北陸新幹線の敦賀駅ホームの下に、在来線特急用ホームが設置されることが決まりました。これにより、在来線特急「サンダーバード」「しらさぎ」と北陸新幹線の乗り換えがラクになる一方、新幹線開業後に在来線特急が福井方面へ乗り入れる可能性は低くなりました。
「上下」で5分乗り換えに
北陸新幹線の金沢~敦賀間は、現在整備が進められていて、2022年度末(2023年3月)に開業する予定です。新幹線敦賀駅は在来線ホームから200m離れた、20m高い位置に建設されることが決まっています。
このため、大阪/名古屋~金沢などを移動する旅客に対し、新幹線と在来線特急の乗り継ぎ利便性をどう確保するかが焦点となっていました。
これについて、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)の検討委員会は、2017年5月18日の会合で、北陸線米原方から分岐する連絡線を作り、新幹線敦賀駅高架の下に在来線特急用ホームを設けることを決めました。また、敦賀駅の既存駅施設とつなぐ動く歩道(ムービングウォーク)も整備します。
敦賀駅での新幹線と特急の標準乗換時間は、上下乗り換えで5分程度になります。既存ホームとの乗り換えに比べ、6分の時間短縮が図られるそうです。
「在来線特急を福井まで」求めているが
北陸新幹線の敦賀開業を巡っては、在来線と直通するフリーゲージトレインの導入も検討されていました。しかし、フリーゲージトレインの開発が遅れていることから、当面の導入は断念されています。そのため、「サンダーバード」は大阪~敦賀間、「しらさぎ」は名古屋~敦賀間の運転となり、敦賀で北陸新幹線と接続します。
福井県の鯖江市などは、大阪、名古屋方面への旅行が不便になることから、一部の「サンダーバード」「しらさぎ」を福井まで在来線で残すことを求めてきました。
しかし、今回、在来線特急と新幹線が「上下乗り換え」になったことで、在来線特急を福井方面へ走らせるには、福井方に新たな連絡線を建設する必要が出てきました。不可能なことではないでしょうが、受益自治体が少ないため、建設する場合費用負担が問題になるでしょう。
となると、福井方の連絡線が建設される可能性は低そうです。「サンダーバード」「しらさぎ」は敦賀打ち切りとなり、大阪・名古屋から鯖江市や福井市へ向かうときも、敦賀駅での乗り換えが必須となりそうです。
「富山まで」も実現しなかった
北陸新幹線の金沢開業の際も、富山県の自治体は「サンダーバード」の富山乗り入れ継続を求めたものの、結局、全列車金沢打ち切りとなりました。
それを考えれば、敦賀開業時に「サンダーバード」などが福井乗り入れをする可能性はもともと低かったと思います。今回、「上下乗り換え」に決まったことで、敦賀打ち切りはかなり濃厚になったといえそうです。
北陸新幹線の敦賀~新大阪間の延伸時期は、まだはっきりしません。そのため、敦賀乗り換えは長期化するとみられます。上下乗り換えとなったことは、既存ホームとの乗り換えに比べればマシですが、利用者には便利とは言いがたいでしょう。
最善は対面乗り換えだったと思いますが、新幹線と在来線の高低差が大きいからか、実現はしませんでした。(鎌倉淳)