谷鉄道欅平駅から黒部ダムに至る輸送ルートを「黒部ルート」といいます。工事用トロッコ電車、竪坑エレベーター、上部専用軌道、インクライン、専用バスを乗り継ぐ壮大なルートですが、関西電力の設備であり一般非公開です。「黒部峡谷パノラマ展望ツアー」は、黒部ルートの一部を初めて一般人向けに旅行商品化したものです。
黒部ルート全体に関しては、「黒部ルート見学会」と称する無料の見学ツアーが関西電力などにより年に30回ほど行われています。したがって、応募して当選すれば一般人でも黒部ルート全体を体験することはこれまでも可能でしたし、現在も可能です。
その「黒部ルート見学会」と比べると、「黒部峡谷パノラマ展望ツアー」は上部軌道やインクライン、専用バスに乗れませんし、黒部川第四発電所の見学会もありません。一方、竪坑エレベータを出た後、徒歩で上部トンネルを歩けたり、外部の登山道を登れたりするのは、「黒部ルート見学会」にはない内容です。
黒部の奥地で山歩きができるのは魅力
乗り物好きは「黒部ルート見学会」のほうが楽しいでしょうが、「パノラマ展望ツアー」は別の魅力があるといっていいでしょう。何よりも、黒部の奥地で外に出て山歩きができるのは気分が良さそうです。そして「パノラマ展望ツアー」には「黒部ルート見学会」のような抽選はありませんので、参加がしやすいのも長所といえます。
「黒部峡谷パノラマ展望ツアー」は、2015年11月30日まで、毎週金曜から月曜の週4日行われます。ツアー代金はおとな5,000円、小学生3,200円で、宇奈月~欅平の往復運賃も含まれます。ツアーの所要時間は約7時間、1日4回実施され、各回の募集定員は53人。小学4年生以下は参加できません。