2024年3月ダイヤ改正「注目ポイント」ランキング【2】快速サービスの縮小も

新型ダイヤの影響が残る

2024年3月16日に実施される鉄道各社のダイヤ改正の概要が発表されました。注目ポイントをランキング形式でまとめています。

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2024年3月ダイヤ改正「注目ポイント」ランキング。鉄道各社を総まとめ

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11位 京葉線、宇都宮線などで快速縮小

京葉線快速

京葉線では、日中時間帯を除き、東京~蘇我間ですべての快速を各駅停車に変更します。これにより、朝・夕夜間帯に外房線、内房線と直通する通勤快速や快速も各駅停車に変更となります。

快速は日中のみの運転となり、運転本数は平日24本、土休日47本に激減します。外房・東金線と直通している通勤快速(土休日は快速)も、各駅停車に変更されます。

この通勤快速は、新木場~蘇我間無停車が特徴でしたが、改正後はただの長距離各駅停車になってしまいます。

また、宇都宮線・高崎線では、夕方から夜間にかけての快速を各駅停車に変更します。上野発着の快速「ラビット」(宇都宮線)と「アーバン」(高崎線)が対象です。

快速サービスの縮小は、近年のJR各社の傾向です。人手不足と利用者減の影響で運行本数を見直すなか、全ての駅で一定の停車本数を維持するためには、快速サービスを犠牲にせざるをえないという事情があるのでしょう。

とはいえ、京葉線のような中距離路線で、快速列車が日中時間帯になくなってしまうのは、利用者としては厳しい話です。

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12位 255系が定期運用から引退

255系わかしお

房総特急では、特急「しおさい」にE259系を投入し、「成田エクスプレス」と同一車両にします。

「しおさい」「わかしお」「さざなみ」はそれぞれ1日1~2往復程度、運転本数を削減します。これらの措置で運用数を減らし、255系を定期運用から外します。255系は房総特急でのみ運用されているので、定期列車としては引退します。

255系は、1993年に「ビューさざなみ」「ビューわかしお」として営業運転を開始した、民営化後初期の特急形車両です。都市間輸送と観光客輸送の両面に対応した車両として注目を集めた人気車両でしたが、ついに定期運用から姿を消します。

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13位 「成田エクスプレス」の通勤特急化すすむ

成田エクスプレス

「成田エクスプレス」は、これまで他の房総特急と異なる料金体系を取ってきましたが、ダイヤ改正を機に、特急料金、グリーン料金を房総特急と同じにします。実質的な値下げです。

ただし、利用区間に成田空港・空港第2ビル駅を含む場合は、現行の料金体系となります。シーズン別の特急料金は廃止し通年同額とします。

グリーン料金は、これまで200kmまでの区間で一律2,800円でしたが、ダイヤ改正後は、房総特急と同じ料金(100kmまで1,300円、200kmまで2,800円)に変更します。

ダイヤ面では、「成田エクスプレス3号・5号」が千葉駅にあらたに停車するほか、「47号・49号・4号」が佐倉駅にあらたに停車します。

大船発は06時22分発を廃止し07時00分発にするなど、通勤時間帯に近づけます。中央線への乗り入れは廃止です。

一言でいえば、成田エクスプレスを「空港輸送」専用列車から、「空港輸送と通勤輸送」の両輪で走らせる列車に変化させた、ということでしょう。通勤客にも使いやすいダイヤと使いやすい価格を提供します。

また、空港輸送についても、都心や横浜方面の客だけでなく、千葉県内の利用者も拾う方針に転換しつつあります。新型コロナでの大打撃を経験し、より多角的な運用を目指すようになったのでしょう。

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14位 近畿圏で有料着席サービス拡大

289系まほろば、らくラクやまと
画像:JR西日本プレスリリース

近畿エリアでも、有料着席サービスが拡大します。

大和路線では、平日の朝夕通勤時間帯に、新大阪~奈良間に通勤特急「らくラクやまと」を新設します。大阪環状線経由で、途中、大阪駅や天王寺駅に停車します。大阪方面行きが朝1便、奈良行きが夕1便です。

