今年も、立山黒部アルペンルートが美しい季節になってきました。ですが、今年も「立山黒部アルペンきっぷ」の東京発設定はありません。「立山黒部アルペンきっぷ」をJR東日本は販売していないため、東京からの設定がないのです。
では、東京から立山黒部アルペンルートを鉄道で旅するときに、どういうきっぷの買い方をしたら安く行けるのでしょうか。検討してみました。
週末パスや一筆書きで計算してみる
まず、立山黒部アルペンルート全区間(電鉄富山駅~信濃大町駅)の正規運賃は10,850円です。消費税増税で2014年シーズンは少し値上がりしました。この区間の割引チケットはほとんどありません。JAF会員の場合に、立山~扇沢間が10%割引になる、というくらいです。したがって、ここではアルペンルート区間は無割引と考えます。
最初に、全区間を正規運賃できっぷを買うとどうでしょうか。東京→越後湯沢→富山→アルペンルート→信濃大町→新宿、というルートで考えてみます。東京→富山は上越新幹線と特急「はくたか」、信濃大町→新宿は特急「スーパーあずさ」を使うと仮定します。すると、11,910円+10,850円+7,650円=合計30,410円になります(通常期、以下同)。
上記のルートで、富山までの往復に週末パスを使うとどうでしょうか。直江津→富山間だけ別運賃を払います。すると、8,730円+1,940円+4,900円+10,850円+2,900円=29,320円となります。少しだけ安くなりました。
JRのきっぷで一筆書きを使うとどうでしょうか。東京→名古屋→米原→富山→糸魚川→信濃大町→新宿のきっぷを購入し、富山~信濃大町間は放棄します。すると、13,180円+6,510円+10,560円+2,900円=33,150円となりました。安くありません。
JR東海の「立山黒部アルペンきっぷ」は東京から使える?
では、名古屋まで「ぷらっとこだま」で往復し、名古屋からJR東海が出している「立山黒部アルペンきっぷ(しらさぎコース)」を使うとどうでしょうか。8,100円×2+21,700円=37,900円です。これは高く付きます。
「立山黒部アルペンきっぷ」は、静岡発もあります。ならばと、静岡まで小田急とJRの普通列車を乗り継いで、静岡から「立山黒部アルペンきっぷ」を使ったらどうでしょうか。静岡からは「ひだコース」しかありません。この場合、2,540円×2+24,890円=29,970円となりました。
静岡までケチって普通列車で行ってみても、東京から上越新幹線とスーパーあずさで往復するのと大差ない、という結果です。
名古屋発や静岡発の「立山黒部アルペンきっぷ」は、それなりに安いきっぷですが、東京からわざわざ名古屋を経由して使うほどの価格ではないことがわかります。ただ、「立山黒部アルペンきっぷ」は、アルペンルート内が乗り降り自由のフリーエリアになっていますので、乗り物を何度も楽しみたいなら一つの方法でしょう。
結局、週末パスが一番安い?
ということで、結論としては、週末パスを使うのが一番得です。普通に買うより1,090円安いことになります。
ただし、週末パスは、土日2日間しか使えませんので、それ以外の日程で旅行する場合は、普通に買うのがベターでしょう。なお、信濃大町~新宿の「スーパーあずさ」は列車本数が少ないので、時間が合わないかもしれません。その場合、松本まで大糸線の普通列車に乗ってもいいですが、早く移動したいなら、別運賃を払って信濃大町~長野間をバス利用にして長野新幹線に乗車するという方法もあります。
立山黒部アルペンルートへ安く行くには、旅行会社の出すパッケージツアーを使うという方法もあります。ですが、探してみたところ、往復に鉄道を使ってアルペンルートを通り抜けられるツアーを出しているプランは意外と少ないです。そういうプランはルート途中のホテルに泊まる日程になっていて、結構なお値段がします。平日ならともかく、週末や夏休みではかえって高く付くかもしれません。
結局、いろいろ検討しましたが、普通の乗車券で往復し、信濃大町か富山市内のビジネスホテルに泊まるのが安いのではないか、という結論になりました。どうしても安くしたければ、青春18きっぷの期間中に普通列車に乗るほかなさそうです。新幹線や特急で週末パスより安く行く方法は見つかりませんでした。