広島空港の民間委託について、三井不動産を筆頭とするコンソーシアムが、国土交通省と基本協定を結びました。同時に、提案の概要を公表。交通アクセスの強化や、国際線の新規就航の誘致などが盛り込まれました。
三井不動産などが受託
広島空港の民間委託は2019年に公募が実施され、2020年9月に三井不動産を筆頭とする陣営「MTHSコンソーシアム」に優先交渉権が与えられています。11月16日には、同コンソーシアムと国土交通省が基本協定書を締結。提案の概要が公表されました。
それによりますと、広島空港の将来ビジョンは「中四国の持続的成長を牽引し続ける圧倒的NO.1ゲートウェイ」。中四国エリアの玄関口としての地位を固めることを目指します。
2018年度に国内5路線、国際7路線だった路線数を、30年後に国内8路線、国際22路線の、計30路線とする目標が掲げられました。年間旅客数は2018年度の300万人(国内265万人、国際35万人)を、586万人(国内350万人、国際236万人)にまで増やすとしています。
ハワイ、ヘルシンキへ
そのために不可欠なのはネットワークの拡大です。国内線では、LCCの拠点化による低廉な路線を整備します。とくに地方路線の拡充が掲げられました。国際線では、アジア主要路線のデイリー化と、東アジアの地方都市や東南・南アジア路線の誘致を目指すとしています。
具体的には、LCCの就航先として新千歳、仙台、成田、新潟、小松、宮崎、那覇、台北、上海が記されました。新規就航路線としては、釜山、ハルビン、西安、成都、広州、高雄、マニラ、ハノイ、バンコク、ホーチミン、クアラルンプール、デリー、ヘルシンキ、ホノルルなどが記されました。
目を引くのはヘルシンキ路線でしょうか。ヨーロッパの玄関口であるヘルシンキ路線を開設し、ヨーロッパからの観光客の誘致を目指します。広島は欧米からの観光客に人気があるため、その特性を活かした提案といえます。
高速バスの立ち寄り拡充
空港アクセスは、バスの拡充で充実を図ります。具体的には、広島市内方面バスの大幅増便や、東広島駅へのバス路線新設による新幹線への接続強化が盛り込まれました。
宮島口への新規バス路線を作るほか、高速バス路線の立ち寄りとして、岡山、今治、米子、松江、出雲、浜田路線などを誘致します。空港アクセス鉄道の誘致は含まれていません。
空港施設は需要拡大にあわせ、段階的に増築します。ターミナルビルは国内線と国際線を分断する吹き抜け部を屋内化し、旅客動線を改善、到着エリアの内際一体化を図ります。
バス待合スペースは屋内化し待ちやすくし、レンタカーステーションを新設します。制限エリアでは、店舗の拡充や免税店の充実を図ります。
駐車場についてはキャパシティを増強、駐車場料金体系も見直します。
東急、マツダなど参画
同陣営には三井不動産を筆頭に、東急、住友商事、広島銀行、マツダ、広島マツダ、中国電力、九州電力、広島電鉄、広島ガスなどが参画。広島の主要企業が顔を揃えます。2021年2月頃から空港ビル、同年7月から滑走路を含む全施設の運営を手掛けます。
壮大すぎる計画にも思えますが、新型コロナで日本中が身を縮めているなか、将来の夢が語られるのは素晴らしいことではないでしょうか。