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JR東日本社長、西武・武蔵野線直通の方向性を語る。「京葉線直通で新たな観光需要」

JR東日本喜㔟陽一社長会見要旨2

JR東日本の喜㔟陽一社長が記者会見で、JR武蔵野線と西武池袋線の直通運転について、検討の意味と方向性について説明しました。臨時列車として、京葉線方面への運転を想定するいっぽう、通勤電車としての運行は検討外であることを示唆しました。

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武蔵野線・西武池袋線直通

JR東日本の喜㔟陽一社長は、2025年6月10日に記者会見をおこない、JR武蔵野線と西武池袋線の直通運転について、記者からの質問に答えました。

喜㔟社長によると、JR武蔵野線と西武池袋線との直通は、2020年に締結した西武ホールディングスとの包括連携協定に基づいた検討とのことです。

喜㔟社長は、「新秋津の連絡線をつなげると、西武池袋線と武蔵野線が直通運転できる」と説明したうえで、「いま考えているのは、通勤の定期列車を走らせるというよりは、臨時列車で観光のお客様の新しい流動を作っていこうということ」と明かしました。

武蔵野線E231系

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京葉線からの臨時列車を想定

喜㔟社長は、西武池袋線直通列車について、具体的な運転区間は明示しませんでしたが、方向性としては次のように述べています。

「所沢のお客様からすれば、武蔵野線とつながるということは、京葉線まで直通するので、たとえばディズニーランドに行ける、海浜幕張に行ける路線ができる。逆に京葉線周辺のお客様にしてみれば、秩父という観光名所に近くなる。新たな観光需要を作っていけるのではないかということで、西武さんと勉強をしている」

この発言からは、京葉線から武蔵野線を経由して西武池袋線に直通する、臨時列車や団体列車を想定していることがうかがえます。

たとえば、東京ディズニーランドを訪問する人のための飯能~舞浜間の列車や、秩父観光のための海浜幕張~西武秩父間の列車などが考えられます。

両線をつなぐ連絡線の形から、いずれも、新秋津駅で方向転換をしなければなりません。また、連絡線は単線なので線路容量も限られます。しかし、運転本数の少ない臨時列車なら、問題がないということでしょう。

西武・JR新秋津連絡線
国土地理院地図を加工

 

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通勤電車の直通は検討外

いっぽうで、「通勤の定期列車」については後ろ向きな発言でした。たとえば府中本町~飯能間や、大宮~所沢間といった、地域住民が日常的に利用するような列車の運行は検討していないようです。沿線自治体は、府中本町~所沢といった直通運転を求めているようですが、そうした要望に応えるわけではなさそうす。

喜㔟社長は、「羽田空港アクセス線のような新線をこれから作っていくのは難しいが、今回のように民鉄さんとわれわれの接続によって、新たな利便性や観光需要ができる路線であれば、お互いにウィンウィンなので、探っていきたい」とも述べ、新たな区間での設定にも意欲をみせています。(鎌倉淳)

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