「バリ得」は、山陽・九州新幹線のおもに「こだま」が利用できる格安チケットです。日本旅行がインターネット専用で販売している旅行商品で、JR駅窓口では購入できないという、知る人ぞ知る存在です。
日本旅行のパッケージツアー
「バリ得」は山陽・九州新幹線の格安チケットです。関西~山陽・四国・九州と、山陽~九州のエリア間で設定があります。
【設定区間】
・新大阪、新神戸⇔岡山~新下関
・新大阪~姫路⇔小倉~鹿児島中央
・新大阪、新神戸⇔高松
・新大阪~姫路⇔松山、高知
・岡山~厚狭⇔小倉、博多
・岡山~新下関⇔新鳥栖~鹿児島中央
(※チケット受取駅に制限があります)
日本旅行が販売している旅行商品、つまりパッケージツアーです。東海道新幹線で有名な「ぷらっとこだま」の山陽・九州新幹線版、と考えればいいでしょう。
「バリ得」は、インターネット専用販売で、クレジット支払い限定です。発売は出発前日までで、「こだま」「つばめ」と一部「ひかり」のみ利用可です。
このように制限は多いですが、おおむね通常運賃・料金に対して30~40%引きの価格設定となっていて、格安で旅行できます。
バリ得の価格
「バリ得」の新大阪発着の価格は以下の通りです。
発着地 | バリ得 | JR定価 | 割引率 |
---|---|---|---|
岡山 | 4,100 | 6,140 | 33% |
新倉敷 | 5,100 | 7,670 | 34% |
福山 | 5,300 | 8,000 | 34% |
新尾道 | 5,600 | 8,440 | 34% |
三原 | 5,800 | 8,770 | 34% |
東広島 | 6,700 | 10,200 | 34% |
広島 | 6,800 | 10,420 | 35% |
新岩国 | 7,200 | 11,080 | 35% |
徳山 | 8,000 | 12,300 | 35% |
新山口 | 8,400 | 12,850 | 35% |
厚狭 | 9,100 | 13,850 | 34% |
新下関 | 9,100 | 14,070 | 35% |
小倉 | 8,100 | 14,400 | 44% |
博多 | 8,600 | 15,280 | 44% |
新鳥栖 | 9,800 | 16,430 | 40% |
久留米 | 10,000 | 16,450 | 39% |
筑後船小屋 | 10,000 | 16,900 | 41% |
新大牟田 | 10,600 | 17,730 | 40% |
新玉名 | 10,600 | 17,750 | 40% |
熊本 | 11,000 | 18,880 | 42% |
新八代 | 11,200 | 19,240 | 42% |
新水俣 | 11,800 | 20,390 | 42% |
出水 | 12,100 | 21,020 | 42% |
川内 | 12,400 | 21,240 | 42% |
鹿児島中央 | 12,900 | 22,310 | 42% |
高松 | 5,300 | 7,780 | 32% |
松山 | 8,000 | 11,390 | 30% |
高知 | 7,600 | 10,730 | 29% |
※通常期は4/28~5/8、8/10~16を除く日。これらの日には繁忙期価格で設定あり。
※2022年9月30日までの価格。10月1日以降は未定。
「こだま指定席きっぷ」より安い
最初に注意点として、きっぷが受け取れる駅には制限があります。購入時にはご注意下さい。
席数などは限定されたプランですが、新大阪発着で計算すると、山陽・四国エリアへは約30%程度、九州エリアへは約40%の割引となっています。
この割引率は、JRの正規の割引きっぷより大きいです。
たとえば新大阪~広島間の6,800円は、JRの正規割引きっぷである「こだま指定席きっぷ」(2人以上で販売)の7,810円より1,000円以上安いです。しかも「バリ得」なら1人で利用できます。
新大阪~博多間の価格は8,600円。「スーパー早特きっぷ」11,690円が最安値ですので、それより3,000円以上も安いです。
新大阪~熊本間の価格は11,000円。JRの「スーパー早特21」の14,700円より3,700円も安いです。
所要時間は?
「スーパー早特」は「のぞみ」「みずほ」「さくら」を利用できます。したがって、基本的に「こだま」利用の「バリ得」とは、所要時間は全く違います。
新大阪~博多間の場合、「のぞみ」なら約2時間30分のところ、「こだま」なら約4時間40分。新大阪~熊本の場合、「みずほ」なら約3時間のところ、「こだま」「つばめ」の乗り継ぎなら約6時間20分かかります。新大阪~鹿児島なら約7時間30分です。
6~7時間かかるとなると、関西空港からLCCを使った方が安くて速いこともありますので、空席状況と価格を見比べながら、比較検討する必要があるでしょう。
ひかりなら早い
狙い目は、深夜・早朝に走っている一部「ひかり」です。バリ得は原則として「こだま」「つばめ」の利用ですが、一部「ひかり」も利用できます。たとえば、新大阪~博多間なら以下の「ひかり」を利用できます。
【バリ得で利用できる「ひかり」】
新大阪06:06→ひかり591→09:19博多(3時間13分)
新大阪07:35→ひかり531→10:11博多(2時間36分)
博多06:16→ひかり592→10:12新大阪(3時間56分)
博多20:52→ひかり594→23:32進大阪(2時間40分)
これらの「ひかり」を使えば、新大阪~博多間が3時間前後で利用できます。
利用方法
「バリ得」は、日本旅行のインターネット専用商品です。乗車日の前日までに、同社のウェブサイトで購入し、当日までにエリア内のJR駅券売機でチケット(乗車票)を受け取って改札口を通ります。
チケットは列車の指定座席のみ有効で、乗り遅れたら無効となり、後続列車の自由席には乗車できません。途中下車や途中乗車もできません。
セブンイレブンで商品と引き替えられる「ポチッとギフト」が付いています。150円~200円程度のドリンクや菓子と引き替えられます。
そのほか注意点は、キャンセル料がJRの正規販売のきっぷに比べると高いことです。10日前から20%で発生し、7日前に30%、前日に40%、当日出発前に50%となります。
山陽新幹線の格安旅行に
新型コロナウイルス後の経営難によって、JR西日本は山陽新幹線の格安チケットの一部を値上げ、または販売終了しています。そうした状況で、「バリ得」は破格値で山陽新幹線を利用できる貴重な商品になっています。
インターネットで前日まで購入でき、当日、券売機で受け取れますので、JRのきっぷをネットで購入するのと、手間はほとんどかわりません。1人で利用できる点も便利です。
ただ、山陽新幹線では「こだま」の運転本数が少ないこともあり、「バリ得」には東海道新幹線の「ぷらっとこだま」ほどの存在感はないようです。山陽区間だけならともかく、山陽・九州新幹線をまたがって乗車すると、時間がかかりすぎることも難点です。
それでも、山陽新幹線の頼もしい格安チケットであることに違いなく、うまく活用していきたいところです。(鎌倉淳)
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