羽田空港の日米路線の発着枠配分について、国土交通省は昼時間帯(6時~23時)をANAに1日3枠(3往復)、JALに2枠、深夜・早朝時間帯(23時~6時)をANAに1枠として割り当てる方針を固めたことがわかりました。NHKなどが報じています。
深夜・早朝枠もANAに配分
羽田空港のアメリカ路線の発着枠は現在、深夜・早朝に8枠あり、ANAとJALが各2枠、アメリカ系の4社が1枠で運航しています。2016年2月の日米航空交渉において、これを昼時間帯10枠、深夜・早朝時間帯2枠の計12枠に変更し、日米で折半することが決まっていました。
つまり、日本の航空会社には、昼時間で5枠、深夜・早朝時間で1枠が割り当てられるのですが、これについて、国土交通省はANAに4枠、JALに2枠を割り当てることに決めた、ということです。傾斜配分となったのは、2010年に経営破綻したJALを拘束する、いわゆる「8.10ペーパー」に基づくものとみられます。
8.10ペーパーの存在により、昼時間の5枠についてはANA3枠、JAL2枠が当初から確実視されていました。焦点は深夜・早朝の1枠についてJALに配分するかどうかでしたが、最終的に、深夜・早朝枠もANAに割り当て、全体で4対2という結果になりました。
JALは増枠なし
JALは現在の深夜枠2がそのまま昼間に移るだけで増枠はなし。ANAは現在の2枠が4枠に倍増することになります。現政権はこれまでも発着枠配分でANAを優遇してきましたが、今回もその姿勢を明確に貫いたということでしょう。
ANAとJALは今後、就航する具体的な路線を決めることになりますが、昼間時間帯には、ニューヨーク線やシカゴ線が設定される見込みです。アメリカ東海岸への路線は、深夜・早朝時間帯の羽田出発では現地到着が深夜になり不便なので設定されていませんでしたが、昼間時間帯を使った便となれば、使いやすいでしょう。
アメリカは競争入札を実施
一方、アメリカ側はどうなるのでしょうか。デルタ航空のプレスリリースによりますと、アメリカ運輸省はアメリカ系航空会社に割り当てられる羽田発着枠6つすべてに対して、競争入札を実施すると通達したそうです。
これを受け、アメリカ航空各社は、羽田空港の新しい発着枠を使った便を、すでに当局に申請しています。
アメリカン航空は、ロサンゼルス線、ダラス・フォートワース線。ユナイテッド航空はサンフランシスコ線、ニューヨーク(ニューアーク)線。デルタ航空はロサンゼルス線、ミネアポリス線、アトランタ線。ハワイアン航空はホノルル線、コナ線です。計4社が9路線を申請しました。
利用者としては、日米の航空会社をあわせたアライアンス別の発着枠も気になるところです。これについては、アメリカ側の配分決定を待たなければならないようで、現在のところよくわかりません。
ただ、アメリカは広いですので、アライアンスがどうというより、行き先によってエアラインを使い分けていくことになるでしょう。羽田から東海岸へ直行便で行けるようになるのは便利ですね。(鎌倉淳)