大阪駅~米原駅で運転している通勤特急「びわこエクスプレス」は、列車名を通勤特急「らくラクびわこ」に変更します。

新大阪~姫路間の通勤特急「らくラクはりま」は、運転区間を大阪~姫路から京都~網干間に延長します。時刻も変更し、「スーパーはくと」が運行しなくなった京都~大阪間のスジを埋めています。

これにより、大阪を中心に設定されている通勤特急は、JR神戸線方面が「らくラクはりま」、JR京都線方面が「らくラクびわこ」、大和路線方面が「らくラクやまと」に整理されます。

快速列車の有料着席サービスも増強します。大和路線とおおさか東線では、有料座席サービス「快速うれしート」の運転本数も増やします。

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15位 東武「アーバンパークライナー」廃止

東武リバティ

私鉄各社のダイヤ改正の発表は多くありません。発表したなかで目立ったのは、東武鉄道でしょうか。特急「アーバンパークライナー」を廃止します。浅草~大宮・柏、大宮~柏間を500系「リバティ」で運行している列車です。

同社が、近年力を入れている野田線(アーバンパークライン)を象徴する列車でしたが、乗車率が振るわなかったようです。

有料着席サービスが各社で増えているなかで、通勤特急を縮小するのは示唆的です。有料着席サービスは、それがさほど必要とされていない線区では根付かない、ということでしょうか。

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16位 特急「富士回遊」増発

E353系

富士急行線(富士山・河口湖方面)へ直通する特急「富士回遊」を1日1往復増発し、1日4往復とします。現状は平日3往復、土休日4往復なので、平日で1往復を増発することになります。

「富士回遊」の前身となる快速列車(ホリデー快速富士山、富士山)は多客期に1日2往復でした。それを特急に格上げして、毎日4往復の運行にまで成長するとは、ちょっと驚きです。

富士山エリアへJRで旅行する人がそれだけ増えたことを意味しています。このうち、インバウンドが少なからぬ割合を占めていることは想像できます。

日本の鉄道利用で、外国人旅行者が無視できないボリュームになってきたことを象徴する事例といえるかもしれません。

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17位 関空特急「はるか」全列車定期化

はるか281系

関空特急「はるか」では、現ダイヤで、一部の列車を毎日運転の臨時列車としています。新ダイヤでは、30往復60本のすべてを、毎日運転の定期列車とします。また、9両編成での運転も継続します。

増発をするわけではありませんが、新型コロナ禍からの完全復活を印象づけるトピックスで、ランクインとしました。

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18位 快速「エアポート」毎時6本化

733系快速エアポート

空港輸送では、新千歳空港発着の快速「エアポート」も盛況です。新ダイヤでは、日中時間帯で毎時6本に増発されます。新千歳空港駅ではおおむね10分間隔で発着します。

あわせて、区間快速の種別を新設します。区間快速は、新千歳空港~北広島間が各駅停車です。一方、千歳線内の普通列車は運行区間を縮小し、札幌~北広島間と、千歳~苫小牧間の運転となります。

快速「エアポート」2024年3月改正時刻表
画像:JR北海道プレスリリース

種別は特別快速が毎時1本、快速が3本、区間快速が2本、普通列車が2本となります。札幌~新千歳空港間の所要時間は特別快速が36分、快速が37~38分、区間快速が43分です。

特別快速はイメージほど速くない一方、区間快速は遅いです。また、札幌発の運行間隔にはバラつきが生じてしまい、最大15分も間隔が空くので、区間快速の後の快速は混雑しそうです。

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19位 札幌~江別間で普通列車25%削減

札幌駅普通列車

新千歳空港へのアクセスが強化される一方で、JR北海道は、札幌圏で列車を削減します。函館線の札幌~江別間では、普通列車が毎時4本から3本となります。毎時2本あった江別行きを1本とし、岩見沢行き2本とあわせて3本となります。

同じ札幌圏でも、千歳線と函館線で明暗が分かれました。

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20位 北海道で5駅を廃止

滝ノ上駅

北海道では、5駅が廃止されます。石勝線滝ノ上駅、宗谷線初野駅、恩根内駅、石北線愛山駅、函館線中ノ沢駅です。

最近のJR北海道では、ダイヤ改正のたびに駅が廃止されていますが、2024年3月改正でも5駅が姿を消すことになります。宗谷線では、両駅の廃止により、美深~天塩川温泉間の距離が23.2kmにもなります。

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