JR北海道が、新型特急車両「261系5000代」の1編成目が完成したと発表しました。臨時列車にも観光列車にも対応する期待の万能型車両は、どのように使われるのでしょうか。
多目的対応の観光列車
JR北海道は、2018年7月に国土交通省より「事業の適切かつ健全な運営に関する監督命令」を受け、経営改善に向けた取り組みとして、観光列車の充実を求められました。
そのため、2019年から新たな特急形車両261系5000代の製造を決定。「北斗」や「とかち」などに使用されているキハ261系1000番台をベースにした観光用車両ですが、イベント列車のほか、多客期の臨時列車や定期列車の代替輸送など、多目的に使用できる仕様としました。
「はまなす編成」と「ラベンダー編成」の2編成を新製する計画で、このうち、「はまなす編成」がこのほど完成しました。
フリースペースで料理提供も
261系5000代「はまなす編成」の外観は赤紫の「はまなす色」。5両編成で、1号車がフリースペースとしてイベントなどでの利用に対応します。グループでも個人でも利用でき、料理も提供できる配置としました。
また、多目的室をイベントなどで個室としても利用できる設備にしました。テーブルを挟んで2名で利用でき、掘りごたつ式となっています。
特産品などを販売する簡易的なカウンターも備えています。
2~5号車は普通車で、座席を向かい合わせてもテーブルが利用できるよう、インアームテーブルを設置。観光客がグループで利用するのに適した形になっています。全座席にコンセントが設置され、Wi-Fiにも対応。荷物置き場も各客室に2カ所設置されて、荷物の多い外国人観光客の利用も意識した形となりました。
「宗谷」の代走に
気になるのは、この261系5000代が、どのような使われ方をするかという点です。JR北海道によると、観光列車やイベント列車、繁忙期の臨時列車および定期列車の代替輸送用を想定していて、「クリスタルエクスプレス」「ノースレインボーエクスプレス」の後継車両と位置づけています。
より具体的には、通常は特急「宗谷」などの定期列車のほか、年末年始の繁忙期や修学旅行の臨時列車として運行し、観光シーズンは「フラノラベンダーエクスプレス」など、観光地へのアクセス列車として運行するとのこと。また、貸切の団体臨時列車としても運行します。
「宗谷」はキハ261系基本番代で運転されていますが、予備車両に余裕がありません。そのため、故障や検査の際に、代走として5000代が充当されることになるのでしょう。観光特急としては、「フラノラベンダーエクスプレス」以外にも、「旭山動物園号」や、函館本線山線の特急として活用されることがありそうです。
性能に定評のある261系を、臨時列車や観光列車にも使用できる万能型の車両として製造したことで、JR北海道はより柔軟な列車設定ができることになります。札幌を起点に函館から稚内まで、道内各地でその姿を見ることができそうです。
期待大の新型車両の使用開始は2020年10月頃から。もう一つの「ラベンダー編成」は2021年4月頃に使用開始予定です。(鎌倉淳)