JRの列車を利用するパッケージ旅行の「乗車票」が、駅の指定席券売機で受け取れるようになりそうです。実現すれば、新幹線をはじめとしたJR利用のツアーが格段に利用しやすくなるでしょう。
10月に制度改定へ
旅行会社でJRの新幹線などを利用したパッケージツアーを購入した場合、これまでは、チケットやクーポン類を店頭か郵送で受け取る必要がありました。そのため、インターネット販売でこうした旅行商品を購入する場合、申し込みの締め切りは3~5日前が一般的で、郵送の場合はチケットを受け取り損ねないように、気を配る必要がありました。
しかし、今後は、JR主要駅の指定席券売機で、チケットやクーポン類の受け取りが可能になるようです。日刊工業新聞7月10日付によりますと、「JRグループ旅客6社は10月から、契約乗車票(JR乗車票)のウェブ対応など、旅行会社の募集型企画旅行(パッケージ旅行)向け割引運賃制度を改定する方針を固めた」とのことで、「JR乗車票について一部、主要駅の指定席券売機での乗車票受け取りや指定券発売前の事前受付などが可能となる見通し」と報じました。
この「乗車票」が、旅行会社で「チケット」や「クーポン」などと呼ばれているものです。それがJR駅券売機での受け取りが可能になるわけです。
JR系ではすでに実施
じつは、JR系の旅行会社では、すでに乗車票の指定席券売機受け取りが可能になっています。たとえば、JR東海ツアーズでは、「ぷらっとこだま」などの旅行商品について、2020年6月30日申し込み分から乗車票の郵送を廃止。JR東海の駅の指定席券売機で受け取れるようになりました。
JR東日本のダイナミックレールパックでは、2015年から同社の指定席券売機での受け取りが可能です。
こうした仕組みを、JR系の旅行会社以外にも開放するようで、実現すれば、たとえばJTBのウェブサイトで予約したパッケージツアーのJR乗車票を、JRの駅の指定席券売機で受け取れることになります。
日本旅行で人気のある「JRセットプラン」も、現在は宅配便による受け取りで、出発3日前までの申し込みが必要ですが、今後は指定席券売機での受け取りで前日予約が可能になりそうです。
じゃらんや楽天でも?
日刊工業新聞の記事でもう一つの注目点は、こうした乗車票を取り扱える旅行会社を拡大すると報じている点です。
現在、乗車票を扱えるのはJRの旅客販売総合システム「MARS(マルス)」に接続する端末を保有する旅行会社に限られていますが、記事によりますと、今後は「一部のオンライン旅行会社(OTA)らにも門戸が開かれる見通し」とのことです。
そうなると、オンライン旅行会社大手のじゃらんnetや楽天トラベルも、JRを使った旅行商品を扱えるようになる可能性が高そうです。じゃらんや楽天による「新幹線ダイナミックパッケージ」が発売されることも十分考えられるでしょう。利用者にとっては、新幹線の格安チケットの選択肢が増えることを意味します。
詳細は公式発表待ちですが、乗車票の駅券売機での受け取りと、扱い旅行会社の拡大が実現すれば、旅行者にとっては、インターネットの旅行予約がより使いやすくなりそうです。