JR北海道の新型車両H100形「DECMO」が、2020年春に函館線山線で運転を開始します。2020~2021年度に60両が導入される予定ですが、どの線区に投入されるのでしょうか。
電気式気動車
H100形「DECMO」は電気式気動車システムを採用した新型車両です。ディーゼルエンジンで発電機を駆動し、その発生電力でモーターを回し走行します。低床式で車いすスペースを設置するなど、バリアフリーにも対応。運賃表示は液晶式で英語も表示します。
JR北海道では、H100形量産先行車2両を新製した後、2018年2月から走行試験を実施してきました。検証作業も終了したことから、2020年春に計15両を営業投入すると発表しました。すでに2019年9月に6両が納車され、2020年1月にも7両が納車予定です。
最初の投入線区は函館線の「山線」と呼ばれる長万部~小樽間です。ワンマン運転を行う全列車をH100形に置き換え、早朝の札幌発の列車(然別行)も1本設定します。キハ201系については現行通りです。
なぜ「山線」なのか?
H100形の最初の投入線区が函館線山線になった理由について、明確な発表はありません。
考えられる理由を挙げてみると、輸送密度が625と普通列車のみが運行する区間としては比較的高いこと。当面の廃止予定がないこと。沿線に国際的なリゾート地であるニセコを抱え、ローカル列車で外国人利用者が多いこと、などが考えられます。
H100形は車内案内表示器で英語表記が可能ですので、外国人にも利用しやすくなるでしょう。
苗穂はH100形へ統一へ
山線の気動車は苗穂運転所の所属です。札沼線の非電化区間が2020年5月に廃止されることもあり、H100形の投入により、苗穂運転所からキハ40形が全て姿を消すことになりそうです。
山線ではキハ150形も運用されていますが、これもH100形で置き換えられます。キハ150形はどこかに転属になるとみられます。そのため、キハ150形も苗穂から姿を消すことになりそう。つまり、苗穂の一般型気動車はH100形へ統一が図られることになります。
今後の投入線区は?
JR北海道では、2020~2021年度にH100形を60両を導入する計画で、経年35年以上となって老朽化している車両の置き換えを進めていきます。
2019年度までの15両とあわせて、H100形が計75両の勢力となる計算です。
今後のH100形の投入線区は未発表です。予想してみますと、普通列車の輸送密度が比較的高く、ニセコと同様に外国人観光客の利用が多い富良野線などが候補になりそうです。
富良野線へ投入する場合、旭川運転所への配置となります。仮に旭川へ集中投入されれば、石北線や宗谷線でもH100形の投入が進むことになります。
札幌に近い苫小牧運転所に配置される可能性もあるでしょう。その場合は、室蘭線や日高線などで、キハ40形の更新が進むことになります。(鎌倉淳)