阪急電鉄は、新型車両2300系と2000系を導入します。このうち2300系では座席指定サービスを実施する予定です。
「新しい阪急スタイル」
阪急電鉄は,京都線の新形特急車両として2300系を、神戸・宝塚線の新形通勤車両として2000系をそれぞれ新造し、2024年夏から運用を開始すると発表しました。阪急が車両のモデルチェンジを行なうのは、2013年以来11年ぶりです。
両形式の開発コンセプトは「安心と快適、そして環境に配慮した新しい阪急スタイル」です。
そのコンセプトどおり、外観は阪急伝統のマルーンとアイボリーの車体色を継承し、直線的なデザインとしました。一方で、「疾走感」を醸し出すため、前面の窓ガラスに曲線を取り入れています。
京都線はセミクロスシート
車内のデザインも阪急の伝統を踏襲。木目調の化粧板やゴールデンオリーブ色の座席は変わらず、落ち着いた雰囲気はこれまで通りです。
車内の座席配置は、京都線の2300系がセミクロスシート、神戸・宝塚線の2000系がロングシートとなりました。ロングシート端部の袖仕切りは半透明の素材となり、開放的な空間を演出します。
座席指定サービス定員は40名
車両定員は、2300系が先頭車112、中間車124人です。ただし、2300系は大阪方から4両目で座席指定サービスを導入する予定で、その車両の定員は40人です。立席が定員に含まれないためのようです。
座席指定サービスの詳細は明らかになっていませんが、定員が40人ということは、クロスシート部分が縦8列の32席で、車端部のロングシートが計8席という計算でしょうか。あるいは、車端部もクロスシートにするのでしょうか。
2000系の車両定員は先頭車117人、中間車129人です。
車いすスペースを拡大
先頭車両の車いすスペースは、片側の座席を撤去して拡大。壁面の手すりを2段にして、使いやすくします。
車いす利用者への配慮として、新たに車いす固定具を設置するとともに、従来は連結部ドア横に設置していた非常通話装置の位置を、乗降ドア横に変更しています。
吊り手の高さを低くし、吊革を色覚の多様性にも配慮した配色に変更。車いすスペースや優先座席の場所が車内の離れた場所からでも認識しやすいようにしています。
座席昼間部にも握り棒
ロングシート仕様の2000系では、座席端部に加えて、座席の中間部にも握り棒を設置して、立ち上がりやすくします。セミクロスシート仕様の2300系では、優先座席の中間部に握り棒を設置します。
空調装置は省エネルギー性能と静音性に優れたインバータ式を導入。空気清浄機も取り入れます。防犯カメラも設置します。
最新の高効率な半導体素子を用いた制御装置を採用することで、既存車両と比較して消費電力量を約60%削減します。車外側面の行先表示器の LEDを、走行中は消灯します。
運行開始は2024年夏です。京都線の座席指定サービスも同時期以降に開始されるとみられます。(鎌倉淳)