新幹線利用者数ランキング2021年新春版。前年比30%程度に落ち込む

2021年は厳しい船出に

JR各社から2020-2021年末年始の列車利用状況が発表されました。新型コロナウイルス感染症の影響で、各路線とも前年比で大きく利用者を減らしています。詳細をランキング形式で見ていきましょう。

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年末年始の新幹線利用状況

JR各社は列車利用状況の統計を「年末年始」「ゴールデンウィーク」「お盆」の3期のみ発表します。このうち「2020-2021年末年始の利用状況」がこのほど発表されましたので、各社の情報をまとめて、「年末年始の新幹線利用者数」をランキングにしてみました。

2020年12月25日~2021年1月5日の12日間の統計です。

新幹線

新幹線利用者数ランキング2021年新春版

順位 路線名 区間 利用者数(万人) 前年比(%)
1 東海道新幹線 新横浜~静岡 152.4 32
2 山陽新幹線 新大阪~西明石 63.5 29
3 上越新幹線 大宮~高崎 55.4 36
4 東北新幹線 大宮~宇都宮 53.1 33
5 山陽新幹線 岡山~広島 48.1 30
6 東北新幹線 那須塩原~郡山 43.7 31
7 山陽新幹線 広島~新山口 36.9 32
8 山陽新幹線 新山口~小倉 34.1 33
9 山陽新幹線 小倉~博多 33.3 37
10 北陸新幹線 高崎~軽井沢 28.2 36
11 東北新幹線 古川~北上 22.0 33
12 九州新幹線 博多~熊本 16.6 40
13 北陸新幹線 上越妙高~糸魚川 13.0 35
14 上越新幹線 越後湯沢~長岡 10.9 28
15 東北新幹線 盛岡~八戸 10.7 35
16 九州新幹線 熊本~鹿児島中央 8.3 40
17 山形新幹線 福島~米沢 4.0 25
18 秋田新幹線 盛岡~田沢湖 3.7 35
19 北海道新幹線 新青森~新函館北斗 2.1 28
20 山形新幹線 山形~新庄 1.0 26

 

上記のランキングは、JR各社から広報発表された内容をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。対前年比は四捨五入しています。

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各路線とも低調

2020-2021年末年始は、新型コロナウイルスの第3波に襲われたこともあり、利用は低調でした。おおむね各路線とも前年比30%台です。九州新幹線が40%となっていますが、いずれも四捨五入した値で、実際は40%に届いていません。

それでも、九州新幹線は健闘したといえます。新型コロナウイルス感染症拡大後、九州地方は比較的、長距離列車の落ち込みが小さいようです。

推測ですが、九州地方は高速バスが発達しているエリアのため、新型コロナで高速バスからの利用者の遷移が比較的大きいのかもしれません。全体の落ち込みを、高速バスからの利用者の遷移で、少しではあるものの穴埋めしているのではないか、ということです。

北陸新幹線も比較的数字がいいですが、これは前年が基地浸水による車両不足で輸送量が少なかったことの反動です。

お盆よりは回復

各路線とも低調な利用状況でしたが、お盆の利用状況は前年比20%台だったので、それに比べれば回復を見せています。新型コロナ禍が長引くなか、お正月くらいは帰省しよう、という動きがあったのでしょう。

年末年始の列車予約が始まる11月下旬は「勝負の三週間」を政府がPRしていた時期で、正月の深刻な状況を予想しないまま予約をした人もいたとみられます。

上位区間で不振の色が濃かったのは、山陽新幹線の新大阪~西明石間でしょうか。前年比29%です。大阪は新型コロナウイルスの第3波の拡大が首都圏より早かったからか、予約の出足が鈍ったのかもしれません。同じく感染状況が深刻だった北海道も前年比28%と低調でした。

最大利用者数を誇る東海道新幹線の新横浜~静岡間は前年比32%。上表にはありませんが、「のぞみ」「こだま」が33%だったのに対し、「ひかり」が27%と低くなっています。新型コロナ禍で「ひかり」の落ち込みが大きいのは、JR東海の月次情報でも見て取れる傾向です。

東北新幹線の大宮~宇都宮は33%、上越新幹線大宮~高崎は36%で、首都圏エリアの各路線は似た水準でした。

JR各社にとって、2021年は厳しい船出となっています。

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