「JR東日本30周年記念パス」が残念な件。「記念」にしては渋いけど、使いこなしを考えてみる

JR東日本が、会社発足30周年を記念して、「JR東日本30周年記念パス」を発売します。連続する3日間、同社の普通列車が乗り放題というきっぷ。「お得」というには渋いパスですが、使いこなしを考えてみましょう。

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7月の11日間に設定

「JR東日本30周年記念パス」は、JR東日本の全線と、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、北越急行の全線の快速・普通列車自由席とBRTが乗り放題になるきっぷです。特急券を別に購入すれば新幹線・特急列車等にも乗車可能です。

利用期間は7月21日~7月31日の11日間で、このうちの連続する3日間が利用可能です。つまり、7月21日~7月29日までの9日間が利用開始日として使える設定です。

利用開始の1カ月前から3日前まで発売。販売期間は6月21日~7月26日です。価格は大人13,000円、子ども3,000円です。発売期間が利用開始日の3日前までというのが注意点です。

■JR30周年記念パスの概要
価格:大人13,000 円、小児 3,000 円
有効期間:3日間
利用期間:2017年7月21日(金)〜7月31日(月)
発売期間:2017年6月21日(水)〜7 月26 日(水)
発売箇所:利用開始日の1ヶ月前~3日前
発売箇所:JR東日本の主な駅の指定席券売機・みどりの窓口・びゅうプラザ・提携販売センター・JR EAST Travel Service Center、主な旅行会社

■JR30周年記念パスの効力
・JR東日本全線、青い森鉄道線全線、IGRいわて銀河鉄道線全線、北越急行線全線の普通列車(快速含む)の普通車自由席および BRT が連続する3日間乗り降り自由。
・別途特急券等を購入すれば、新幹線・特急列車も利用可能。
・北海道新幹線の新青森〜新函館北斗間、北陸新幹線の上越妙高~金沢間、東海道新幹線は利用不可。
・奥羽本線の新青森~青森間相互発着に限り、特急券不要で特急列車の普通車自由席に乗車可能。全車指定席の普通列車の普通車にも乗車可能。

JR東日本30周年記念パス
画像:JR東日本

「三連休東日本・函館パス」より少し安い

要するに、「三連休東日本・函館パス」からJR北海道エリアを削り、価格を少し下げた商品です。「三連休東日本・函館パス」は大人14,050円、子ども4,300円ですから、だいたい1,000円程度安くなっています。

「JR東日本30周年記念パス」は、函館エリアに行かない人が、JR東日本エリアの鉄道を乗り歩くには悪くないきっぷです。ただ、「30周年記念」と銘打たれると、「渋いなあ」と思ってしまいます。

「周年もの」と銘打つなら、新幹線・特急乗り放題くらいは付けて欲しい、というのは個人的感想。新幹線・特急乗り放題にすることで列車が過度に混雑することを懸念したのかもしれませんが、発売枚数を限定すれば問題ないのでは、と思います。

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東京~くりこま高原の往復でお得

とはいうものの、夏休み期間に販売される貴重なフリーきっぷです。使いこなしを考えてみましょう。

販売価格13,000円ということは、片道6,500円以上の距離を乗車すれば、単純往復で元が取れます。JR東日本の幹線運賃表では、401km以上が該当します。東京から、東北新幹線ならくりこま高原以北です。おおざっぱにいって、東京から宮城県北部や岩手県以北へ3日間以内で往復するなら、それだけでお得です。

狙い目としては、やはり北東北エリアでしょう。週末パスの範囲外へ、鉄道で周遊旅行をするのが最適といえます。

この時期は「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」も販売されていますので、普通列車しか使わないならそれらのほうがお得です。「JR東日本30周年記念パス」は、別料金を払って新幹線や特急を利用する人向けのきっぷです。

ベストシーズンに東北へ!

「三連休東日本・函館パス」とたいして変わらないじゃないか、という声もあるでしょう。ただ、2017年度に三連休東日本・函館パスが使える機会は6回しかありません。使うチャンスが少ないのです。

その意味では、「JR東日本30周年記念パス」には価値があります。7月下旬は東北を訪れるのにベストシーズンですし、ふらりと旅に出てみるのもいいのではないでしょうか。(鎌倉淳)

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