JR西日本は、2021年10月にダイヤ改正をおこない、1日あたり約130本を削減すると発表しました。利用の少ない郊外の普通列車などが、運転取り止めとなります。
乗車率20%以下が目安
JR西日本は、2021年10月に、減便を中心とするダイヤ見直しを行うと発表しました。新型コロナウイルス感染症の影響が長引くなか、利用者が大幅に減少しているとして、2022年春に予定されていたダイヤ改正の一部を前倒しして実施します。秋のダイヤ改正は、JR西日本としては15年ぶりです。
ダイヤ改正で減便対象になるのは、新型コロナによる減少率が大きい昼間時間帯が中心です。列車本数と利用状況の乖離が大きい区間の約130本の列車を見直します。
具体的には乗車率20%以下が目安で、近畿エリアで約60本、その他各エリアでは約70本を減便します。合計130本は、全体の約1%に相当します。
減便対象の区間
減便対象となるのは、近畿エリアでは琵琶湖線(米原~長浜)、JR京都線(高槻~京都)、JR神戸線(須磨~西明石)、山陽線(姫路~上郡)、赤穂線(相生~播州赤穂)、大和路線(奈良~加茂)など。その他のエリアでは、小浜線、越美北線、山陰線、伯備線、因美線、境線、きのくに線、和歌山線、山陽線、瀬戸大橋線などです。
ダイヤ改正の詳細は7月に公表される予定です。上記区間や各社報道などをまとめると、近畿エリアは普通・快速列車の末端部分の昼間の運転を取り止め、その他のエリアでは朝夕も含めて利用の少ない列車の削減を進めるようです。
具体的にみてみると
路線別に少し詳しく見てみましょう。
琵琶湖線の米原~長浜間は、現在、日中時間帯に新快速の長浜発着便と、近江塩津発着便がそれぞれ1時間間隔で運転しています。このうち、長浜発着便の運転を取り止め、米原発着にするとみられます。同区間は、日中時間帯に毎時1本になりそうです。
大和路線の奈良~加茂間は、現在、日中時間帯に大和路快速が毎時2本運転されていますが、毎時1本に削減されそうです。
山陽線の姫路~上郡間と、赤穂線の相生~播州赤穂間は、それぞれ現状は日中に毎時2本ですが、姫路~播州赤穂間と相生~上郡間の区間列車が、それぞれ削減され、毎時1本になりそうです。
JR京都線の京都~高槻間と、JR神戸線の須磨~西明石間は、毎時4本は維持されそうですが、10時台や15時台の普通列車が削減対象になりそうです。京都発着の一部が高槻発着に、西明石発着の一部が須磨発着になるのでしょう。
近畿圏以外については詳細を省きますが、福井新聞は5月19日付で、小浜線について、敦賀~小浜間の30本中14本と、小浜~東舞鶴間の26本中15本が減便の検討対象であると報じました。4月下旬に、各自治体に減便を検討していることを伝えたそうです。
同紙5月20日付では、越美北線について、福井~越前大野間の18本中12本と、越前大野~九頭竜湖間の全9本も検討対象と報じています。
JR西日本が発表している10月改正の減便規模を勘案すると、小浜線や越美北線で「減便検討」とされる列車の全てが削減されるわけではなさそうです。だとしても、JR西日本が乗車率の低さを問題にしている列車が非常に多いことが察せられます。
来春にさらなる減便
JR西日本では、2021年3月ダイヤ改正で約300本の列車削減をおこなったばかりですが、2021年10月改正で130本を削減し、さらに2022年3月ダイヤ改正でも減便をおこなう予定です。
日本経済新聞5月20日付によりますと、「JR西日本だけで運転本数を調整できる普通列車を軸に秋は削減し、新快速などJR他社とダイヤの調整が必要な列車は追って見直す」とのこと。NHKは「来年の春のダイヤ改正で、すべての時間帯を対象にさらなる本数の削減を実施」とも報じており、ラッシュ時間帯を含めた減便が検討されているようです。
JR西日本は、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、列車の減便について幾度となく予告してきました。そのため、減便発表じたいに驚きはなかったのですが、内容を見ると、京阪神エリアにまで踏み込んだ減便はやはり衝撃的です。地元の利用者はもちろん、青春18きっぷを使った旅行者にも気の重い改正となりそうです。(鎌倉淳)