21位 東武「りょうもう」で200系運用が増加
東武伊勢崎線特急「りょうもう」で、500系リバティ3両編成で運行している列車の一部を、6両編成にします。このうち、4往復は200系に変更します。
伊勢崎線特急に関しては、200系からリバティへの置き換えが進められてきました。リバティを3両編成で運行することにより、1列車あたりの定員も減らしてきています。現行ダイヤでは、25往復中13往復がリバティになっています。
ところが、2023年3月ダイヤ改正では、3両編成の「リバティりょうもう」のうち下り5本上り6本を6両化して輸送力を増やします。うち8本(4往復)は200系に戻します。新型コロナによる利用者減の時期が終わり、利用者増への対応を迫られているということでしょうか。
東武では、2023年7月に、新型特急車両「スペーシアX」の導入も控えています。ひょっとして、「スペーシアX」運行開始前後に、リバティを日光線系統で使用する必要がある、といった事情が隠されているのかもしれません。
22位 「ホリデー快速おくたま」が奥多摩に行かない
青梅線では、青梅~奥多摩間でワンマン運転を開始し、青梅駅で系統を完全に分割するようです。立川~青梅間も含め、全面的にダイヤを見直します。
土休日に運転している「ホリデー快速おくたま」の運転区間も、青梅で分割します。これまでは新宿(東京)~奥多摩間で運転してきましたが、新宿(東京)~青梅間と青梅~奥多摩間で分割し、青梅駅では同一ホームでの乗り換えとなります。
要するに、新宿発の「ホリデー快速おくたま」は青梅が終点となり、青梅から先へは乗り換えなければならなくなります。そして、青梅~奥多摩間の「ホリデー快速おくたま」は臨時列車となるので、運転のない日は、青梅で乗り換えられません。
東京~奥多摩の直通列車を廃止することまでは理解ができるとして、奥多摩に行かない「ホリデー快速おくたま」には、ちょっとびっくりです。
なお、併結していた「ホリデー快速あきがわ」は廃止となります。「ホリデー快速おくたま」が、拝島駅で五日市線と接続する形となります。
23位 「エアポート成田」だった快速を減便
総武線快速は、日中時間帯に運転本数を見直します。注目は、成田空港駅を発着する快速の減便です。これまで毎時1~2本運転のところ、毎時1本の運転となります。
また、千葉~成田空港間は、千葉駅始終着の普通列車(8両編成)で運転します。日中時間帯の3往復が、8両編成で千葉~成田空港間の運転になります。
要するに、日中時間帯の都心~成田空港直通の快速列車が、減便のうえ、一部が千葉発着の普通列車になる、ということです。
成田空港発着の快速は、かつて「エアポート成田」という愛称を備えていました。2018年3月改正で愛称は廃止されましたが、都心直通の成田空港発着快速という運行形態に変更はありませんでした。それが、2023年3月改正で、一部とはいえ都心直通でなくなるのです。
成田空港発着の日中時間帯の列車が都心直通でなくなるのは、ひょっとしたら成田空港駅開業以来かもしれません。その点で驚きは大きいといえます。
京成成田空港アクセス線の充実などもあり、JR快速を使う空港利用者が少なくなっているのでしょうか。
24位 快速「アクティー」廃止
東海道線の快速「アクティー」は、2021年3月改正で大減便となり、現在、下り2本が東京~小田原間で運行されているだけです。この2本が2023年3月改正で廃止されます。1本が普通列車に格下げ、1本が運行取り止めです。
快速「アクティー」は、かつては日中時間帯に毎時1本運転されていて、東海道線の速達サービスを担っていました。2021年3月改正で日中時間帯の運行がなくなり、夜の「通勤快速」を置き換える形で2本のみが存続していました。
新ダイヤでは、それも消滅となり、名実ともに快速「アクティー」は姿を消すことになります。
25位 東上線で列車種別変更
東武東上線では、列車種別と停車駅の変更を行います。快速急行の志木停車をやめ、朝霞台に新たに停車します。JR武蔵野線との接続・利便性向上を図るのが目的です。また、快速急行は川越~小川町間は各停となります。
急行は朝霞に停車、準急は上板橋駅に停車します。快速の運行は取りやめます。副都心線直通の「Fライナー」については、東上線内の種別を急行から快速急行に変更します。
