広島市内中心部のバスの運賃が180円均一となります。広島電鉄などが発表しました。路面電車の市内線と同額になり、「広島市中心部は電車もバスも180円均一」となります。バス路線網の大がかりな再編も計画されています。
「バス180円均一運賃エリア」が誕生
広島電鉄は、2017年11月1日から、広島市内中心部を走るバスの運賃を180円均一に変更すると発表しました。180円の乗車エリアは「バス180円均一運賃エリア」と命名されます。
「バス180円均一運賃エリア」は、広島駅、段原4丁目、昭和町、御幸橋、新住吉橋、己斐、中広2丁目、横川駅前、新白島駅、白島町などに囲まれたエリアです。
広島駅~紙屋町は値上げ
主要区間である広島駅~紙屋町は20円の値上げになります。一方で、距離の長い区間では、最大60円の値下げになるということです。
広島市内中心部に近い、JR各駅(広島、新白島、横川、西広島)からは、いずれも市内中心部には180円となります。広島エリアの交通系ICカード「PASPY」利用には10%の割引が設定されていて、170円となります。
広島バスや広島交通も、広島市内中心部を走るバスの運賃を同日から180円均一に変更します。芸陽バスもこれに倣う見通しで、広島市内の中心部は、どの会社にであれ、電車もバスも「PASPY」利用で170円、現金で180円というわかりやすい運賃になる見通しです。
「地域公共交通網形成計画」
この施策は、広島市が2016年12月に策定した「地域公共交通網形成計画」にもとづくものです。
地域公共交通網計画では、将来にわたって持続可能な公共交通体系を形成することを目的として、公共交通の再編成を提言しています。
広島市内の電車・バスの重複路線を整理する一方で、乗り継いで割高にならないよう、ゾーン制の運賃制度を導入する、という方針です。
「循環線」を新設
重複路線の整理では、広島駅~紙屋町間を運行している様々な路線を統合する「循環線」を新設し、広島駅・紙屋町間の過密状況を解消します。循環線は、広島駅~八丁堀~紙屋町~白神社~田中町~広島駅と回る路線で、2018年春にも運行を開始します。
一方で、郊外から中心部への直通路線は削減し、郊外部への乗り継ぎ拠点となる「バスの駅」を整備します。郊外部から中心部へは、「バスの駅」で乗り継ぎが生じるものの、運行頻度を向上させ利便性を確保し、ゾーン制運賃や乗り継ぎ割引の導入により、運賃面で割高にならないよう配慮します。
基幹路線は大型バス、郊外のフィーダー路線では中小型バスを運用し、効率化を図っていきます。
「共通定期券」も設定
バス各社は、路線や運賃の再編を段階的に行うこととしており、広島市と協議を進めています。2018年春には、ICカードで複数のバス会社や電車の重複区間を乗れる「共通定期券」の設定も検討しているそうです。
地域公共交通網形成計画の目標達成年度は2020年度。これらの施策が実現すれば、今後数年で、広島エリアの公共交通システムは、大きく変わることになります。
少子高齢化でバス運転士の確保が困難になるなか、こうした施策は各地に広まっていくのではないでしょうか。(鎌倉淳)