エアアジア・ジャパンが2016年4月に中部~札幌・仙台・台北線を開設。日本再参入は成功するか

格安航空会社LCCのエアアジア・ジャパン、2016年4月から中部国際空港を拠点に札幌(新千歳)、仙台と台北(桃園)への3路線を開設すると発表しました。国内線に就航するLCCは5社目で、中部空港を拠点とするLCCは初めてです。

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1日2往復で運航開始

エアアジア・ジャパンは、10月6日に国土交通省から航空運送事業を許可されました。これを受けて、就航路線を発表したものです。

就航当初はエアバスA320を2機導入し、3路線とも1日2往復を運航します。3路線のうち、中部~札幌線はJALやANA、スカイマーク、エアドゥ、ジェットスターと競合する激戦区。仙台線もANA、IBEXと競合し、台北線はJAL、チャイナエアラインなどと競合します。

これらの路線の運賃など詳細は未定ですが、エアアジア・ジャパンの小田切義憲社長は「航空大手の普通運賃の半額から3分の1を目指す」と述べました。

今後は年間5機のペースで機材を増やし、訪日外国人などで需要が拡大する国際線を中心に路線を広げる計画です。

エアアジアジャパン

2年半ぶり再参入

エアアジアはマレーシアの航空会社で、2011年にANAと合弁で最初の「エアアジア・ジャパン」を設立し2012年8月に運行を開始しました。しかし、業績不振や方向性の違いにより2013年に合弁を解消し、日本市場から撤退しています。

その後、エアアジアは、楽天などと合弁でエアアジア・ジャパンを設立し、再参入の準備を進めてきました。今回は2年半ぶりの日本国内線再参入となります。

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楽天、ノエビア、アルペンで議決権過半数

エアアジア・ジャパンは、2015年9月25日付で株主と議決権の割合を変更しています。エアアジア・インベストメント33%、楽天18%はこれまで通りですが、ノエビアホールディングスが13.4%から18%へ、アルペンが7.4%から18%へ、それぞれ議決権比率を上げています。

このほか、フィンテック・グローバル・トレーディングが新たに加わり、13%の議決権比率となります。従来第2位だったオクターヴ・ジャパン インフラストラクチャーファンドは議決権比率がゼロとなりましたが、今後も出資は継続します。

こうしてみると、エアアジア・ジャパンは楽天、ノエビア、アルペンという国内の有力企業3社で議決権の54%を占め、ファンドやリース会社のカゲは薄いです。マレーシア企業であるエアアジア主導のLCCであることは間違いないですが、資本的には国内の有力企業が議決権を分け合って相乗りしている形で、最近のLCCとしては珍しい形となりました。

海外からの誘客がカギ

中部空港を拠点としたのは、成田、関西がすでに他のLCC勢によって拠点として押さえられている中で消去法的な部分もあるでしょう。中部拠点の場合、関東、関西という2大都市圏への路線が難しいため、展開できる国内都市が限られます。その点では経営的に不利とみられます。

ただ、日本のLCCは、国内線よりも国際線で利益を上げています。海外からうまく中部空港に誘客しできれば、成功できる可能性はあるでしょうし、エアアジアならそれができると思います。つまり、カギは札幌線や仙台線よりも、台北線や、今後開設する国際線になるでしょう。また、いまや旅行業大手となっている楽天トラベルの関わりもポイントになりそうです。

なんであれ、エアアジア・ジャパンは、JAL、ANAの資本の入っていない貴重な航空会社です。成功を祈りたいところです。(鎌倉淳)

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