「休日おでかけパス」が「ホリデー・パス」に代わって登場! フリー区間は拡大するも、300円の値上げの背景


JR東日本のフリーきっぷ「ホリデー・パス」が、リニューアルです。「ホリデーパス」の発売を3月11日利用分をもって終了し、3月17日利用分から「休日おでかけパス」が発売されることになりました。

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ホリデー・パスはJR東日本の企画切符のなかでもトップクラスのヒット商品で、全盛期の2002年度には265万枚も販売しました。しかし、最近は売り上げが低迷し、2010年度は過去最低の111万枚に落ち込んでいます。今年度(2011年度)も落ち込みをとめられなかったようで、切符のリニューアルが必要、とされたようです。

新登場の休日おでかけパスの価格は2600円で、ホリデーパスに比べると300円の値上げです。そのかわり、使用できるエリアが拡大しました。休日おでかけパスで新たに利用ができるようになった区間は、以下のとおりです。

八高線高麗川~寄居間
高崎線熊谷~神保原間
東北本線(宇都宮線)小山~自治医大間
東海道線平塚~小田原間
久留里線木更津~上総亀山間
内房線木更津~君津間
水戸線小山~下館間
両毛線小山~足利間

300円の値上げ幅を考えれば妥当な範囲の拡大ともいえますが、宇都宮や高崎が区間に入らなかったのは残念なところ。その背景について取材してみたところ、どうやら「ホリデーパス」の利用状況に関係がありそうです。

というのも、ホリデーパスは、都心から郊外へでかけるための用途よりも、郊外から都心に出かける用途に多く使われていたからです。つまり、たとえば、「小山から新宿へ出かける」「熊谷から品川へ出かける」などの場合に、普通にきっぷを買うよりもホリデーパスのほうが安かったため、そうした用途での利用が多かった、ということです。2002年に売り上げピークをうち、その後急落したのは、スイカの普及で紙の乗車券を利用する人が激減し、「郊外から都心へ」の利用者も、数十円の安さよりもスイカの利便性を選択する人が増えたからと思われます。

今回の300円の値上げで、都心往復への利便性が増える郊外都市は小田原くらいで、小山、熊谷、大月、木更津などは価格のメリットを失うケースが多いです。そう考えると、このきっぷは値上げによって、郊外の拠点都市から都心への移動目的の性格をやや失ったと考えられます。宇都宮や高崎が含まれなかったのも、郊外都市から都心への利便性を狙った拡大ではないから、といえるでしょう。

一方で、新たに加えられた範囲には、足利、下館、寄居、久留里、小田原といった、郊外の観光地が目立ちます(小田原は、都市と観光地の両方の性格を持ちますが)。こうした観光地へ範囲が広がったことで、「都内から郊外への行楽用途」の利便性は増したといえます。

要するに、「ホリデーパス」から「休日おでかけパス」への移行は、「都心訪問型切符」から「郊外行楽型切符」への転換の意味が込められているのではないでしょうか。

小さな値上げと、小さな範囲の拡大には、こうした思惑が隠されていると思われます。

ただ、正直なところ、今回の範囲拡大で、きっぷの「魅力」がそれほど増したとは思えません。ですから、売れ行きが激増、とはいかないのではないか、という気がします。

以下、きっぷの概要を書いておきます。

・「休日おでかけパス」
・利用日の1カ月前から、フリーエリア内のJR東日本の駅の指定席券売機やみどりの窓口などで発売。
・利用期間は3月17日以降の土休日と、4月29日~5月5日、7月20日~8月31日、12月29日~1月3日の毎日。
・価格大人2,600円、小児1,300円。

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