ANAがエアバスの超大型機A380型機を導入します。当初は3機を導入し、ハワイ線に投入する見込みで、実際に導入すれば、日本国内の航空会社としては初めてとなります。日本経済新聞が報じました。
首都圏発着のハワイ路線に投入
日本経済新聞2016年1月1日付によりますと、ANAはエアバスA380型機3機を導入します。投入路線は東京・ホノルル線で、2018年度の就航予定。日経によりますと、「首都圏発着のハワイ路線で提供する座席数シェアは約20%。約35%の日航に差をつけられている。ANAはハワイ路線の既存機材の2倍超の座席数を設定可能なA380の導入で1便当たりの旅客数を増やし、シェアを高める」としています。
現在、ANAの東京~ホノルル線は、エアジャパンの運航するコードシェア便を含めて、成田発が1日2便、羽田発が1日1便です。機材はいずれもボーイング767型機で、座席数は214席または202席です。3便合わせて合計600席程度ですが、A380型機なら、1機で同程度の輸送力を持たせることも可能です。
成田、羽田のどちらに投入?
本当にANAがA380型機を東京~ホノルル線に投入するとして、成田、羽田のどちらの空港に就航させるのでしょうか。
現時点では、羽田空港はA380型機の乗り入れに制約が多いため、就航させるなら成田路線が有力とみられます。ただ、東京オリンピックに向けて羽田空港の規制が緩和される可能性があります。
エールフランスやルフトハンザといった欧州系航空会社も羽田にA380型機就航を望んでいることもあり、今後の規制緩和はあり得るでしょう。ANAがお得意の政治力を活かし、A380の羽田初就航を実現させるかもしれません。
どんな仕様になるか
ところで、ANAがエアバスA380を導入するのではないか、という話が報じられたのは2015年夏のことです。経営破綻したスカイマークの再生計画案の支持取り付けのため、大口債権者のエアバスに対し、ANAが同社への機材発注を約束したという情報でした。その機体こそ、スカイマークが導入を決めながら実現できなかったエアバスA380型機ではないか、という話です。
ただし、ANAもエアバスも、この「密約」について公式に認めたことはありません。スカイマークの再生計画ではANA案が採用され、ANAはスカイマークの「獲得」に成功しました。その後、実際に社内決定事項としてA380型機購入を決めたのなら適宜開示義務が生じそうですが、現時点でANAからA380型機購入の情報開示はありません。そのため、ANAがエアバスの機体の導入を密約したとしても、A330 型機ではないか、という観測もありました。
ANAとエアバスの間にどんな約束があったのかはわかりませんので、A380 型機の発注がスカイマーク「獲得」を受けてのことなのかは、定かでありません。ただ、スカイマークの問題が生じるまでは、ANAはエアバスA380型機を発注する姿勢を見せていなかったことから、スカイマークの再生計画と何らかの関連があると見られるのは仕方ないでしょう。
趣味的には、あの大型機がいよいよ日本の航空会社にも導入されるのか、と思うとちょっと楽しみです。機内設備をあれこれ工夫できる飛行機ですので、ANAがあっと驚くような仕様を用意してくることを、期待したいところです。(鎌倉淳)