2014年3月15日に行われるJRグループのダイヤ改正の概要が発表されました。今回の改正で動きが大きいのはJR東日本。上野~青森間を結ぶ寝台特急「あけぼの」の廃止が正式発表されました。また、秋田新幹線「スーパーこまち」と「こまち」が統合、全列車が320km/h運転を開始します。長野新幹線ではE7系の運転が開始されます。常磐線各駅停車の10分間隔化や南武線の快速運転区間拡大も、地元では大きなニュースでしょう。
それ以外のJR各社では、目玉といえるようなニュースはありません。東海道新幹線は「のぞみ」の増発体制が整い、山陽新幹線では「みずほ」が増発されます。
以下、JR各社の2014年3月ダイヤ改正の概要です。
JR北海道
新設、廃止や車両の置き換えで目立った動きはありません。一部特急列車の時刻変更が行われます。特急「スーパー宗谷」の最高速度を現在の130km/hから120km/hに引き下げます。また、キハ183系使用の特急「北斗」「サロベツ」は運休継続です。
JR東日本
上野~青森間を結ぶ寝台特急「あけぼの」が定期列車としての運転を取りやめます。事実上の廃止です。今後も多客期には臨時列車として運転されるようですが、その場合も長くて数年とみられます。それ以外の「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」については言及はなく、今ダイヤ改正で廃止にはならず存続のようです。
秋田新幹線では、車両がE6系に統一されます。これにより、宇都宮~盛岡間の最高速度が全列車で320km/hとなります。これまで速度の差で「こまち」と「スーパーこまち」の2つに分かれていた列車名は「こまち」に再び統一されます。東京~秋田間は最速列車で3時間37分(下り)。全列車が3時間台での運転となります。現在「スーパーこまち」で上乗せされている割増料金に関しては廃止のアナウンスがないことから、列車名は「こまち」に統一でも、運賃は「スーパーこまち」に統一と思われます。
東北新幹線では、「はやて」6 往復のうち、2.5 往復がE5系に置き換えられ「はやぶさ」になります。これにより、東京~新青森間の列車はすべて「はやぶさ」になります。「はやて」は 3.5 往復にまで縮小され、東京~盛岡間のみの運転となりました。「はやて」が姿を消す日も近いかもしれません。
長野新幹線では、2015年春の北陸新幹線金沢延伸開業に向けた新型車両E7系(12両編成)が3本投入され、東京~長野間で1日7往復運転となります。グランクラスも併結され、長野新幹線初です。ただし、グランクラスはシートのみの営業です。E7系は月1本のペースで増備され、随時投入される予定とのこと。
在来線では、高崎線の特急「あかぎ」「草津」の車両が、現在の185系から651系に置き換えられます。651系は「スーパーひたち」で使用されていたものです。平日の通勤時間帯の「あかぎ」11本は、全車指定席の「スワローあかぎ」として運転し、従来の指定席特急料金より割安な「スワローあかぎ料金券」で乗車できるようになります。いわゆる「通勤ライナー」に近い形に変更されるようです。
常磐線各駅停車では、綾瀬~我孫子間で日中が毎時5本から毎時6本に増発されます。日中10分間隔になるわけで、常磐線沿線としては永年の要望がやっとかなったといえるでしょう。同時に千代田線も5分間隔にダイヤ改正されるようです。小田急線の運転サイクルと合致したことで、同線の複々線化完成にともなう直通運転列車の増発準備が整いました。
成田空港発の快速列車の最終が繰り下がり、成田空港23時発が最終になります。この列車は東京に0時29分着。LCCで夜遅くに成田空港に着いても、都心への足が確保されます。
南武線では快速の運転区間が川崎~登戸間から稲城長沼まで拡大されます。登戸~稲城長沼間では中野島、矢野口の両駅が通過になります。ただし各駅停車も増発されます。このほか、中央線の「中央ライナー」、大宮~八王子間の「むさしの号」もそれぞれ増発されます。
JR東海
東海道新幹線では新大阪駅の大規模改良工事が完了し、N700系も増備されたため、1日のほぼ全ての時間帯で「のぞみ」を1時間最大10本運転する「のぞみ10本ダイヤ」になります。ただし、実際に「のぞみ」が10本運転されるのは多客時間帯や多客期に限られるようです。
また、岐阜羽島・米原停車の「ひかり」にもN700系が投入されます。これにより、東京~新大阪間の所要時間が3分程度短縮されます。広島駅での「のぞみ」の発車時刻も見直され、昼間時間帯の「のぞみ」(上り)は概ね20分間隔になります。
このほか、新幹線車内の自動販売機が廃止されます。N700系車両では、自動販売機跡地を使って、無線LAN設備を活用した新サービスの実験を行う予定とのことです。
在来線では、東海道本線で静岡発沼津行きのホームライナーを19時台に増発します。また、中央線では愛知環状鉄道への直通運転がなくなります。
JR西日本
山陽新幹線では、一部の「のぞみ」「さくら」の停車駅が変更され、徳山で「のぞみ」、新山口で「さくら」の停車回数が増えます。また、「さくら」の1往復が「みずほ」に変更となり、「みずほ」2往復を新たに姫路停車とします。
在来線では、東海道本線で大阪発草津行きの特急「びわこエクスプレス」を20時台に増発。JRゆめ咲線では同線内の列車と大阪駅からの直通列車が増発されます。そのほか、特急「くろしお」全列車が太地駅に停車、特急「スーパーおき」「スーパーまつかぜ」の全列車が鳥取大学前駅に停車するようになります。
JR四国
3月改正では大きなトピックスはなく、特急「しおかぜ」のグリーン車位置の統一や併結する「いしづち」の号数を揃えるなどがニュース。6月以降に、「いしづち」2本に新型車両8600系が投入されます。特急「南風」「しまんと」「あしずり」は一部列車の行先が変わります。徳島線・牟岐線を直通する特急「むろと1号」「剣山9号」は徳島駅で運転系統が分割されます。
JR九州
九州新幹線の1日の運行本数が現行の上下137本から125本に減らされます。減便となる12本のうち10本は、博多~熊本間を走る「さくら」。乗車率が約2割と低いことから、同区間では全廃になりました。また、これまで新鳥栖もしくは久留米に停車していた「さくら」が両駅に停車するようになります。一方で、山陽・九州新幹線直通の「みずほ」が増発されます。在来線では1日7本運転している「有明」は1日5 本に減便となります。福岡近郊では、準快速(折尾~赤間間の各駅に停車する快速)の停車パターンを小倉~福間間の各駅に停車するように変更し、快速列車の停車パターンがわかりやすくなります。