北海道新幹線新青森~新函館北斗間の部分開業(2015年度末)にあわせて江差線の経営を引き継ぐ北海道道南地域並行在来線準備会社は、新しい会社名を「道南いさりび鉄道」に決めました。2015年1月1日に社名を変更します。
北海道道南地域並行在来線準備会社は、江差線の五稜郭~木古内間37.8kmをJR北海道から引き継ぐ第三セクターの会社です。2014年8月に設立されたばかりで、10月から11月にかけて会社名を一般から募集していました。
情景が目に浮かぶいい名称
新会社名は公募で決められ、2014年10月1日から11月23日まで、全国から6207件(うち道内38%)の応募がありました。「道南いさりび鉄道」は21人から応募があったそうです。選考委員長によると、「いさりび」は、「この地域を表すワードで(選考委員から)最も強い推薦があった」とのことです。
「道南いさりび鉄道」は響きも良く、「いさりび」の情景も目に浮かび、良い名前だとは思います。ただ、一方で、どうして第三セクターの鉄道会社の名前は長いのだろう、と思わなくもありません。
昔はもっとシンプルだった
第三セクター鉄道会社の歴史は、国鉄時代の特定地方交通線を転換したときに遡ります。日本初の第三セクター鉄道はおなじみ「三陸鉄道」で、じつにシンプルな名前です。特定地方交通線からの転換鉄道会社には、他にも「山形鉄道」、「阿武隈急行」、「のと鉄道」、「樽見鉄道」、「錦川鉄道」など、おおむね地名を冠しただけのシンプルな名前が付けられました。
この時点でも、「北近畿タンゴ鉄道」や、「土佐くろしお鉄道」など、ちょっと凝った名前もありましたが、少数派です。
並行在来線会社は社名が長い
整備新幹線の並行在来線区間を転換した第三セクター鉄道の最初は、長野新幹線開業時に誕生した「しなの鉄道」で、これも名称としてはシンプルです。
長い名前の第三セクター会社の流行を形作ったのは、東北新幹線を転換した「IGRいわて銀河鉄道」でしょう。この名前を聞いたとき、「長くて覚えにくいなあ」と感じたことを記憶しています。同時に開業した「青い森鉄道」は、地名と響きをうまく組み合わせたシンプルなネーミングでしたが、こうした「短い社名」は青い森鉄道が最後です。
九州新幹線開業で誕生したのが「肥薩おれんじ鉄道」。北陸新幹線の開業で誕生したのは「えちごトキめき鉄道」「あいの風とやま鉄道」「IRいしかわ鉄道」です。
「青い森鉄道」や「肥薩おれんじ鉄道」は地名と色が組み合わさってイメージしやすいのですが、北陸3社は少し覚えにくいように感じます。個人的な感想ですが。
個人的な感想をついでに書き加えると、「あいの風とやま鉄道」が一番苦手で、「あいの風だったか、あいの里だったか」と、原稿を書くときいつも確認しています。えちごトキめき鉄道は「トキだけカタカナ」と、最近ようやく覚えました。自分の頭が悪いだけですが。
小樽延伸しても「いさりび」なのか?
「道南いさりび鉄道」は、一度聞けば覚えられる響きで、ひらがなの使い方もわかりやすいといえます。でも、「道南鉄道」でよかったんじゃないかな、という気もしないでもありません。
ところで、「道南いさりび鉄道」は、北海道新幹線を函館以北に延伸する際には函館本線の受け皿となります。函館~小樽間を三セク移管するのなら、小樽駅まで「道南いさりび鉄道」が走ることになります。途中のニセコや倶知安で「いさりび」はちょっと雰囲気違うかな、という気もしますが。
なんとなく、引き受けるのは函館~長万部までで、長万部~小樽は廃止、という青写真が透けて見えなくもありません。考えすぎでしょうか。