北陸新幹線の最速達列車「かがやき」。基本的な停車駅は東京、上野、大宮、長野、富山、金沢です。首都圏と北陸を移動するには速くて便利な列車ですが、定期列車は1日10往復のみ。
今後の運転本数がどう変わるのかが気になるところですが、ひょっとすると減っていくかもしれません。日本経済新聞のインタビューにJR東日本の常務が答えています。
最初は速達性を訴えた
日本経済新聞2015年6月5日付け北陸面に掲載されたインタビューで、JR東日本の原口宰常務は、以下のように話しています。
「東京-金沢のような中距離では、本来は停車型の『はくたか』を増やして、細かく需要を拾う方がいい。ただ最初は速達性という新幹線の値打ちを訴えようと『かがやき』を10往復入れた。今ははくたかが混んでおり、今後の課題だ」
この発言を額面通り受け取ると、今後のダイヤ改正では「かがやき」が減少し「はくたか」が増えていくことが予想されます。実際、過去の新幹線開業では、最初は速達列車が多いものの、だんだん停車型増えていく、というのがいわばお約束。究極が上越新幹線で、現在は「ほぼ各駅停車」タイプの列車がほとんどになっています。
「かがやき」の最速達列車は東京-金沢を2時間28分で結んでいます。一方、「はくたか」の停車駅の少ないタイプは、東京-金沢を2時間55分程度で結んでいます。対航空機で考えた場合、「速いはくたか」でもなんとか対抗できる所要時間ですから、今後「かがやき」は、だんだん減らされていくのかもしれません。
ただ、それだとスピードダウンの印象が強いので、「かがやき」の停車駅を増やす可能性もあります。これもJR東日本には「実績」があり、最初は停車駅が少なかった「はやぶさ」に、いまや「盛岡-新青森間各駅停車」の列車があります。となると、「長野-金沢間各駅停車」の「かがやき」が登場する日が来るのかもしれません。
上越・東北新幹線も含めたダイヤ見直しが必要
原口常務は、同じインタビューで、こうも付け加えています。
「次にダイヤを構築する場合は、上越・東北新幹線を含め大規模な見直しが必要になる」
次のダイヤ改正は、2016年3月の北海道新幹線開業時です。そのダイヤは北海道新幹線の速達性を訴えるダイヤになるとみられ、しばらくしたらその実績を踏まえた見直しが行われるのは間違いありません。つまり、北陸・上越・東北新幹線も含めた大規模なダイヤ見直しをするのならば、北海道新幹線開業のフィーバーが終わった段階になると予想されます。
となると、「かがやき」「はくたか」のバランスが見直されるのは、北陸、北海道両新幹線の「真の需要」が見極められた段階でのダイヤ改正でしょう。インタビュー通りなら「かがやき」が減って「はくたか」が増えることになるようですが、果たしてどうなるのでしょうか。