北海道新幹線の特急料金が高すぎる件。「新青森~新函館北斗」は「東京~名古屋」とほぼ同じ。東北新幹線とは通算せず

北海道新幹線の料金が決定しました。新青森~新函館北斗の指定席料金は4,450円(通常期。以下同)。東北新幹線と直通利用する場合は合算で、座席指定料金相当の520円のみが通算となりました。そのため、東京~新函館北斗間の特急料金は11,130円。運賃とあわせた総額は22,690円となりました。

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東京~福島より高い

JR北海道が国土交通省に届け出たところによりますと、北海道新幹線の新青森~新函館北斗間148.8kmの指定席特急料金は4,450円です。グリーン料金は2,750円(特急料金とあわせて6,680円)、グランクラス料金が7,890円(同11,820円)となりました。

4,450円という指定席特急料金は、東海道新幹線なら東京~名古屋(366.0km)の4,620円(ひかり・こだま)に匹敵します。東北新幹線なら東京~福島(272.8km)の指定席特急料金が4,200円ですので、それと比べても高めです。

新青森~新函館北斗148.8kmという距離は、東海道新幹線の東京~新富士間146.2kmとほぼ同じです。東京~新富士間の特急料金は3,000円。つまり、距離で見ると、北海道新幹線は東海道新幹線の約1.48倍の値付けをしているわけです。JR北海道によりますと、東北新幹線と比べて北海道新幹線の1キロあたりの特急料金は1.52倍で、全国で1番高くなったそうです。

日本経済新聞10月13日付によりますと、JR北海道の担当部長は「航空機と全く勝負にならないような価格にしても(乗客を確保できない)という議論があった。およそこのくらいと値ごろ感を見いだした額」と述べたそうで、JR社内でも料金設定に悩んだ様子がうかがえます。

ということで、北海道新幹線のキロあたりの特急料金はかなり高めの設定となっています。さらに、東北新幹線と直通利用する場合は原則として特急料金は合算で、座席指定料金520円のみが通算となります。グランクラスの場合は、直通利用の場合に料金を1,030円だけ値引きます。

グランクラスなら38,280円に

その結果、東京~新函館北斗間の料金は、「はやぶさ」利用で普通車指定席が22,690円、グリーン車が30,060円、グランクラスが38,280円となってしまいました。

高い! とお感じの方もいれば、まあそんなもの、とお感じのかたもいるでしょう。ただ、普通車指定席はまだしも、グランクラス料金は、え? と思ってしまいそう。

隣駅間などに設定される特定特急料金は、新青森~奥津軽いまべつと、木古内~新函館北斗間が1,310円。奥津軽いまべつ~木古内間が1,490円となりました(いずれも立席利用)。これも本州の新幹線が860円なのに比べると高めです。

H5系写真:JR北海道

青函間はほぼ2倍の値上げ

しかし、やっぱりなんといっても高いのは青函間でしょう。青森~函館間はこれまで「白鳥」の特急料金が2,250円でしたが、新幹線では4,450円になります。特急料金だけならほぼ倍額。運賃を含めた総額でも5,490円が7,260円となり、1.3倍です。

しかも、青森駅から函館駅を移動する場合は、直通列車がなくなり新青森と新函館北斗で乗り換えを2回も強いられます。そのため時短効果はほとんどなく、乗り換えの手間だけが増えて価格は上がるのです。

これではあまりにヒドいからか、青函区間だけを利用する人には大幅割引を設定するようです。割引きっぷに関しては、新青森~新函館北斗間で4割引のきっぷを出す予定とのこと。インターネット予約限定で総額4,350円の価格となり、これまでの正規料金より安くするようです。

でも、「えきねっと」のような制限のあるきっぷだと、使い勝手が悪そうです。「Wきっぷ」のような手軽なきっぷが設定されればいいのですが。

東京~新函館北斗は抑えめに

全体にまとめてみると、北海道新幹線区間の料金は驚くほど高いです。ただ、東北新幹線とあわせた東京~新函館北斗間の指定席でみると、総額で1割程度の値上げに収めていて、許容範囲に見えてしまいます。

目立つのはマスコミなどで取り上げられやすい東京~新函館北斗間の価格ですから、そうした目立つ部分は抑えめにし、目立たない部分は定価を高く設定する、という考え方なのでしょうか。高すぎる区間は割引価格を適宜設定しよう、ということなのでしょう。

札幌まで2万円台を狙う?

JR北海道の経営状態や、青函トンネルの維持などを考えれば、今回の価格設定が悪いとはいえません。ただ、この価格設定をあてはめれば、新青森~札幌360kmの特急料金は7,000円程度になります(東海道新幹線の料金の約1.5倍と試算)。

となると、東京~札幌の特急料金は14,000円程度、東京~札幌間の運賃・特急料金の総額は28,000円程度になりそうです。今回の価格設定が札幌開業まで見据えたものだとすれば、物価水準が今後も代わらないと仮定して、東京~札幌間で2万円台を維持しようという狙いが込められているのかもしれません。

とはいえ、札幌まで延伸したときに、この価格設定で飛行機との競争に勝てるのでしょうか。(鎌倉淳)

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