JR東海が在来線の新型通勤車両315系を投入します。同社が22年ぶりに投入する通勤型電車は、全車ロングシートと発表されました。
211系など置き換え
JR東海は、新型通勤型電車315系を、2021年度から導入すると発表しました。同社の通勤型電車の新型導入は1999年の313系以来22年ぶりとなります。
JR発足前後に投入した211系、213系、311系を置き換え、中央線、東海道線、関西線に投入します。2025年度までの5年間で720億円をかけ、352両を製造します。
前面デザインは直線を使用した幾何学的な形状です。前面表示窓は横長に連続していますが、前照灯や行先表示の扱いははっきりしません。側面はドア・窓横とドア上にオレンジのカラーリングを配しました。ホームドア時代を反映してか、窓下部分にオビなどはありません。
最高速度130km/h
最高速度は、313系と同じ130km/h。全席ロングシートで、1両に1箇所の車椅子スペースと、1編成に1箇所の車椅子対応トイレを備えます。
車内案内表示用のフルカラーの液晶ディスプレーを1両に6箇所設置して、駅設備や運行情報などを表示します。Wi-Fi設備に関してはプレスリリースなどで触れられておらず、導入されないようです。
安全面では1両に5箇所の車内防犯カメラを設置します。非常時の走行用蓄電装置を搭載し、停電時などに最寄り駅まで走行可能な機能を有します。
電力変換装置にSiC素子を導入したり、照明にLEDを採用するなどして省エネ化も図られています。次期特急型気動車HC85系と同じ台車構造を採用し、乗り心地を向上させます。
編成両数の組み合わせは?
製造数は65編成352両。更新対象の211系、213系、311系の総数は約338両ですので、それを超える製造数です。
内訳は8両編成が23編成、4両編成が42編成。JR東海の通勤型車両では2両編成もありますが、315系では2両編成は作られません。
青春18きっぷユーザーには?
315系は、東日本と西日本を結ぶ大動脈である東海道線にも投入されるので、青春18きっぷ旅行でお世話になる人は多いでしょう。
静岡エリアでも315系が東海道線の主力車両になるとみられ、青春きっぷユーザーの「静岡ロングシート地獄」は解消されない見込みとなりました。転換式クロスシートを期待していた向きにはご愁傷様です。
一方、全編成にトイレが付きますので、長距離移動の際は安心です。おなかの具合が心配なときは、トイレに近い車両に乗るとよさそうです。
乗り心地も改善されますので、トータルではこれまでより快適な移動ができそうです。