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「ローカル路線バスの旅 陣取り合戦」第16弾 埼玉市街戦を分析する。ルート取りは堅実で

タクシー代増やすのはアリですか?

「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦」第16弾が放送されました。太川陽介の率いるチームと河合郁人の率いるチームが、埼玉県内の市町村を陣に見立てて競いました。

乗り継ぎで気になった部分を検証してみましょう。なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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市町村を取り合う

「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦」は、ローカル路線バスを乗り継いで「陣」に見立てた各市町村の名所・名物を体験し、その数を競うテレビ番組です。

その第16弾が2025年4月24日にテレビ東京系列で放送されました。対決したのは、太川陽介が率いるチームと、河合郁人が率いるチームです。

太川チームには、「世界の果てまでイッテQ」の出川ガールとして知られる箭内夢菜と、お笑いコンビ「ザ・マミィ」の酒井貴士が参加。河合チームには、「egg」専属モデルで朝ドラ「おむすび」でも活躍したみりちゃむと、俳優の松尾諭が参戦しました。

どちらのチームも使っていいのはローカル路線バスのみ。ただし、両者とも1万円までタクシーを利用できます。

スタートが大宮駅、ゴールが深谷駅です。埼玉県の63市町村を「陣地」に見立て、1泊2日でどちらのチームがより多くの陣地をとれるかを競います。ゴール時刻は18時までで、より多くの陣を確保したチームが勝ちです。

ローカル路線バスの旅陣取り合戦第16弾
Ⓒテレビ東京

ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 第16弾 路線バスで陣取り合戦 埼玉市街戦
【出演】太川陽介、箭内夢菜、酒井貴士(ザ・マミィ)、河合郁人、みりちゃむ、松尾諭
【放送日】2025年4月24日(木) 18時25分~20時54分(テレビ東京系列、見逃し配信あり)

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太川チームの実際ルート

まずは、両チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻や距離、経路は、筆者による推定です。

最初に太川チームのルートです。☆は獲得した「陣」の市町村名です。★は空振りです。

▽1日目(太川チーム)
大宮駅東口10:20→10:55上尾駅東口/西口11:20→12:02丸山公園入口→徒歩2km→榎本牧場(☆上尾市)→徒歩1.6km→13:50熊野神社入口14:55→15:32桶川駅西口→徒歩0.1km→岡埜本店(☆桶川市)→徒歩0.1km→桶川駅→タクシー4.9km、3,000円→16:10北本駅付近→徒歩0.1km→ハワイアンカフェキエレ(☆北本市)→徒歩0.1km→北本駅東口16:34→17:09鴻巣駅東口→徒歩0.4km→長木屋(☆鴻巣市)→徒歩0.4km→鴻巣駅東口18:21→19:14加須車庫

▽2日目(太川チーム)
武蔵屋本店(☆加須市)→徒歩0.4km→加須車庫→徒歩4.5km→10:00イオンモール羽生10:30→10:55羽生駅西口→徒歩1.6km→11:10魚徳(☆羽生市)→徒歩0.1km→羽生市役所12:05→12:34住吉→徒歩0.6km→関東コンクリート工業→タクシー5.4km、2,900円→13:45忍城(☆行田市)→忍城バスターミナル14:20→14:46ソシオ流通センター駅前→徒歩4.1km→西京屋(★熊谷市)→徒歩0.9km→熊谷駅北口16:10→16:41籠原駅北口→タクシー6.2km、2,500円→16:57深谷駅(☆深谷市)

1日目は大宮駅から上尾方面へ北上し、JR高崎線沿いの市を確保。加須方面に展開したところで終了します。2日目は加須市から羽生市、行田市を抑えて西進しましたが、熊谷市の陣は取り逃します。最後はタクシーで深谷市のゴールに先着しました。

太川チームが確保した陣は、上尾市、桶川市、北本市、鴻巣市、加須市、羽生市、行田市、深谷市の8陣です。


※Googleマップで示されたルートは概略です。実際とは異なります。(以下同)
※配信先でGoogleマップが崩れる場合は、こちらをご覧ください。

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河合チームの実際ルート

つづいて、河合チームの実際ルートです。最終盤は当サイトによる推定です。

▽1日目(河合チーム)
大宮駅西口10:40→11:11川越グリーンパーク11:38→11:59川越駅12:15→12:23札の辻→徒歩0.2km→十人十色(☆川越市)→徒歩0.2km→札の辻13:08→13:21伊草小学校前→徒歩0.3km→金笛しょうゆパーク(☆川島町)→徒歩0.5km→道場橋→徒歩3.4km→15:20頃聖天宮(☆坂戸市)→15:33聖天宮15:36→15:51若葉駅→徒歩1.2km→長峰園(☆鶴ヶ島市)→徒歩1.2km→若葉駅17:37→17:51南戸守→東松山市境→タクシー6.9km、3,000円→子虎(☆東松山市)→徒歩0.1km→東松山駅19:55→20:13森林公園北口入口