川越特急は増発です。平日下りを2本から4本に、土休日下りを2本から3本に、平日上りを3本から14本に、土休日上りを4本から10本とします。一部の快速急行を格上げして、川越特急の運行を増やすようです。
全体的には減量ダイヤとなっていて、川越市~森林公園駅間については毎時8本から6本に減少します。この区間では準急がなくなり、すべて急行または快速急行となります。
26位 東京メトロで減便続く
東京メトロでは、有楽町線の日中時間帯で毎時12本が10本に減便となります。5分間隔が6分間隔となります。
前回のダイヤ改正で、西武線直通列車が毎時2本廃止されたことにより、池袋~新木場間の折り返し列車が発生していましたが、新ダイヤでこの列車の運行を中止し6分間隔にするのでしょう。
そのほか、東西線は平日朝で減便します。他路線でも、路線や時間帯により運行本数を見直します。東京メトロ全体として、減便傾向が続いています。
2022年8月に大減便がおこなわれた銀座線については、今回、ダイヤの見直しはありません。
27位 都営新宿線で昼間の急行廃止
都営新宿線では、日中時間帯の急行を廃止します。2022年2月の改正で大幅に運行本数が減っていましたが、ついに日中時間帯で姿を消します。
急行は、平日朝夕と土休日朝で運行を継続し、一部の各停は急行に格上げされます。大島駅での緩急接続もおこない、ラッシュ時の速達性を向上します。
新宿線の急行は、都心部の利用者には迷惑な部分もありましたので、列車本数が全体に少ない日中時間帯の廃止には納得する方も多いでしょう。一方で、千葉方面から都心への通勤・通学には便利な存在ですし、ラッシュ時だけ運行というのは合理的な判断に感じられます。
いずれにせよ、利用者減少を受けた速達サービスの廃止という、新型コロナ後に顕著になったトレンドに沿うダイヤ改正といえそうです。その点は寂しい気もします。
28位 仙山線でダイヤリニューアル
仙山線では、快速列車の停車駅などを見直します。現行3種類の快速列車の停車駅を統一します。仙台~愛子間は、全列車停車となります。日中時間帯の愛子~山形間は普通列車と交互に運転します。
仙山線の快速の停車駅は、部外者からみてもわかりにくかったので、すっきりしそうです。
これも、パターンダイヤ化の流行に沿った改正といえるでしょう。仙台~山形間の輸送は高速バスに任せて、仙台近郊輸送に注力する意味もあるのでしょうか。
29位 快速「みよしライナー」増発
芸備線では、普通列車の一部を快速「みよしライナー」に変更します。改正前の三次行きは平日1日2本の運転でしたが、改正後は4本に。土休日は4本だったところ、6本になります。
これにより、広島~三次間では33分の時間短縮となる場合もあります。一方で、快速通過駅では利用機会減少となります。
芸備線は、山間部区間で存廃問題があり、路線全体で利用促進策が議論されています。そのなかで、芸備線と高速バスに片道ずつ乗る「バス&レール どっちも割きっぷ」が好評で、さらなる利用促進のために快速増便となったようです。
30位 留萌線石狩沼田〜留萌間廃止
正確には2023年3月ダイヤ改正とは関係ありませんが、留萌線石狩沼田~留萌間が同3月末に廃止されます。
北海道の鉄路がまた少し、縮小されます。残される深川~石狩沼田間も、3年の猶予の後、2026年3月に廃止される見通しです。
まとめてみると
30位までランキングしてきましたが、2023年3月ダイヤ改正は新線開業や複線化など、前向きな話題が上位に入りました。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響も残っていて、全体として減便傾向は続いています。細かい減便が多いので、ランキングには入れにくかったのですが、多くの路線で運行規模の縮小が続いているのは確かです。
ただ、この2年での減便がひどかったからか、さすがに底打ちの兆しもあります。新幹線では「毎日運行の不定期列車」も設定されていて、利用者回復と急減を両にらみする措置と感じられます。
各社が通勤時の着席サービスに力を入れているのも特徴的です。これまではスジがいっぱいで運行できなかったラッシュの最混雑時間帯にも、着席サービスを提供するようになってきました。ピークの平準化が進んで、線路容量に空きが出てきたのでしょう。
利用者としては選択肢が増えるので、悪いことではありません。生活様式の変化が通勤事情を改善したわけで、前向きに受け止めたいところです。(鎌倉淳)