JR東日本が、オフピークに定期券利用する人にポイントを付与するサービスを開始します。将来的な時差運賃の導入に向けた調査の意味もあるようです。
1日15~20ポイント付与
JR東日本は、オフピーク通勤を推進するため、朝のピークの時間帯を避けて定期券を利用した人に、ポイントを付与するサービスを2021年春から始めると発表しました。
対象エリアはJR東日本の首都圏エリア。通勤のSuica定期券を持つ人が、7時から8時30分のピーク時間帯を避けて改札口に入場した場合、JRE POINTを付与します。
ピーク時間より前に入場すると「早起き時間帯」として1日15ポイント、後に利用すると「ゆったり時間帯」として、1日20ポイントの付与です。
対象となるのは、Suica通勤定期券を利用する人で、通学定期券やグリーン定期券は対象外です。ポイント還元を受けるには、事前にサービスへのエントリーとJRE POINT WEBの登録が必要です。
還元率は?
通勤でJR線を利用していても、ピーク時間帯にほとんど乗車しない人もいるでしょう。その場合、「早起き」なら毎日15ポイント、1ヶ月(20日間)で約300ポイントが加算されることになります。「ゆったり」なら毎日1ヶ月で約400ポイントです。
JRE POINTは1ポイント1円として換算されるので、時差通勤派には、1ヶ月300~400円相当が還元されることになります。
たとえば220円区間(東京~赤羽、蒲田)の通勤定期券は1ヶ月6,580円ですので、300ポイント還元されれば還元率は4.6%。定期券自体が割引率の高い商品なので、そこからさらに5%近くも還元されると考えれば、低い割合ではありません。運賃が安い区間なら還元率は高くなり、高い区間では低くなります。
このポイントサービスは 2021年春から1年間の期間限定で実施します。つまり実験的な意味合いが強いと思われます。JR東日本は、ピークとオフピークで運賃や定期券の価格を変更する「時差運賃」の検討を始めていることも明らかにしており、今回のサービスはその導入に向けた調査の意味合いもあるそうです。
回数券的な割引も
JR東日本では、同時に、Suicaで同じ月に同一運賃の区間を10回以上利用した場合にもポイント還元を実施します。この場合の還元額は、10回の利用につき1回分の運賃相当額です。さらに月11回以上利用した場合、1回ごとに運賃の10%相当のJRE POINTを還元します。紙の回数券的なサービスといえます。
220円区間を10回利用した場合、2,200円に対して220ポイントが還元されます。この場合は還元率10%となります。ただし、月10回以下の利用に満たない場合は還元がありませんし、還元率は通常運賃に対する割合なので、定期券の還元率とは比べられません。
JRは定期券の割引率が高いこともあり、電車通勤するなら定期券を買うのが当たり前でした。しかし、在宅勤務が多いなら、こうした回数券的な利用を選ぶ人も増えそうです。