「上毛高原」の新駅名を勝手に考えてみる。地元から改称を求める声

本命、対抗、穴馬

上越新幹線の「上毛高原駅」の改称を求める声が地元から上がっています。実現は容易ではなさそうですが、新駅名を勝手に考えてみましょう。

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広域性を意味

上越新幹線上毛高原駅は、1982年の開業当時は群馬県利根郡月夜野町に立地しました。2005年に月夜野町が水上町、新治村と合併したため、現在は群馬県利根郡みなかみ町月夜野に立地する駅となりました。

「上毛高原駅」は、上越新幹線建設時の仮称として名付けられました。上毛高原駅に掲示されている「駅名の由来」によりますと、「新駅は県北観光地の玄関口の機能があり、その範囲は、日光、尾瀬、沼田、谷川、四万、草津まで及んでいる。その広域性を意味するために上毛高原が最適だった」(1982年2月4日付日経新聞)とのことです。

ロマンあふれる命名ですが、背景として「月夜野」という当時の町名の知名度不足もあったと思われます。

上毛高原駅

盛り上がりを欠き

しかし、合併により、月夜野町はみなかみ町になりました。「みなかみ」は保養地として有名で、在来線の水上駅は歴史的に特急停車駅です。そうした状況変化もあり、みなかみ町では、上毛高原の駅名変更を求める声が以前から上がっていました。

たとえば、2012年6月定例町議会では、町議が「上毛高原駅をみなかみ駅に、水上駅を水上温泉駅に変えることにより、相当なイメージアップが期待できる」と質問。当時の町長は「上毛高原駅をみなかみ駅にすることは町民の大多数の賛成が得られるのではと認識している。ハードルは高いと思いますが、町民の総意で動かし始める時期だし、いま始めなければとの認識は持っている」と答弁しました。

しかし、それから8年経っても、上毛高原駅の駅名変更に進展はありませんでした。変更を求める声は根強くあったものの、大きな運動にまでは発展しなかったといえます。

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地元経済界が請願

ところが、新型コロナで打撃を受けた地元の商工会と観光協会の危機感が、運動に火を付けました。2020年11月に、町議会に駅名変更を求める請願を提出。この請願は、12月10日の本会議で全会一致で採択されました。

請願書では、「この駅名では、どこにあるのか分からず、なじみがない。観光を主幹産業としている地域にとって大変不利」としています。「どこにあるかわからない」というのが、最大の問題点であるという認識です。

「上毛高原」という地域は存在しません。存在しない地名が駅名になってしまったのですから、「上毛高原駅」がどこにあるのかわからない、という主張は理解できます。

一般論でいえば、駅名は長い時間をかけて地名として根付いていくものです。しかし、「上毛高原」はそうはならなかったようです。

みなかみ町にあるのだから

では、駅名を変更するとして、どんな駅名がいいのでしょうか。勝手に考えてみましょう。

まず、2012年町議会でも話題になった「みなかみ駅」は一つの候補でしょう。みなかみ町にあるのだから、「みなかみ駅」というのは、きわめてわかりやすいです。

ただ、在来線の「水上駅」を「水上温泉駅」に変えたうえで、新幹線を「みなかみ駅」にするというのは、ちょっとややこしい気がします。シンプルに「新みなかみ駅」のほうがよさそうです。

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沼田と水上の中間だから

上毛高原駅の位置を改めて見てみると、在来線の沼田駅まで約7.5km、水上駅まで約9kmです。距離的には、沼田駅と水上駅のほぼ中間に位置するわけで、間を取って新幹線駅は「沼田みなかみ駅」または「みなかみ沼田駅」にするというのも一案でしょう。

実際、上毛新聞11月25日付によりますと、駅名変更を請願した観光協会の理事は、「沼田みなかみ駅」を候補として挙げています。

とはいえ、新幹線駅はみなかみ町にあり、沼田市にはありません。駅名に「沼田」が入ると、市外の駅なのに変更費用の負担が沼田市に求められるでしょうから、沼田市は遠慮するかもしれません。

