海外航空券相場、コロナ前の4割増に。円安、燃油高で海外旅行しづらく

国内線は大差なく

海外航空券の相場が、コロナ前の2018年度に比べて1.4倍に上昇しています。JAL、ANAの決算で明らかになりました。

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国際線の価格水準が上がる

JAL、ANAの航空大手2社は2024年3月期(2023年度)決算を発表しました。両社とも増収増益の好決算です。

そのなかで注目したいのは、イールドという数字。旅客1人に対する1キロあたりの収入単価で、その航空会社の航空券価格の相場がわかります。

JALの2023年度のイールド(フルサービスキャリア分)は、国際線が16.7円、国内線が20.6円です。2018年度は国際線11.9円、国内線20.2円でしたので、国内線の価格水準は5年前と変わっていないのに対し、国際線は1.4倍に上がったことがわかります。

ちなみに、JAL傘下のLCCジップエアの2023年度のイールドは、国際線8.7円です。同社は2018年度には存在しなかったので、当時との比較はできませんが、現在の価格相場は、JALブランドの半分程度であることがわかります。

JALA350-1000
画像:JAL決算説明会資料(2024年3月期)より

 
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ANAも1.4倍

ANAの2023年度のイールドは、国際線が17.7円、国内線が16.9円です。2018年度は国際線12.8円、国内線17.1円でしたので、やはり国内線の価格水準は5年前と変わらないのに、国際線は約1.4倍に上がっています。

ちなみに、ANA傘下のLCCピーチ・アビエーションの2023年のイールドは11.8円です。2018年度は9.0円(バニラエア含む)でしたので、約1.3倍になっています。国内線と国際線をあわせた数字ですが、日系LCCは国際線の比重が高いので、価格は上昇傾向です。

それでも、ピーチはANAブランドに比べると半分程度の価格水準です。ただし、ジップエアに比べると高めです。

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国際線だけ上昇している

JAL、ANA両社とも、海外航空券の価格はコロナ前の4割増で、国内航空券はコロナ前と同水準です。

海外航空券の価格水準だけが切り上がり、国内航空券は5年前と変わっていないことは不思議に思えますが、その理由を推測するのは難しくありません。

最近の日系航空会社の国際線の利用者は、外国人観光客の占める割合が高くなっています。購買力の高い外国人にはチケットを高く売ることができ、日本人主体の国内線は価格をなかなか上げられない、ということでしょう。

それだけ日本人にとっては海外旅行がしにくくなっているわけで、残念な話です。(鎌倉淳)

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