磐越西線に指定席を導入へ。地方鉄道に着席サービスは広まるか

先行事例になるか

磐越西線に指定席車両が導入されます。鉄道の地方路線に着席サービスが広まる先行事例になるのでしょうか。

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半室14席を設置

JR東日本仙台支社は、磐越西線の郡山~会津若松間で、指定席着席サービスを導入すると発表しました。E721系一部車両の半室をリクライニングシートのついた空間に改造、14席の指定席を設置します。導入は「2020年春頃」としており、2020年3月のダイヤ改正時とみられます。

これは、福島県、会津若松市とJR東日本の3者で2019年3月に締結した「会津若松駅前広場の整備等を起点とした会津地域の観光振興等に関する包括連携協定」の取組みの一つです。つまり観光振興策で、新幹線からの観光客を会津若松まで座席の心配なく招き入れるための方策です。

指定席を利用するには、普通乗車券または普通定期券のほか、座席指定券が必要です。価格は繁忙期・通常期は530円、閑散期は330円で、一般的な指定席の価格です。

磐越西線指定席
画像:JR東日本仙台支社

磐越西線指定席
画像:JR東日本仙台支社

磐越西線指定席
画像:JR東日本仙台支社

列車名はどうなる?

指定席が連結される対象列車は未発表です。おそらくは、新幹線に接続する快速列車に連結されるのでしょう。ただ、増結なしに半室を指定席改造すれば、列車によっては普通席(自由席)の混雑が激しくなる可能性もあり、どのような編成数にするのかは気になります。

また、指定席を連結するのならば、指定席券販売の都合上、列車名を付与する必要がありそうです。快速「あいづ」などの愛称が復活するのか、新たな列車名が生まれるのかも注目点といえます。

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先行事例になるか

磐越西線は会津方面への観光客のほか、ビジネス客も利用する路線で、東北新幹線開業前は特急や急行といった優等列車が頻発していました。近年も、快速「あいづライナー」には指定席が設置されていました。

それだけに、指定席を導入する下地のある路線で、安定した利用が見込めそうです。逆に14席で十分なのか、という気すらします。

全国的にJRの地方路線はロングシート化が進み、新幹線から乗り換えた観光客は荷物を抱えて居場所に困り、旅行気分を吹き飛ばされたりすることがあります。

それだけに、クロスシート車の指定席は、鉄道を観光利用に活かすための重要な装置と、これから位置づけられていくかもしれません。

有料着席サービスの導入が鉄道各社で広がる中、優等列車の走らない地方路線においても、指定席導入の余地は他にもありそうです。磐越西線はその先行事例になるのでしょうか。(鎌倉淳)

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