熊本市電延伸の概要。健軍町~市民病院間、2031年度全面開業。新型車両も導入へ

上下分離も実施

熊本市電が延伸事業に着手します。健軍町電停から熊本市民病院までの1.5kmで、4つの電停を新設します。

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健軍町~市民病院1.57km

熊本市は、軌道運送高度化実施計画の詳細を発表し、健軍町電停から熊本市民病院までの延伸を盛り込みました。

同計画によれば、延伸部分の路線名は「東町線」。停留所として、秋津新町、第二高校前・東区役所入口、東町、市民病院前の4つを新たに設置します(停留所名はいずれも仮称)。

延伸距離は1.57kmで、単線0.43km、複線1.14kmです。単線区間は健軍町から秋津新町までの区間です。健軍町から市民病院前までの所要時間は7.2分を見込みます。

熊本市電延伸
画像:軌道運送高度化実施計画(熊本市)

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2031年度全線開業

最初の秋津新町停留所までを先行して整備し、2029年度の運行開始を目指します。全線開通は2031年度の予定です。開通時期がずれるのは、秋津新町から先で、道路の拡幅をともなうためとみられます。

延伸区間の運行間隔は朝夕ピーク時が5分間隔、日中は6~10分間隔です。延伸区間では1日2,300人の利用を見込みます。

また、新たに12編成の新型車両を導入します。車両は3連接車とボギー車で、いずれもバリアフリー対応の超低床車です。3連接車はオールロングシートで、定員112名の輸送力を有します。

熊本市電新型車両
画像:熊本市

 
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バリアフリー化も推進

停留所のバリアフリー化も推進。既設線の停留場34か所のうち、これまでに16か所の停留場をバリアフリー化済みですが、計画では未整備の18か所についてもバリアフリー化します。

GPSを活用した市電ロケーションシステムやスマート電停を拡充します。現在、10停留 場に設置しているデジタルサイネージを新設停留場にも拡充し、運行時刻表、市電ナビ、遅延・運休情報、災害情報などをリアルタイムに表示します。パークアンドライドも拡充します。

熊本市電9700系

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上下分離も実施

2025年4月からは上下分離も実施します。現在は熊本市が市電事業を一括でおこなっていますが、上下分離後は、施設・車両の保有整備を熊本市が担い、運送は新たに設立する一般財団法人が担う予定です。

上下分離を実施する背景として、現状の市交通局では、運転士や技巧職を会計年度任用職員(非正規職員)で雇用せざるをえず、人材確保や技術継承などで課題があることを挙げています。

上下分離によって運行主体を財団法人に移し、職員の正規雇用化と待遇改善を図ります。職員の平均年収は、現交通局の会計年度任用職員に比べ75万円増え、給与水準は大幅に改善する見込みとのことです。

路面電車における上下分離方式は、富山市、札幌市ですでに導入されています。2023年8月に開業した宇都宮ライトラインも上下分離を導入しています。(鎌倉淳)

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