日本の空港利用料ランキング。「出国税」議論の前に再確認してみた

関西空港がいちばん高い

出国税など、旅行者に対する増税論議が盛んになってきました。日本の主要空港では「空港利用料」が課されており、さらに出国税が重なれば大きな負担になります。そこで、現在の日本の空港の利用料をランキング形式でまとめてみました。

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空港利用料の目的

空港利用料は、空港ビル会社が旅客から徴収する手数料です。その目的は、旅客ターミナルビルの共用スペースなど、旅客が使用するさまざまな施設の整備・運営の原資とするためです。

この利用料は、航空会社が航空運賃とともに徴収し、空港ビル会社へ支払われます。これを「オンチケット方式」といいます。かつては空港の自動販売機などで空港利用料のチケットが売られたりしていましたが、現在は全ての空港でオンチケットになっています。

羽田空港

日本の各空港の利用料

では、日本の各空港の空港利用料をランキングにしてみましょう。旅客取扱施設利用料(PSFC)に、一部空港国際線で導入されている旅客保安サービス料(PSSC)をあわせた合計です。

全国空港利用料ランキング

1位 関西・国際線 3,040円(1T)
2位 成田・国際線 2,610円(1,2T)
3位 羽田・国際線 2,570円
3位 中部・国際線 2,570円
5位 成田・国際線 1,540円(3T)
5位 関西・国際線 1,540円(2T)
7位 新千歳・国際線 1,030円
8位 那覇・国際線 1,000円
9位 福岡・国際線 970円
10位 茨城・国際線 520円
11位 成田・国内線 440円(1,2T)
12位 関西・国内線 410円(出発)
13位 成田・国内線 380円(3T)
14位 関西・国内線 360円(到着)
15位 中部・国内線 310円
15位 北九州・国際線 310円
17位 羽田・国内線 290円
18位 茨城・国内線 100円
19位 北九州・国内線 100円

出典:「新たな観光財源の確保策について」(観光庁2017年9月15日)にPSSCを加えて計算。乗り継ぎ時の利用料は略。

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関西空港が3,000円超え

ご覧のように、1位は関西空港第1ターミナル国際線で3,040円。次いで、成田空港第1、第2ターミナル国際線の2,610円です。その後、羽田空港と中部空港の国際線2,570円が続きます。羽田、成田、中部、関西の基幹4空港の国際線で、空港利用料が2,000円を超えています。

それに続いて、成田、関西のLCCターミナルが1,540円、新千歳、那覇、福岡がそれぞれ1,030円、1,000円、970円となっています。

つまり、羽田、成田、中部、関西の4大空港が2,000円以上、新千歳、福岡、那覇の地方基幹3空港が、おおむね1,000円の空港利用料を課していることになります。

一方、地方空港で空港利用料を課している空港は少なく、仙台や広島といった比較的大きな空港でも現時点では無料です。

アジア諸国に比べればやや高い

出国税は、空港利用料に加え、国際線利用者に新たに課税するものです。金額は未定ですが、数百円~数千円程度と見られます。実施されると、空港利用料に加えて、出国税が上乗せされることになります。

観光庁の資料によりますと、他国の航空出国時の旅行者の負担金は、韓国約900円、台湾約1,810円、中国約1,500円、香港約1,670円、オーストラリア約5,230円、イギリス約1,860円~62,600円となっています。イギリスは距離や座席クラスに応じて、金額が決まるとのことです。

アジア諸国と比べると、日本の空港利用料は同等かやや高額ですが、オーストラリアやイギリスに比べると安いといえます。そのため、「出国税」という形での加算余地があると、日本政府は考えているのでしょう。ただ、オーストラリアやイギリスとは、物価がだいぶ違いますので、これらの国と比較して「日本は安い」と決めつけるのも無理がありそうです。

一律課金は難しい

LCCなら、近場の海外へ1万円程度で行くこともできます。そんな時代に、空港利用料と出国税があわせて4~5,000円になってしまったら、いかにも割高です。したがって、一律で、たとえば2,000円などという金額にするわけにはいかない気がします。

出国税なんてないほうがいいですが、仮に導入するにしても、イギリスのように距離や座席クラスに応じた課金方式が妥当に思えます。みなさんは、どのようにお考えでしょうか。(鎌倉淳)

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