ANA「国際線半減」の無念。羽田新路線も延期相次ぐ

オリンピックへの意気込みはなく

ANAが2021年度の国際線事業計画を発表しました。夏ダイヤの運航規模は前年比で半減。飛躍を目指した羽田発着の新路線も開設延期が相次ぎ、無念の内容となりました。

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5路線の開設を延期

ANAは、2021年1月26日に、2021年度国際線事業計画を発表しました。注目された運航計画ですが、羽田発着枠拡大で獲得した新規5路線の開設を延期。既存11路線を運休します。さらに、3路線で減便をします。合計で、2021年度夏ダイヤの運航規模は、前年同期と比較し、約半減となります。

開設延期は、羽田発着のサンノゼ、ストックホルム、ミラノ、イスタンブール、モスクワの5路線です。運休は、成田発着のサンフランシスコ、ニューヨーク、ウラジオストク、デュッセルドルフ、台北、プノンペン、ジャカルタ、ムンバイ、チェンナイ、パースと、関西発着の香港線です。

減便はロサンゼルス、シドニー、バンコクの3路線。増便予定だった羽田発着のロサンゼルスとシドニーの既存2路線は、増便を延期する形です。ロサンゼルス線は週7往復で前年と同規模の運航ですが、シドニー線は週5~7往復とします。羽田~バンコク線は、週7~14往復とします。

ANAによりますと、一部の路線については、早期案内をするという観点から、運休・減便という判断としました。新型コロナウイルス感染症の状況により、需要回復が見込まれる場合は、復便、増便で対応します。つまり、不確定な予約はなるべく受けず、需要回復が見込まれてから運航を発表する、ということです。

ANA787

777退役進める

運航規模が大幅縮小することを前提に、ANAでは2020年度内に国際線ボーイング777型機の早期退役を進めます。大型機の機数を半減し、長距離路線を中心に効率のよいボーイング787型機へ切り替えていきます。

2020年に開催されるはずだった東京オリンピック・パラリンピックに向け、ANAは羽田の国際線新規発着枠を獲得し、機材も人員も増やし準備をすすめていたはずです。それが、運航規模の大幅縮小を余儀なくされ、さぞ無念でしょう。

国際線事業計画を伝えるANAのプレスリリースに、東京オリンピックに触れた部分はありません。この運航規模からして、いまのところANAは2021年夏のオリンピックの通常開催を想定していないと思われます。開催されるにしても、観客や参加者をどの程度受け入れるか見極めたうえで、適宜対応するというスタンスでしょう。

すでに公表済みの国内線事業計画では、前年比85%の運航規模としました。しかし、足元の2月では、計画比で半分以下となっています。日本の最大手航空会社が、再び大空を飛びまわる日は、いつ来るのでしょうか。

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