▽2日目(河合チーム)
森林公園北口入口08:20→08:32熊谷寺前→徒歩0.2km→08:50西京屋(★熊谷市)→09:15熊谷駅09:30→09:59県立循環器・呼吸器病センター→徒歩0.1km→10:57ひばり薬局循環器呼吸器病センター前11:15→11:30滑川町役場→徒歩1.3km→グランピング・テルマー湯(☆滑川町)→タクシー3,600円、5.5km→12:48ラーメン五月(☆嵐山町)→徒歩0.5km→武蔵嵐山駅→タクシー4.5km→森林公園駅14:05→14:33西熊谷駅入口→徒歩0.6km→西京屋(☆熊谷市)→熊谷寺前16:13→16:41籠原駅北口→タクシー+徒歩、6.2km→17:46深谷駅

河合チームは、大宮から川越市に進み、周辺の自治体を抑えながら北上。2日目はいったん熊谷市に至りますが、南西へ転じ、滑川町や嵐山町へ足を伸ばした後、とって返して熊谷市の陣を奪い、深谷市にゴールしました。

河合チームが確保した陣は、川越市、川島町、坂戸市、鶴ヶ島市、東松山市、滑川町、嵐山町、熊谷市の8陣です。両チームの獲得陣が同数になったため、タクシー代の残金で決着をつけることになりました。太川チームが1,600円に対して河合チームは0円で、太川チームの勝利です。

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太川チームの検証

「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦」では、訪問しなかった陣の位置が不明なので、全面的な検証はできません。ここでは、番組で気になった場面について、部分的に検証してみます。

最初に太川チームの検証です。

1日目、太川チームは大宮駅から上尾駅に至り、情報収集の後、11時20分のバスに乗って榎本牧場を目指します。ただ、このときに乗車したバスが循環路線だったため、大回りになってしまいました。

地図を見てみると、榎本牧場は上尾駅の西5kmほどの位置にあり、近くに畔吉というバス停があります。このバス停を目指していたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目(太川チーム)
上尾駅西口11:22→11:33畔吉→徒歩0.6km→榎本牧場

上尾駅をほぼ同時刻に発車したバスに乗れば、11時40分ごろに榎本牧場に着いていました。

あるいは、一行が実際にバスを降りた丸山公園入口を目指すのであれば、以下の路線もあります。

▽1日目(太川チーム)
上尾駅西口11:07→11:18丸山公園入口→徒歩2km→榎本牧場

このルートでも11時40分ごろに榎本牧場に着けたでしょう。実際に太川チームが榎本牧場に着いたのは12時20分を過ぎていたようですので、40分程度はロスをしたことになります。

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上尾市の陣に40分早く着いていたら

仮に11時40分に上尾市の陣(榎本牧場)に到着し、その後、実際ルートと同じ道のりで桶川駅を目指すとすると、どうなるでしょうか。実際ルートより40分繰り上げてたどると、以下のようになります。

▽1日目(太川チーム)
榎本牧場(☆上尾市)→徒歩1.6km→13:10熊野神社入口14:55→15:32桶川駅西口

熊野神社入口から桶川駅のバスは、実際に乗車した14時55分発までありません。そのため、ここで実際ルートに収斂します。ただ、熊野神社入口で1時間45分も待つとなると、違うルートを探して進んでいたかもしれません。

なお、熊野神社入口発の一本前は12時55分発です。これに間に合えば2時間前倒しとなりますし、展開によっては不可能な乗り継ぎではなさそうです。ただ、現実に即してたどると、12時55分発には乗れない計算で、「循環バスのミス」は、帳消しになっています。

