JR北海道がインターネット列車予約システムを「えきねっと」に全面移行します。
同社は、「えきねっと」を北海道内の列車予約サービスとして、2016年12月に展開することを発表しました。これにより、JR北海道とJR東日本の列車予約システムが「えきねっと」に統合されます。
JR北海道独自の予約システムである「JR北海道予約サービス」は、2017年2月頃に廃止されます。
道内115カ所できっぷ受け取り可能に
「えきねっと」は、JR東日本のインターネット列車予約サービスで、北海道を含む全国のJR新幹線・特急列車の指定席が予約できます。
現時点でもJR北海道の列車のきっぷを予約・購入できるわけですが、函館エリアを除く北海道内の駅ではきっぷの受け取りができません。そのため、函館エリア以外の道内在住者が「えきねっと」を使うことは困難でした。
JR北海道によりますと、2016年12月1日より、「えきねっと」で予約したきっぷの受け取りが可能な駅を北海道全域に拡大します。道内の主要101駅と、14のツインクルプラザの計115カ所で、受け取りができるようになります。
これにより、JR北海道沿線の利用者は「えきねっと」をメインのJR列車予約システムとして使うことができるようになります。
予約システムをJR東日本に依存
一方でJR北海道独自の予約システムである「JR北海道予約サービス」はその役割を終えることになり、2017年2月頃をメドに廃止されます。
JR北海道は、インターネット予約システムを「えきねっと」に全面移行するわけで、経営難の同社が、予約システム開発への投資をやめ、JR東日本に全面的に依存する判断を下した
とみられます。
「トクだ値」も道内で設定か
「えきねっと」には、「えきねっと特典」と呼ばれる仕組みがあります。きっぷの受け取り前なら予約変更が自由などの特典ですが、現時点ではJR東日本エリア内の列車と北海道・北陸新幹線に限られています。この特典も、今後、JR北海道内の列車が対象になる予定です。
北海道新幹線で導入されている「北海道ネットきっぷ」は「えきねっとトクだ値」に統合されるようです。発表はありませんが、「えきねっとトクだ値」も、道内の在来線特急に対象拡大されていくとみられます。
関東甲信越以東で予約システムが統一
「えきねっと」は、一昔前に比べると格段に使いやすくなり、性能も進化しています。北海道から九州まで全国のJR新幹線・特急の予約が可能で、とても便利です。
JR北海道が「えきねっと」を全面導入することは、JRインターネット予約システムが関東甲信越以東で統一されることになり、喜ばしいことと筆者は考えます。利用者の立場からみれば、JRの予約システムが、JR各社ごとに異なっている必要はないからです。
いっそのこと、「えきねっと」の「きっぷの受け取りができる駅」を全国のJR駅に拡大すれば、もっと便利になります。技術的には可能でしょうし、ぜひ実現して欲しいですが、JR各社の思惑がそれを妨げており、簡単な話ではなさそうです。
「相互乗り入れ」に期待
せめて「えきねっと」をJR西日本エリア全域で受け取れるようにし、「e5489」(JR西日本の列車予約システム)をJR東日本エリア全域で受け取れるようにすれば、利用者の利便性は格段に上がります。
「相互乗り入れ」は日本の鉄道の優れた点ですが、インターネット予約システムでも、こうした「相互乗り入れ」をもっと拡大して欲しいところです。(鎌倉淳)