蒲蒲線実現へ、大田区が第三セクターを設立。東急蒲田~京急蒲田の事業化めざす

東急蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ「蒲蒲線」構想で、大田区が整備主体となる第三セクターを設立します。東京都大田区の松原忠義区長が明らかにしました

広告

2段階で事業化

蒲蒲線は、約800m離れている東急蒲田駅と京急蒲田駅を結んで、最終的には羽田空港への乗り入れを目指す新路線です。

東急多摩川線の矢口渡駅と蒲田駅の間で地下に入り、JR・東急蒲田駅を経て、京急蒲田駅をつなぎ、さらに京急空港線の大鳥居駅まで建設する構想です。大田区では、「新空港線」と呼んでいます。

総距離は3.1kmで、事業は2段階で進められます。第1期事業は矢口渡~京急蒲田間で、途中に東急蒲田駅と京急蒲田駅を地下に建設します。京急蒲田~大鳥居間は、第2期事業として、フリーゲージトレインの開発動向を見極めて、整備に向けて検討されます。

蒲蒲線
大田区パンフレットより

上下分離方式で建設

この計画について、大田区の松原忠義区長は10日の記者会見で、「2017年度中に整備主体となる第三セクターを設立したい」と表明しました。三セクにはほかに東急などの出資を想定して調整を続けているそうです。大田区では、2017年度予算案に、出資金として1億8000万円を計上しました。

蒲蒲線は上下分離方式での整備が想定されていますが、設立される三セクが整備主体となります。大田区によれば、概算事業費は1080億円とのことです。

フリーゲージトレインの開発動向は?

交通政策審議会が2016年4月に答申した「東京圏における今後の都市鉄道のあり方」のなかで、蒲蒲線は「事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者などで費用負担のあり方などについての合意形成を進めるべき」とされました。今回の三セク設立は、審議会答申を受けた、事業の具体化に向けた取り組みといえます。

正直なところ、フリーゲージトレインを使っての羽田空港乗り入れに関しては、なかなか難しいとは思います。フリーゲージトレインの開発動向の雲行きが怪しいですし、実用化されたとしても、高コストとなるフリーゲージ車両を郊外路線に大量投入するのは難しいとみられます。

ただ、東急・京急蒲田駅を結ぶ路線を作ることに関しては、それなりに意義がありそう。建設されれば、東急沿線から京急蒲田駅で乗り換えて、羽田空港に行くのは便利になるでしょう。(鎌倉淳)

広告
前の記事夕張・マウントレースイスキー場は「第2のニセコ」になれるか。新運営会社が100億円投資へ
次の記事国設芦別スキー場が2017年限りで閉鎖へ。施設更新の負担が重荷に。地域型スキー場の苦戦続く