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桶川から北本へバスで乗り継いだら

実際ルートに戻ります。一行は熊野神社入口からバスに乗り、桶川駅近くの岡埜本店で桶川市の陣を獲得。タクシーで北本駅に向かいました。

しかし、桶川駅から北本駅へはバス路線で乗り継ぐことも可能です。

▽1日目(太川チーム)
桶川駅西口15:52→16:16北里大学メディカルセンター16:25→16:40北本駅西口16:55→17:25鴻巣駅西口

この乗り継ぎを発見していれば、北本駅到着が30分遅くなるものの、タクシー代3,000円を節約できていたことになります。

ただ、その後、鴻巣駅へ向かう際に、北本駅16時34分発のバスには間に合いません。次便は16時55分発で、これに乗ると鴻巣駅17時25分到着で、実際ルートより16分遅くなります。

それでも、鴻巣市のミッションは確保できるでしょうから、3,000円を浮かせたうえで、1日目の陣数は変わらないという結果になっていた可能性が高そうです。

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鴻巣から行田へ向かったら

実際ルートに戻ります。太川チーム一行は、鴻巣市の陣を獲得した後、鴻巣駅から加須方面に展開しました。しかし、番組では、吹上駅から行田市に向かうルートの情報も得ていました。仮に吹上へ向かっていたらどうなっていたでしょうか。

じつは、鴻巣駅から吹上駅へのバスは、最終が17時20分発です。これには間に合わないので、途中の北鴻巣駅で降りて歩くことになります。

▽1日目(太川チーム)
鴻巣駅18:25→18:49北鴻巣駅西口→徒歩3.3km→吹上駅

この乗り継ぎで吹上駅に着くのは19時30分頃でしょう。一方、吹上駅から行田方面への最終バスは18時21分発です。したがって、吹上駅で乗り継げません。

つまり、実際ルートの時間帯では、鴻巣から吹上を経て行田に至るルートはたどれなかったことになります。

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鴻巣から東松山は向かったら

まったく別の考え方として、鴻巣市から東松山市方面へ向かうルートも検討してみましょう。

▽1日目(太川チーム)
鴻巣駅西口18:19→19:01東松山駅東口→子虎(★東松山市)

この場合、東松山市の陣(子虎)で両チームが鉢合わせになった可能性が高そうです。先に着くのは河合チームになりそうなので、太川チームとしては東松山に向かっていたら、地団駄を踏むことになっていたでしょう。

ただ、鴻巣市と東松山市の間には吉見町がありますので、実際にこのルートを太川チームが選択していたら、吉見町の陣の確保に動いたかもしれません。

その場合、東松山市の陣は諦めて、吉見町もしくは熊谷市で1日目が終わりそうです。

となると、2日目早朝に加須市の陣は取れないため、結果的には、実際ルートと獲得陣数で上回ることは難しそうです。

まとめてみると、この局面で、一行が東松山方面に向かわずに、加須市に展開した選択は、少なくとも間違ってはいなかったように感じられます。

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タクシーで熊谷市へ急いでいたら

2日目、太川チームは、加須市の陣を確保した後、歩いてイオンモール羽生へ向かい、バスで羽生駅に至り、羽生市の陣(魚徳)を確保。さらに行田市の陣(忍城)を得て、熊谷市の陣(西京屋)に向かいます。しかし、熊谷市の陣では河合チームに先陣を許して取り逃しました。

ただ、このとき、太川チームはタクシー代を4,100円残していました。ソシオ流通センター駅からタクシーを使えば、熊谷駅に早着することもできたはずです。

▽2日目(太川チーム)
忍城バスターミナル14:20→14:46ソシオ流通センター駅前→タクシー4.1km→西京屋(★熊谷市)

タクシーが順調に捕まれば、15時すぎには西京屋に着けていたでしょう。一方、河合チームの西京屋到着時刻ははっきりしませんが、ルートを推定すれば、15時前に西京屋に着いていたようです。

つまり、ソシオ流通センター前からタクシーを使っていたとしても、太川チームは熊谷市の陣を得ることはできなかった可能性が高いわけです。

タクシー代の残金で勝敗が決したことを考えると、ここでタクシー代を節約したことが功を奏しています。そう考えると、2日目、時間がかかってもソシオ流通センターから歩いたことは、結果的には悪くない判断だったといえそうです。

太川チームの全体をまとめてみると、「こうすればあと1陣取れた」と明確に言い切れる選択肢は見当たりません。堅実なルート取りをしたといえそうです。

【続きはこちら】
「ローカル路線バスの旅 陣取り合戦」第16弾 埼玉市街戦を分析する【2】

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