JR北海道の江差線について、廃止に向けての協議が始まるようです。これは、2012年8月8日付北海道新聞が報じたもので、その後各紙が後追いで報じました。
江差線は、五稜郭-江差を結ぶ路線で、このうち五稜郭-木古内間は、実質的に津軽海峡線の一部になっています。2015年度に北海道新幹線の新青森ー新函館間が開業すると、五稜郭-木古内間(37.8キロ)については第三セクターに移管されることが既に決まっています。
今回廃止が報じられたのは、末端部分の木古内-江差間(42・1キロ)です。この区間は山間部で利用者が特に少なく、2011年度の1キロ当たりの1日平均利用者数は41人と、同社の路線で最低。2004年度の63人と比べても35%も減少しており、日本屈指の過疎区間としても知られていました。
もし廃止されない場合は、木古内-江差間だけが第三セクター化されずにJRの「孤立区間」として残る、という理屈になりますが、これはどう考えても非効率的です。そのため、新幹線開業時にはこの末端区間は廃止されるのでは、という観測がかねてからありましたが、それが現実になってしまった、ということです。
北海道新幹線の開業より1年も前に廃止されるという点については、江差線五稜郭-木古内間の第三セクター移管をスムーズに進めるためのようです。廃止する区間は先に廃止し、残す区間の移管の準備を進める、ということなのでしょう。
廃止区間について、JR北海道はバス路線への転換を想定しており、木古内町など沿線3町と協議を進めるとのことです。地元からは目立った反対の声はなく、「やむを得ない」という意見が大勢を占めている様子。絶対的な利用者数の少なさを考えれば受け入れるほかに方法がない、ということのようです。もはやローカル線を廃止しても「反対運動」すら起こらない時代なのですね。
心配なのは、これと同様な「孤立区間」が北陸新幹線関連でもある、ということです。具体的には城端線や氷見線がJR西日本の在来線から孤立しますし、大糸線や高山線の一部区間もJR西日本としては孤立します(他社JR在来線とは接続)。江差線の末端区間に比べれば輸送量は段違いに多いでしょうが、赤字なのは変わりありません。今回の江差線「孤立区間」の処理が、これらJR西日本の孤立区間の処理の前例にならなければよいのですが。