外国人旅行者急増で旅行収支が過去最大の黒字に。日本の伝統的観光地が蘇りつつある

旅行収支が過去最大を記録しています。2015年度上半期の国際収支統計によりますと、国内外旅行者の往来に伴う旅行収支が6085億円の過去最大の黒字となりました。旅行収支は2014年度に初めて黒字転換したばかりですが、この勢いが続けば2015年度通期で1兆円を軽く超えそうです。

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外国人旅行者が5割増

財務省が2015年11月10日に発表した2015年度上半期(4~9月期)の国際収支統計によりますと、旅行収支は6,085億円の黒字となりました。旅行収支は2014年度に現行統計初の黒字2,099億円を記録しましたが、それをすでに3倍近く上回っています。

その「利益」を支えているのが外国人旅行者です。日本政府観光局によりますと、2015年度上半期の訪日外国人旅行者数は1035万6379人で前年同期比50.9%の増加。7~9月の訪日客消費額は1年前の1.8倍に拡大し、四半期として初めて1兆円を超えました。

と、軽く書きましたが、前年同期比50%増というのは、腰が抜けるほどの急増です。なるほど、これでは収支が大幅黒字になるのも納得です。

訪日外国人数出典:観光庁

伝統的な観光施設に外国人が

外国人観光客が急増するようになったのは、ここ数年のこと。日本の入国ビザ取得要件が緩和されたことを受けたものです。それより前、国内の地方の伝統的観光地は瀕死状態でした。昭和的な土産物屋さんや団体向けホテルが次々と廃業していたことをご記憶の方は多いと思います。

そうした店や宿が、最近、蘇りつつあるようです。筆者が最近目にした範囲では、たとえば沖縄の古いホテルの土産物屋で、日本人には人気のなさそうな賞味期限の長い土産用の菓子が、台湾人ツアー客に飛ぶように売れていました。富士山五合目の土産物店では、何か買っているのは見た目で九割が外国人でした。

スキー・スノボ人口の減少の直撃を受けていたスキー場も、ここ数年、客足が回復しつつありますが、外国人旅行者の増加がそれに寄与しています。このほかにも、観光客の減少に悩んでいた日本の伝統的観光施設の経営が改善しつつある話はよく聞きます。旅行関連業界でのこうした需要の回復は、喜ばしいことです。

日本人海外旅行者は減少

反面、訪日外国人の急増と対照的に、日本人の出国者数は減っています。2015年度上半期の累計では、日本人出国者数は808万7171人で、前年同期に比べ約5%減です。このままのペースで推移すれば、2015年は訪日外国人数が日本人出国者数を上回ることになりそうです。

旅行収支の改善には、こうした日本人海外旅行者の減少も影響しています。海外旅行に出かけるに日本人が減っているのは気になります。

最近はLCCが普及して、海外航空券は驚くほど安くなりました。日本人もこの恩恵を活用して、もっと海外旅行に出かけてみては、と思わなくもありません。

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