北海道のニセコアンヌプリ国際スキー場に、初心者向けリフトが新設されます。山麓部の緩斜面だけを滑れるクワッドリフトで、外国人旅行者など初心者の来訪客増加に対応しました。
初中級者向けコースが豊富
ニセコアンヌプリ国際スキー場は、ニセコアンヌプリ山の南側斜面に位置するスキー場です。初中級者向けのロングコースが特徴で、ニセコユナイテッドの中では、比較的平易なゲレンデ構成です。
とはいえ、スキー、スノボ未経験者向けのコースには乏しく、もっとも低い位置のリフト(ジャンボ第1クワッド)でも距離が1,117m、標高差が257mもあります。乗ってしまったら急カーブを含む約1.8kmの距離を滑り降りなければなりません。そのため、スキー・スノボを初めて体験する初心者には難しすぎます。
そもそも、ニセコエリアには未経験者向けのゲレンデはほとんどありません。ところが、国際的スノーリゾートとしてニセコの知名度が上がるにつれ、アジアなどからスキー・スノボ未体験の旅行者が押し寄せるようになってきました。そのため、ニセコアンヌプリにおいても、初心者が手軽に滑れるゲレンデが存在しないことは、近年の課題となっていたようです。
緩斜面に433mのリフトを架設
こうした状況を改善するため、ニセコアンヌプリ国際スキー場を運営する北海道中央バスは、2017年7月3日に、初心者向け「ドリーム第1クワッドリフト」を新設すると発表しました。山麓部の緩斜面の4人乗りリフトで、傾斜長は433mと短めです。
既存のジャンボ第1クワッドは、リフト乗り場から、降り場が目視できません。そのため、初めての人は「どこまで連れて行かれるかよくわからない」状況でした。これに対し、ドリーム第1クワッドは、リフト乗り場から降り場が見通せますので、初心者も利用しやすくなります。リフトの運転速度は秒速1.6mとし、既存リフトの秒速2.3mより抑えており、初心者向けにゆっくりとした動きとなっています。
リフトの新設は2017-2018年シーズンです。新リフト架設にあわせて、山麓部のコースも拡張されます。初心者滑走エリアが約6600平方メートル拡大されるそうです。
腕前の異なるグループが利用しやすく
前述したとおり、ニセコアンヌプリは初中級者向けのロングコースが特徴のスキー場です。山頂部には手強い上級者斜面も備え、ニセコルールによるオフピステもあります。これに初心者コースが加わることで、ニセコアンヌプリ国際スキー場は、腕前の異なるグループがより利用しやすくなりそう。子連れのファミリー層にも適したコース構成になるでしょう。
隣接するニセコビレッジスキー場も、2016-2017年シーズンにゴンドラ2基を新たに架けて、初心者向けコースを新設しました。訪日客が増えていくなか、初心者コースの充実は、これからの日本の主要スキー場全体のテーマとなっていきそうです。(鎌倉淳)