ならば、原点に返って、駅が立地する「月夜野」を駅名に入れる案もあるでしょう。すなわち「みなかみ月夜野駅」です。

尾瀬の玄関口だから

新幹線の駅名パターンとしては、近隣の著名な観光地を取り込む場合があります。「白石蔵王」などが典型でしょうか。それに倣うなら、上毛高原駅の近隣には、「尾瀬」「草津温泉」が全国区の知名度を誇る観光地として存在します。

ならば、「みなかみ尾瀬駅」「みなかみ草津温泉駅」といった名称も選択肢かもしれません。

ただ、温泉地を二つ並べるのも無粋ですし、上毛高原駅から草津温泉へ向かう人も少ないでしょうから、「みなかみ草津温泉駅」は却下でしょうか。

一方、尾瀬戸倉へは上毛高原駅からバスがあるので、「みなかみ尾瀬駅」はおかしくありません。尾瀬の玄関口、というイメージをPRすることもできそうです。「尾瀬」という広域名称が入ることで、周辺自治体や県の協力が得やすくなるというメリットもあります。

地域名なら

広域名称といえば、そもそも「上毛高原」の駅名には、「群馬県北の玄関口」という、広域的な意味が込められていることは、前に書きました。その志を継ぐならば、地域全体を指す地名を駅名にするという考え方もあります。

群馬県北部の地域名は「利根沼田」といいます。ダイレクトに採用するなら「利根沼田駅」が候補になりそうです。しかし、自治体名の「みなかみ」が含まれないので、同町は同意しかねるでしょう。「利根沼田みなかみ駅」なら解決しますが、長すぎます。

「利根郡」や「奥利根」も地域名です。「利根」だと広すぎますので、「奥利根駅」を考えてみましたが、上毛高原駅は「奥利根」というほど奥ではない気がします。

ならば、「奥津軽いまべつ」のように、「奥利根みなかみ駅」などはいかがでしょうか。奥利根への玄関口という位置づけと、みなかみ町の立地をPRできます。

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まとめてみると

いろいろ考えてみました。筆者案をまとめてみましょう。

本命…「沼田みなかみ駅」
対抗…「奥利根みなかみ駅」
穴馬…「みなかみ尾瀬駅」
大穴…「新みなかみ駅」

自画自賛になりますが、4駅名どれでもあっても、上毛高原と比べると優れていると思います。駅の位置がイメージしやすいですし、駅名に「色気」もあります。

端的にいって、駅名を変えられるなら変えた方がいいと、筆者は思います。

実現可能なのか

では、現実に駅名変更を実現することは可能なのでしょうか。新幹線駅名を改称した例としては、山陽新幹線の「小郡駅」の例があります。「のぞみ」号の停車を契機に、2003年に「小郡駅」を「新山口駅」に改称しました。このときはJR西日本が前向きで、改称にかかった約4億円を、JRと自治体が折半しています。

一方、JR東日本は、上毛高原駅の駅名変更に前向きな姿勢を見せたことがないようです。となると、駅名変更にかかわる費用は、全て自治体持ちとされる可能性があります。その費用は数億円と見積もられ、地元みなかみ町だけで負担できる金額ではありません。

ただし、山本一太群馬県知事は、2013年の参議院議員時代にツイッターで「新幹線の『上毛高原駅』で降りる度に思う。名前を『みなかみ駅』に変えられたらいいのに、と。駅名を変更には、システムの改修が伴う。予算はかかると思うが、何とかならないかなあ。」とつぶやいています。

駅名変更に「予算がかかってもいい」と考えている人物が現知事の座にいるのですから、群馬県が費用負担に応じる可能性は十分あり、みなかみ町にとっては絶好のチャンスともいえます。

「いま始めなければとの認識は持っている」の町長答弁から8年。みなかみ町は、宿願の「上毛高原駅」改称を成し遂げることができるのでしょうか。

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